活動報告

国会質疑

被害者救済、より確実に 衆院法務委で国重氏が質問、大口氏が答弁

2023年12月1日付公明新聞より転載

旧統一教会問題 立維案「実効性に懸念」

衆院法務委員会は1日、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の被害者救済に向けて自民、公明、国民民主3党と、立憲民主、日本維新の会2党が提出している議員立法2法案の審議を行った。

質問に立った国重徹氏は、自公国3党の法案について「実務が確立している民事手続きを十分に機能させることで、より確実な被害者救済を図ろうとしている」と評価。法案提出者の大口善徳氏(公明党)は、迅速で円滑な被害者救済に向け、民事手続きの活用を促進すると述べた。

一方、国重氏は教団の「包括的な財産保全」を可能にする立維2党の法案を巡り「実効性があるか懸念がある」と指摘し、効果に疑問を呈した。

これに先立ち法務委員会は、文部科学委、消費者問題特別委との連合審査を実施した。

外部リンク>>衆院法務委員会 2023年12月1日

外部リンク>>衆院法務・文部科学・消費者問題連合審査会 2023年12月1日

第5号 令和5年12月1日(金曜日)衆院 法務委員会 会議録

武部委員長 次に、國重徹君。

國重委員 公明党の國重徹です。

午前に引き続いて質問をさせていただきます。

午前の連合審査における答弁におきまして、宗教法人は、信教の自由として、宗教的結社の自由に加え、宗教的行為の自由などへの配慮も求められることから、会社や弁護士法人などと同列に論じられるものではない、こういったことが示されました。

また、会社法等の財産保全の実例は、これまでの審議でも出ておりますとおり、これまで一件も把握されておりません。宗教法人法の解散命令請求では、会社法における担保措置なども外されております。

こういった中で、仮に立憲、維新案が成立したとしても、裁判所が適用違憲にならないような管理命令を出すためには、相当詳細な疎明を求めることになると思われます。旧統一教会側も、憲法適合性を含め、保全処分の発令に慎重になるべきだという主張をしてくるものと思われます。

さらに、報道などによりますと、旧統一教会の資産は一千億円程度、不動産に限っても、松濤の教団本部という動かしにくい施設を始め、百億円程度の不動産を所有しているとされております。

一方で、係属中の民事訴訟は僅か数件、保全を行っているものも把握されていない。

こういった事情を基にした主張を旧統一教会側が裁判所で展開してきた場合、裁判所が果たして包括保全処分を出せるのか。包括保全、包括保全といっても、実務の適用場面において、包括保全を前提とした実効性が果たしてどこまであるのかと懸念があります。

だからこそ、自公国案では、これまで使われてきた、実務が確立している民事手続を十分に機能させることによって、より確実な被害者救済を図ろうとしております。

その上で、自民、公明、国民案の提出者としても、この審議の中でありましたとおり、どうすれば少しでも被害者救済につながっていくのかという、これは当然考えていかないといけないことでありますし、この審議、また関係者からのヒアリング、様々なものを踏まえて、検討、協議を重ねてきたものと思います。

このことにつきましては後ほどお伺いすることといたしまして、まず、財務省にお伺いをいたします。

旧統一教会の被害者救済について、財務省としては、現行法上の制度を活用して、どのようなことに取り組むのか、答弁を求めます。

梶川政府参考人 お答え申し上げます。

旧統一教会の被害者救済については、現行法上のあらゆる制度を活用し、最大限取り組んでいくという政府方針の下で、財務省としましては、外為法に基づいて、同法上の規制の履行状況について、今後とも更に情報収集、分析に努めるとともに、外為法五十五条、これは支払い等の報告ですけれども、これに基づいて、旧統一教会より提出された海外送金に関する報告書について、所轄庁からその必要性を明らかにした上で提供の求めがあった場合には、外為法の保護法益に密接に関連すると認められるときは所轄庁に共有することとしております。

引き続き、関係省庁と連携しつつ、適切に対応してまいりたいと考えております。

國重委員 今、海外送金に関する報告書については、外為法の保護法益に密接に関連すると認められるときは所轄庁に共有すると。今回のようなケースでは文化庁に共有するということでしたけれども、この所轄庁、文化庁からの提供依頼があれば応じるんでしょうか。外為法の保護法益と密接に関連すると認められるとき、この意味も含めて、答弁を求めます。

梶川政府参考人 お答え申し上げます。

海外送金に関する報告書の共有についての具体的な判断は、これは依頼を受けて行うことになりますけれども、その上で申し上げますと、今後、所轄庁では、資産流出の状況を含む法人の財務状況を把握する取組等が進められていくものと承知しております。

そうした取組におきまして、所轄庁に対して外為法に基づく海外送金に関する報告書の情報を提供することにより、違反の有無も含めて、外為法の報告義務の履行状況についても、有益な情報を把握することが考えられます。

外為法の規制が適切に履行されることは外為法の重要な保護法益でございまして、その履行状況について有益な情報が把握されることは、外為法の保護法益に密接に関連するものと考えてございます。

國重委員 要は、所轄庁である文化庁が必要性を明らかにして海外送金の報告書について提供を求めれば、財務省としては応じるという答弁だったと思います。

ちなみに、この海外送金の報告書には、いつ、誰に、幾ら、どの銀行、金融機関を通して送ったのかが記載されていると思いますけれども、こういったことを通じて、このような海外送金についても文化庁が把握していくというようなことになると思いますけれども、念のため、重ねて、それで間違いないかどうか、答弁を求めます。

梶川政府参考人 それで間違いございません。

國重委員 こういったことによりまして、海外送金の報告書を財務省が文化庁と共有する、もちろん、これは文化庁の求めがあってですけれども、それによって、共有をすることによって、旧統一教会、旧統一教会というよりも対象宗教法人ですね、当該宗教法人に対しての財産の移動等をより把握できるようになるということであると思います。

その上で、状況に応じて民事保全をするためには、対象となる宗教法人の財産の状況が適時に把握をされて、その情報に被害者がアクセスできるようにすることが必要になります。

このような観点から、自公国案の提出者にお伺いします。

この間も様々な審議がされてまいりました。指定宗教法人、特別指定宗教法人の指定についても、もうちょっとこうすべきじゃないか、このような意見も、この審議でもありましたし、審議外のところでも指摘もいただいたところであります。こういった、指定宗教法人、特別指定宗教法人の指定も、対象宗教法人の状況に応じて、今原案があるわけですけれども、もう一歩これを工夫をして、迅速に行っていく必要があるように考えますけれども、提出者はどのように考えているのか、答弁を求めます。

大口議員 國重委員にお答えをいたします。

今御指摘ありましたように、原案、今の自公国の案におきましては、まず指定法人の指定を受けて、そして要件が整えば特別指定法人の指定を受ける、そこに時間的な間隔がある、もっと個々の被害者の皆さんが自ら権利を実現するため、対象となる宗教法人の財産の状況を適時適切に把握することが不可欠である、そういう点で、御指摘のとおり、指定に当たっても適切なタイミングで行う必要があると。

そこからですね、最初から特別指定宗教法人の要件に該当していると認められる宗教法人については、指定宗教法人に指定してからでないと特別指定宗教法人に指定できないという原案はやや慎重過ぎるのではないか、こういう指摘もありますので、例えば、指定宗教法人の指定を経ずとも特別指定宗教法人に指定することも考えられるところであります。

また一方で、迅速な観点からそうした工夫を行う場合であっても、宗教法人審議会の意見の聴取という手続は欠かせないものと考えます。

國重委員 もちろん、憲法また宗教法人法、こういったところの整合性、これは取らないといけないですけれども、より被害者救済につながるような工夫、私もしていくべきだと思います。

また、今回の審議、また関係者の聞き取りなどの中で、立担保、これが一つの大きな負担になっている、障害としては重いというような御指摘もございました。

これにつきましては、現在の自公国案、原案ですね、自公国案では立担保の援助を行う想定をしておりますけれども、これを明記をして援助をよりしっかりと明らかにすべきと考えますが、いかがでしょうか。

大口議員 國重委員にお答えいたします。

御指摘のとおり、財産保全をしようとする方にとって立担保は、これは弁護団からもありますけれども、立担保というのは大きな負担あるいは弊害になっているわけです。

その援助は重要だと考えておりますので、我々が提出する法案については、東日本大震災の法テラス特例法よりも償還免除の範囲を拡大し、必要かつ相当な範囲で免除できるものとしているわけであります。

さらに、立担保の拡充を明記をすべき、こういうのがございますので、この担保の提供に関する援助については、原則として、これは法テラスが銀行に支払い保証を委託する方法によって行うものであり、援助の利用者が直ちに金銭を返済する義務を負うものではありませんし、また、援助の利用者が、今回、本案事件で敗訴し、かつ宗教法人が損害賠償請求訴訟を提起して利用者が敗訴した場合にあっても、銀行が担保額の範囲で相手方に支払い、法テラスが銀行に立替え払いをしたとき初めて援助の利用者に償還を求めることになるわけでありますけれども、これについては、例えば、特定被害者が民事保全手続に関し故意又は重過失により相手方に損害を与えた場合などについて免除をする、こういうことを考えておるということでございます。

國重委員 こういったことも非常に大事なことだと思います。

最後の質問にさせていただきたいと思いますけれども、最後に、自公国案が被害者の円滑かつ迅速な救済に資する法案であるかどうかについて提出者に伺います。よろしくお願いします。

大口議員 ちょっと、先ほどの答弁ですが、故意、重過失がない場合に免除するということでございます。

それから、自公国案につきましては、それこそ被害者の救済を迅速、円滑にするということで目指してきました。そういう点で、民事保全という今しっかりある制度を、本当に、民事法律扶助というものを拡充して、ちゅうちょなく民事法律扶助を利用していただいて、そしてまた掘り起こしをしていただいて、民事保全でしっかりやる。そして、債権額を明確にして、そして債権届にも対応できるようにする。こういうことによってしっかり被害者を救済していくということが大事だということが一点。そのために法テラスの要件も拡充をしたところでございます。

さらに、やはり指定宗教法人の財産の透明性を高めるということが大事でございますので、今回、それについて、二十三条あるいは二十四条の特例を設けたところでございます。これによって指定宗教法人の状況というものをしっかり把握した上で、民事保全の手続を確実にやることによりまして被害者の権利の実行に資する、こういうことでやらせていただいているところでございます。

いずれにしましても、包括保全につきましては、憲法上の疑義、そしてまた、これまでに実例もない、そして、管理人の権限等、あるいはそれを無視した場合の行為についても、指摘がありましたように、無効ではないというようなこともございますので、そういう点で、自公国案について、我々は提案しているということでございます。

國重委員 以上で終わります。ありがとうございました。

 
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