活動報告

国会質疑

衆院予算委で活発に論戦 建設業、賃上げ進める制度を 国重氏 国交相「新たな仕組み検討」

2023年10月28日付公明新聞より抜粋、転載

衆院予算委員会は27日、岸田文雄首相ら全閣僚が出席して予算の実施状況に関する基本的質疑を行い、公明党から高木陽介政務調査会長、国重徹氏が質問に立った。高木氏は、国民生活を守る経済対策の実行や少子化・子育て支援の強化を主張。国重氏は、建設技能者の賃上げや、物流の「2024年問題」などについて、政府の見解をただした。

■運送業、標準的な運賃見直しも

国重氏は建設技能者の賃上げを巡って、建設業の多重下請け構造などにより「現場まで適正に賃金が行き渡らない現状がある」と指摘。国や自治体が公共工事の予定価格を算出する際に用いる公共工事設計労務単価を今後も適切に引き上げるとともに、適正な賃上げに向けて「単に口頭で働き掛けるだけでなく、制度として作って進めてもらいたい」と提案した。

斉藤鉄夫国土交通相(公明党)は「制度的に対応することも必要だ」と表明。具体策として「国が適正な労務費の目安を示した上で、目安に沿った契約が行われるよう強く促す新たな仕組みを検討したい」と答弁した。

■こどもエコすまい再開を「積極検討」/国交相

住宅分野の脱炭素化に向けて国重氏は、高い省エネ性能を持つ住宅を新築した子育て世帯などを支援する「こどもエコすまい支援事業」が既に予算上限に達し、受け付けを終了したことに言及。「予算を措置して引き続き取り組むことが大事だ」と力説した。

斉藤国交相は、同事業の再開などについて「積極的に検討を進める」と応じた。

時間外労働の上限規制といった働き方改革により、トラック運転手の不足が懸念される物流業界の「2024年問題」への対応として国重氏は、同運転手の賃上げが「何より重要だ」と強調。賃上げの原資となる適正な運賃の確保が不可欠だとして「(業界の)標準的な運賃の見直しを」と訴えた。

>外部リンク=10月27日 衆議院予算委員会審議中継

 

第2号 令和5年10月27日(金曜日) 衆議院予算委員会 会議録

小野寺委員長 この際、國重徹君から関連質疑の申出があります。高木君の持ち時間の範囲内でこれを許します。國重徹君。

國重委員 公明党の國重徹です。

経済対策、とりわけ働いている皆さんの賃上げ、そのための環境整備、これを力強く進めていかなければなりません。そして、持続的な賃上げ、これを実現するためには労働生産性の向上が不可欠です。

この点、日本経済全体の生産性の向上を支えるために、そのしわ寄せが行っているのが物流、運送業界であります。必要なものを必要なときに必要なだけつくる、今、企業はこうやって在庫管理のコストを削減しようとしております。その結果、小口の商品を頻繁に配送することが増えまして、ドライバーの負担が重くなっています。また、トラック業界には、荷物の積卸しのためにドライバーが何時間も待機するといった不合理な商慣行もあります。こうしたことから、全産業と比較をしますと、トラックドライバーの年間労働時間は約二割長い。過酷な労働環境の中、健康被害や過労死も起きています。にもかかわらず、年間の所得額は約一割低い。

こうした中、来年、二〇二四年四月から、物流業界においても時間外労働の上限規制などの働き方改革が始まります。ドライバーの安全と健康は何よりも大事であります。働き方改革、これは避けて通ることはできません。

一方で、民間のシンクタンクの調査によりますと、何も対策を打たなければ二〇二四年度には輸送能力が一四%不足をする、つまり、荷物の七つに一つが運べなくなる、そういう可能性があると指摘をされております。

この物流の停滞、いわゆる二〇二四年問題、これにどう対応をしていくのか。物流は日本の産業を支える経済の血流であります。国を挙げてこの対策に本気で取り組まないと大変なことになります。運送業界における生産性の向上、長時間労働の是正、そしてトラックドライバーの賃上げが、これは何より重要であります。

そして、トラックドライバーの賃上げを実現するためには、その原資となる適正な運賃の確保、これが不可欠であります。まずは、荷主と元請との間で、適正な運賃の目安とされている標準的な運賃の見直し、これをしっかりと進めていく必要があります。特に、トラック業界には運送を請け負った業者がドライバーとか車が足りなくて更に下請に出すといった多重下請構造があります。この現状を踏まえて、ドライバーに仕事に見合った賃金がきちんと支払われるように、荷主と元請との間だけじゃなくて、一次下請、二次下請、こういった間でも適正な賃金が支払われるような仕組みが是非とも必要であります。

物流の二〇二四年問題の解決に向けたドライバーの賃上げ、そのための適正な賃金の確保、これを実現するための今後の取組について総理にお伺いをいたします。

岸田内閣総理大臣 御指摘の物流二〇二四年問題に向けては、本年六月に物流革新に向けた政策パッケージ、これを策定し、このうち特に緊急的に取り組む対策について、今月六日の日に物流革新緊急パッケージとして取りまとめ、これから策定する経済対策の中に盛り込む、こうしたことを考えております。

そして、その中で、賃上げと適正な運賃収受に向けた取組として、まず、即効性のある対策としては、委員も指摘されました貨物自動車運送事業法上の標準的な運賃について、現下の物価動向を反映させる、また、これまで十分に収受できていなかった荷待ち、荷役の対価等を新たに加算できるよう見直していく、その引上げ幅を公表する、こうした取組を進めてまいります。

その一方で、構造的な対策として、御指摘があった多重下請構造是正のための運送体制の可視化の義務づけなど、適正な運賃収受を図る措置や、荷主に荷待ち時間削減等の取組を義務づけ、労働時間短縮と実質賃金増加を図る措置の導入に向けて、次期通常国会での法制化、これに取り組んでまいります。

こうした対策を含めて、物流革新に向けて政府全体で産業界と連携しながら、持続可能な物流、これを実現するために全力を尽くしてまいりたいと考えます。

國重委員 経済を支える血流である物流、これが改善されれば、その果実は多くの企業、また個人に還元をされます。今総理が答弁されました、即効的な対策、また抜本的な、構造的な対策、是非ともしっかりと着実に進めていただきたいと思います。

一方で、経済を一瞬にして破壊をし停滞をさせてしまうもの、これが災害であります。

公明党は、防災、減災を政治、社会の主流にということで、様々な対策に取り組んでまいりました。また、私自身、これまでの予算委員会でも繰り返し防災、減災をテーマに取り上げてまいりました。三か年緊急対策、五か年加速化対策、こうした一連の対策の効果が今実際に出始めております。

今年の六月、七月の大雨の際には、これまでの河川整備の結果、過去に同じ規模の雨が降ったときと比べまして、浸水戸数が大幅に減少しました。例えば、大分県の日田市の花月川では、平成二十四年の豪雨で七百二十戸の浸水被害が出ました。その後河川改修をしたことで、今年七月、同規模の大雨による浸水戸数は十一戸と、約九九%減少しております。着実に対策を進めていくことがいかに大事なのかということが改めて浮き彫りになりました。

災害は必ず起こります。南海トラフ巨大地震も、いつか分かりませんけれども、必ず起こります。だからこそ、自然からの防衛ともいうべき防災、減災、非常に大事な分野であります。

しかし、この対策を進めて、インフラ整備を現場で担う建設業の方も、今深刻な人手不足に悩まれております。様々な要因がありますけれども、運送業と同様、繁忙期と閑散期があって、繁忙に合わせて社員を抱えることが難しい、こういったことで、根深い多重下請構造があります。これによって現場まで適正に賃金が行き渡らない現状があります。これに資材価格の高騰、こういったことも相まって、ますますこれが厳しい状況になっております。現場で働く技能者の皆さんの適正な賃金が確保できなければ、担い手も確保できません。

そこで、斉藤国交大臣に伺います。

公共工事の設計労務単価について、これまでずっと引き上げてきましたけれども、今後も適切に引き上げていく、これとともに、建設業の方たちに対して資材価格の高騰などを反映した適正な賃上げが行われて、多重下請構造の中であったとしてもきちんと現場まで賃金が行き渡るような仕組み、これを、単に口頭で働きかけるだけじゃなくて制度としてつくって、しっかりと進めていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

斉藤国務大臣 防災、減災を担う建設業、その建設業に若い人たちが集う、そのためには現場を担っていただいている技能者の賃金が、優れた技能や厳しい労働環境にふさわしい水準に引き上げられることが重要でございます。

公共工事設計労務単価は十一年連続の上昇となり、特に本年は、前年度比プラス五・二%と、物価上昇を上回る大幅な引上げとなりました。

これを踏まえ、私から建設業界に対して、おおむね五%の賃金引上げを各社で実現するよう働きかけを行いました。これにより、技能者の賃金上昇が次なる設計労務単価の上昇につながる好循環を持続させてまいりたいと考えております。

その上で、技能者へ支払われる賃金の原資が、発注者から元請、そして下請となる専門工事業者まで適切に支払われるよう、制度的に対応することも必要であると考えます。

具体的には、国が適正な労務費の目安をあらかじめ示した上で、個々の工事においてこれに沿った積算見積りや下請契約が行われるよう強く促す新たな仕組みを検討してまいりたい、このように思っております。

今後も、持続可能な、若い人たちが集ってくる建設業の実現に向けて、継続的な賃上げにしっかりと取り組んでまいります。

國重委員 建設業にこれまでなかった適正な労務費の目安、これを国が新たに示していく、現場にまで賃金がきちんと行き渡るように制度をつくっていく、制度として対応していく、こういった答弁でありました。大きな前進だと思います。このテレビを見ている現場の建設業の皆さんも期待をされていると思いますので、是非しっかりと進めていただきたいと思います。

この夏は異常な暑さでした。改めて地球温暖化というのを身近に感じた方も多かったんじゃないかなというふうに思います。

日本は、二〇二〇年十月に、二〇五〇年カーボンニュートラルを目指すことを宣言をしました。この達成を目指すに当たって、住宅分野の脱炭素化が鍵を握る、こう言っても過言ではありません。

ここで重要になるのが、断熱性能の高い窓や断熱材を使うことで高い省エネ性能を持つ、いわゆるZEH住宅であります。

この住宅、環境に優しい、光熱費の節約など経済面でもメリットがあります。それだけじゃありません。また、健康面でもメリットがあります。断熱性能を高めることによって、夏は涼しい、冬は暖かい、快適な生活が送れるようになります。室温が保たれることで、熱中症予防になることはもちろんですけれども、高血圧の防止、急激な温度変化による心筋梗塞の防止など、様々な効果があります。さらに、災害への対応という観点からは、災害が発生して停電した場合にも、太陽光発電とかあるいは蓄電池、これを活用することによって電気を使える場合もありまして、こういう面でも安心であります。

こうした多くのメリットがあるZEH住宅、二〇三〇年度以降、新築住宅へのこのZEHの義務化が決まっております。これを見据えて、中小工務店の皆さんを含めて、この技術を広く普及をしていく必要があります。

こういった観点からも、ZEH住宅を新たに建てる、また、省エネリフォームをする場合に補助をする、こどもエコすまい支援事業が今年実施をされました。非常にこれは人気でして、既に九月末に申請受付終了をしております。

この支援もあって、ZEHの技術が、今、中小の工務店にまで広がり始めております。ZEHを大きく進めていくためには、今この勢いがついているところでもう一段の支援を行って全体的な底上げを図っていくこと、予算を措置をして、こどもエコすまい支援事業を引き続き取り組んでいくことが大事だと考えます。

これについて、斉藤大臣、いかがでしょうか。

斉藤国務大臣 二〇五〇年カーボンニュートラルを実現するためには住宅の省エネ化を促進することが重要であり、子育て世帯によるZEH住宅の取得などを支援することを目的として、こどもエコすまい支援事業を実施してまいりましたが、先ほど御指摘のありましたように、九月に予算上限に達して終了いたしました。

この事業を通じて約十三万五千戸のZEH住宅への支援を行いましたが、これによって、今回非常に特徴的なのは、多くの地方の事業者がZEH住宅の建築を行うようになり、地域の中小工務店など、ZEH住宅に対応できる事業者の裾野が大幅に拡大しつつある、これを実感しております。

こうした状況を踏まえ、国土交通省としても、カーボンニュートラルの実現に資する住宅の省エネ化の促進に向けた有効な支援策について、こどもエコすまい支援事業の再開など、積極的に検討を進めてまいりたいと思っております。

國重委員 斉藤大臣、積極的な検討を是非よろしくお願いいたします。

介護を理由に仕事を辞める介護離職、これが今増えております。去年、十万人を突破しました。政府は二〇一五年に介護離職ゼロの目標を掲げて介護と仕事の両立支援に様々取り組んできましたけれども、五年前に比べて介護離職は七千人増えています。介護離職に伴う労働損失で、二〇三〇年には経済的損失が年間約九兆円に上る、これは今年公表した経産省の試算になります。

介護と仕事の両立支援、これを更に強化していかないといけません。いろいろと課題はありますが、今日、時間の関係で、大きく二点指摘をします。

まず一点目として、仕事を休んでケアマネジャーさんに相談をしたり介護施設を探したりする、介護と仕事を両立する体制を整えるための準備期間であるための介護休業制度、これがほとんど利用されておりません。約三か月間、賃金のおよそ三分の二の給付金を受けながら休業する制度なんですけれども、去年の利用者は、家族などを介護している人の中で、僅かに一・六%。

調査の結果、介護休業制度が労働者の権利であることが十分に知られていない。別に会社に制度がなくたって、労働者の権利なわけであります。これが知られていない。また、制度を知っていたとしても、職場に介護休業を取得しづらい雰囲気があったこと、こういったことが主な要因として国の調査結果で明らかとなっております。周知広報、また会社のカバー体制、これを整えるための支援が必要であります。

二点目として、突然介護というのはやってきます。突然介護に直面した際、どこに相談したらいいか分からない。地域包括支援センターに相談したらいいんですけれども、その情報が行き届いていない。相談すれば落ち着いていろいろな手を打つことができますが、これが十分にできていない現状があります。

望まない介護離職は、御本人にとっても、また日本の社会経済にとっても大きな痛手であります。これを何としても防がないといけません。情報の周知啓発という観点、また企業に対する支援という観点で、現場の課題を踏まえて、これまで以上の取組を進めていっていただきたいというふうに強く思います。

武見厚労大臣、いかがでしょうか。

武見国務大臣 委員御指摘のとおり、介護離職を防止するためには、家族の介護に直面した方が介護サービスや介護休業制度等を活用しやすくすることが極めて重要だという共通認識を持っております。

このため、地域の皆様が介護に関する様々な情報につながることができるように、御指摘の地域包括支援センター、これはおおむね中学校区に一つあって、今、全国に約五千四百か所ありますけれども、これを通じて、やはり、リーフレット等、周知徹底させて、こうした仕組みを使いやすくさせる、これをとにかく徹底してやるということを申し上げておきたいと思います。

それから、介護休業等を取得しやすい職場環境にすることが重要であって、今年度より、介護休業取得者の業務代替体制の構築に取り組む中小企業事業主への助成を行っております。加えて、中小企業における代替要員確保等のノウハウを持つ、仕事と家庭の両立支援プランナーの派遣による支援も行っております。

さらに、現在、仕事と介護の両立支援の在り方について労働政策審議会でも御議論をいただいておりまして、その中の論点の一つとして、社内制度等について労働者への周知を強化するものもその中に含まれております。それから、先ほどの、企業への支援の活用状況などについても今後の検討にしっかりと生かしていきたいと思っております。

いずれにせよ、介護で離職することなく仕事を継続できる社会の実現を目指して、御指摘を踏まえながら、仕事と介護の両立支援にしっかりと取り組んでいく所存でございます。

國重委員 是非よろしくお願いします。

以上で終わります。ありがとうございました。

 
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