活動報告

国会質疑

社会経済考慮した対策打てる体制に 国重氏  <感染症統括庁>

2023年3月16日付公明新聞より転載

15日に衆院内閣委員会で公明党の国重徹氏は、内閣官房に新設される「内閣感染症危機管理統括庁」の人員体制について、社会経済に及ぼす影響などを考慮したバランスの取れた感染症対策が打てるよう「多様な専門性を持った人材や、外部人材も活用していくことが必要だ」と訴えた。

内閣官房側は、社会経済や企業活動など幅広い分野について、専門性を持つ人材を外部からも受け入れる考えを示し「職員の配置を今後、しっかり検討する」と応じた。

外務リンク>>衆議院内閣委員会2023年3月15日

会議録

令和5年3月15日(水曜日)衆議院内閣委員会 第6号

新型インフルエンザ等対策特別措置法及び内閣法の一部を改正する法律案について

大西委員長 次に、國重徹君。

國重委員 公明党の國重徹です。

未知の感染症やウイルスに対応する際には、エビデンス、科学的知見に基づく意思決定、政策判断が重要なんだ、このことが委員からも政府側からも繰り返し述べられております。そこで、まず確認をさせていただきます。ここで所与の前提とされている新型感染症に関するエビデンス、また科学的知見とは、どういったものを想定しているのか。よろしくお願いします。

菊池政府参考人 お答えします。感染症対応におけるエビデンスにつきましては、感染防止策や保健医療上の対応を取る上で必要となる科学的根拠でありまして、例えば、感染経路や感染力の強さ、罹患した場合の症状や重症化率、致死率等の病原性などがそれに当たると考えております。

一方で、科学的知見につきましては、一般的な定義はございませんが、科学的に、すなわち再現性のある形で証明された法則であると解しております。例えば、感染防止として有効な対策を特定する際に求められるのが科学的知見であると考えております。

國重委員 では、更に確認します。

そうしたエビデンス、また科学的知見というものは、新型の、また未知の感染症に対峙する上で常に十分あると言えるんでしょうか、どうでしょうか。

菊池政府参考人 新たな未知の感染症が発生初期の段階では、エビデンスや科学的知見が十分ではない、例えば、ウイルスの病原性や感染防止策が科学的に明らかになっていないという状況もあることは想定されます。

國重委員 科学的知見、またエビデンスに基づいて合理的な政策判断をしていく、このことは重要なことであります。ただ、新型コロナもそうでしたけれども、とりわけ感染症の初期段階においては、その感染症がどういった科学的性質を持つのか十分に解明されていない、また科学的知見も不確かなものにならざるを得ない、こういった場合が通常であると思います。

にもかかわらず、感染症の対策において十分なエビデンス、確実な科学的知見を常に求めるというのであれば、新型感染症の多くで何も対策が取れない、そういった事態に陥ることになります。たとえエビデンスが不十分なものであったとしても、そのときそのときでベストと考えられる対応を政治判断としてやっていかざるを得ない、これが未知の新型感染症との戦いの特徴であると思います。

そして、そのような中、とりわけ初期段階において、感染拡大を防止するために、大きな政策判断、この決断をするということは、一国の総理であっても相当大変なことなんだろうというふうに思います。だからこそ、判断する際の考え方の軸になるようなものを、コロナ禍の教訓も生かして、あらかじめ検討しておくことが極めて重要であると考えます。

今回のコロナ禍では、平成二十九年に策定されました政府行動計画、これを基に基本的対処方針が作られて、様々な対応がなされてきました。ただ、この行動計画についても様々な指摘がされております。

今後、政府行動計画の見直しが行われるということでありますが、その見直しに当たっては、今回のコロナ禍の対応を十分に検証する、その上で、とりわけ、エビデンス、科学的知見が不足して政策決断を下すのがより困難とされる感染初期においてどのような対応が適切なのか、ここを直視した上での検討がなされるべきだと考えます。後藤大臣の見解を伺います。

後藤国務大臣 議員御指摘のとおり、エビデンスや科学的知見が十分に蓄積されていない中にあっても、特に初期段階など、適切な政策判断ができるように準備しておくことが重要と考えております。

現行の政府行動計画においても、海外発生期には病原性や感染力等について十分な情報がない可能性が高いわけですが、病原性、感染力等が高い場合にも対応できるように強力な措置を取ることとしておりまして、水際対策の開始等による具体的な対策について定めております。

どのような感染症にも対応できる普遍的な対応ルールを定めるのは難しいと考えておりますけれども、今回の新型コロナ対応の経験を十分に踏まえ、エビデンス等の蓄積が十分でない場合の対応をどうするかという視点も持ちながら、政府行動計画の見直しの検討を進めてまいりたいと考えております。

國重委員 次の新たな感染危機に備えて、しっかりとした議論、検討をお願いしたいと思います。

その上で、一般論としまして、人権に対する規制というのは比例原則、つまり、リスクの程度に応じて規制を課すことができる。これが憲法から導かれる大原則、憲法、行政法における普遍的なルールであります。

他方で、新型コロナのような新たな感染症の対応では、科学的、医学的知見が十分に得られていない段階であったとしても、政策判断をせざるを得ない。実際の感染発生の確率は低いかもしれないケースであったとしても、ある特定の業種に、社会全体の利益のため、予防的に自粛を求めたり制限を加えたりする、こういったことが起こり得ます。つまり、感染症対策においては、その性質上、予防的な措置も取らざるを得ないということになります。

しかし、先ほど大臣が、政府行動計画で、初期段階で強力な措置でしたかね、そういうようなものを取ると書いてあるとありましたけれども、しかし、予防の名の下に、その措置が際限なく拡大をして、人権に対する過剰な規制となってもいけません。

そこで、新型感染症への対策として、国民や特定の業種に自粛を求めたり権利の制限を加える場合、それらが過剰なものにならないように、留意すべきポイント、線引きのポイント、これについて後藤大臣にお伺いします。

後藤国務大臣 議員御指摘のとおり、自粛要請等により国民の権利を制限する場合には、必要最小限のものでなければならず、そのためには、実施する際の考え方や基準が必要と考えております。

特措法においては、緊急事態措置や蔓延防止重点措置を実施する際には、感染者数だけではなく、各都道府県における医療の提供の状況を勘案して判断することとされています。

また、これまでの新型コロナへの対応においては、ウイルスの特性の変化に応じて、病床の確保や発熱外来の強化といった医療提供体制における対応や、感染拡大防止措置を柔軟に見直すことにより、感染拡大防止と社会経済活動のバランスを図ってきているところであります。

感染症危機への対応に当たっては、どのような特性を有するウイルスが発生するか予見することが困難な中で、一律の基準をあらかじめ設定することは難しいと考えておりまして、国民の命と健康を保護すると同時に、国民生活や国民経済に及ぼす影響を最小にする観点から、その時々の感染状況や保健医療の負荷の状況、社会経済活動の状況等を勘案して、措置の内容や実施の可否等を判断してまいりたいと考えます。

國重委員 難しいかもしれませんけれども、今回の教訓を踏まえて、あらかじめ検討していかないといけないことはあるかと思います。

科学的知見が十分に備わっていなくても、一たび問題が生じたとき、深刻かつ不可逆的な被害が発生する場合に、何もしないのではなく、必要な対策を取るべきであるとする法原則、これを予防原則といいます。

この予防原則によりますと、ある行為が具体的な危険をもたらすかどうかが不確定、まだ可能性にとどまる段階で、予防的に、前倒しで、その行為に対する規制を講じることになります。

しかし、この予防原則につきましては、憲法学からも様々な批判がありますし、また、行政法学では、環境法制、食品安全規制等の分野を中心に議論されてきたが、批判も少なくなく、我が国では、これを法の一般原則として位置づけることは時期尚早などとされております。

感染症対策における予測に基づく規制であっても、過剰な規制とならないよう、やはり比例原則による対応を原則とすべきであります。

これまでの教訓、また法学の観点も踏まえて、一定の要素を抽出して、事後救済も含めた考え方をあらかじめ整理しておくことが重要だと思いますので、是非よろしくお願いいたします。

その上で、先ほども述べましたとおり、実際の感染発生の確率は低いかもしれないケースであったとしても、新たな感染症の対応では、特定の業種に社会全体の利益のため予防的に自粛を求めたり制限を加えたりする、こういったことが起こり得ます。これは、十分なエビデンスに基づく規制とは質的に異なります。また、命令ではない要請段階、お願いベースであったとしても、社会の同調圧力による事実上の強い効果があります。

そこで、後藤大臣、このような社会全体のための感染症対策として特定の業種に特別な負担を求める場合の補償、支援についての考え方についてお伺いいたします。

後藤国務大臣 インフル特措法の規定による緊急事態措置等に伴う営業制限により、事業者の営業の自由は一定程度制約を受けることになります。

一般に、財産権に対する制約について、憲法上、損失補償が必要となるのは、特定の者が社会生活において一般的に要求されている受忍の限度を超えるほどの特別の犠牲を受けた場合に限られるとされているところでございます。

このことを踏まえ、インフル特措法の規定による緊急事態措置等に伴う営業制限については、インフル特措法制定時の議論において、道府県など一定の広がりのある地域を対象として幅広く実施される一般的な制限であり、特定の者のみを対象にしたものではないこと、制約の程度も、社会生活において一般的に要求されている受忍の限度を超えるほどの制約とは言えず、特別の犠牲とまでは言えないことから、事業活動に内在する制約であり、憲法上の損失補償の対象とならないことと整理されており、補償という考え方は取らないこととしております。

他方、令和三年のインフル特措法の改正においては、事業者の経営や国民生活への影響を緩和するために、事業者に対する支援に係る規定、六十三条の二を整備したところであり、当該規定を踏まえ、事業者に対する支援について適切に対応していくことになると考えております。

國重委員 インフル特措法による緊急事態措置等に伴う営業制限については、事業活動に内在する制約であって、憲法上の損失補償の対象にはならない、その上で、必要に応じて政策的な支援をしていく、こういうことだったかと思います。

我が国では、ロックダウンのような強力な措置は取られませんでした。それは、公衆衛生に対する国民の関心の高さに起因するところでもありますけれども、一方で、特定の業種が社会全体のための負担をしてくれていたからとも言えます。

しかし、リスクの公平な分担という観点からしますと、特定業種のみが補償なしに社会全体の利益のために予防的に自粛を求められたり制限を加えられたりするのは、果たして適切と言えるのか。

例えば、キャバクラやホストクラブなどの接待を伴う飲食店、いわゆる夜の町は、コロナ禍において、突然、悪者のような扱いを受けました。でも、コロナ禍になる前までは、キャバクラもホストクラブも危険な業態とはされていませんでした。社会的にも公認をされ、正当に業務を行ってきた。にもかかわらず、コロナになって突然、政治、行政のターゲット、休業要請の対象となって、危険な業態であるという認識に急速に転換をされました。

こういったリスクを、たまたまその仕事をやっていた人たちに負わせるのか、社会全体が負担をしていくのか、憲法上の補償の対象になるのか。ならないとしても、実態上、補償に近い支援を行っていくのか。これ以外にも、簡易迅速な支給の重要性、これは理解をした上で、より国民の納得感を得られるような補償、支援の考え方について更に検討、整理する必要があると考えますが、後藤大臣、いかがでしょうか。

後藤国務大臣 委員御指摘の事業者への支援につきましては、時短要請や休業要請等の措置による事業者の経営等への影響を緩和するために、特措法六十三条の二において、当該影響を受けた事業者に対する国及び地方公共団体による支援に係る規定を設けているところであります。

当該規定に基づく支援については、時短要請や休業要請等に応じた事業者に対し、要請による経営への影響の度合いなどを勘案し、必要な支援を行うとともに、要請の対象となっていない事業者についても、例えば不要不急の外出等の自粛による影響を受ける場合には、効果的な支援に努めることとしておりまして、要請の内容や状況に応じた適切な支援を行えるように対処してまいりたいと存じます。

國重委員 私も、このコロナ禍において、いろいろな業種の人から話をお伺いしました。憲法上のまず補償の対象になるかどうか、これもしっかり議論すべきでありますし、これに当たらなかった場合の政策的な支援の在り方についても、やはり様々、段階に応じて考えていく必要があると思いますので、是非、深掘りの検討をよろしくお願いいたします。

続きまして、今回の改正では、蔓延防止等重点措置時及び緊急事態宣言時において、都道府県知事が事業者等に対し命令を発出する際勘案すべき事項を政令で定めることとしております。これは、これまでの運用の中で様々な課題があったからだというふうに思います。これまでの、特に必要があると認めるとき、これだけでは、都道府県知事が適切に判断することが難しい場合があったり、あるいは事業者の納得感が得られない、こういったケースもあった、こういったことを踏まえてその内容を明確化するものだと思います。

では、この政令は、具体的にどのようなファクターを踏まえて、どのようなプロセスによって定められるのか、お伺いします。

柳樂政府参考人 御指摘の規定は、昨年五月から六月にかけて開催された有識者会議において、都道府県の特措法に基づく措置について、訴訟事案も踏まえれば、個々の事例についての判断がより迅速的確に行えるよう、国が適切な運用の在り方について基準や指針を示すことが重要であるとの指摘を受けたこと等を踏まえたものでございます。

政令に規定する具体的な勘案事項については、例えば、同種の施設、業態において新型インフルエンザ等の患者が多数発生していることなどを想定しており、これまで都道府県などに対して事務連絡でお示ししてきた内容も踏まえて、施行までの間に具体化していくこととなるものと考えております。

なお、政令の制定に際しましては、行政手続法の規定に基づき、意見公募手続、いわゆるパブリックコメントを実施することになると考えておりまして、こうした手続を経た上で政令を制定していくことになると考えてございます。

國重委員 この事業者に対する命令というのは、これに違反した場合、過料という制裁を伴うものである以上、実務上慎重に運用されることが必要になりますし、しっかりとこの政令の内容を、これまでも事務連絡等でその内容は既に発出しているわけですけれども、今回わざわざ政令ということになるわけですから、より具体的な内容を今回の教訓を踏まえてしっかりと定めていく必要があると思いますので、よろしくお願いします。

次に、統括庁の人員体制について伺います。

コロナ禍においてもそうであったように、感染症への対応においては、様々な分野の専門家がその知見を集約させて、一部分だけにフォーカスするんじゃなくて、多角的な視点から対策を検討することが重要になります。

今回、医学的、科学的知見については、統括庁の外の組織として、国立健康危機管理研究機構の新たな設立が想定をされております。その上で、感染症に対応する機関である以上、当然、外部だけではなく、統括庁の中にも感染症そのものに関する専門的知見を持った職員が必要であると考えます。また、感染症の対応というのは、感染対策が社会経済活動へ及ぼす影響がどうなのか、また広報の仕方はどうなのか、様々な角度からバランスの取れた対策を講じる必要があります。だからこそ、多様な専門性やバックグラウンドを持った人材、場合によっては、企業、経営実態に詳しい経済界や自治体実務に詳しい人材など、官僚だけではなくて外部人材も活用していくことが必要と考えます。

そこで、伺います。

現在の内閣官房コロナ室は各省庁からの出向者で構成されておりますが、同じように統括庁でもその構成員は官僚のみとなるのか、あるいは、デジタル庁のように外部人材も活用していくのか。統括庁の職員構成として、どのような専門性、属性の人をどういうバランスで入れていく予定なのか、お伺いいたします。

田中政府参考人 お答えいたします。

内閣感染症危機管理統括庁におきましては、国民の生命、健康の保護と社会経済活動との両立を図りながら、感染症危機に迅速的確に対応していくという必要があると思っております。御指摘のように、様々な専門的知識を有する人材の配置、これは非常に重要な課題であるというふうに認識をしております。

統括庁におきましては、医学的知見を持っている者のみならず、社会経済や財政に専門性を有する者、あるいは企業の実際の活動について専門性を有する者、また危機管理に関する専門性を有する者、あるいは地方自治体の事務に関して専門性を有する者と、様々な幅広い分野について専門性を有する者を配置していくべきだというふうに考えております。

体制整備に当たりましては、こうした専門的な知見を有する者、これを各省庁から集めるということのみならず、例えば自治体の職員に来ていただくとか、あるいは行政以外の外部から受け入れる、こういったことも考えられるというふうに思っておりますが、具体的な職員の配置につきましては、今後しっかり検討してまいりたいというふうに考えておるところでございます。以上でございます。

國重委員 統括庁が感染症対策の司令塔機能をしっかりと発揮できるようにするためにも、多様な専門性、バックグラウンドを持った人材、これを活用していただくよう、よろしくお願いします。

次に、リスクコミュニケーションについてお伺いします。
一般論として、どんないい政策をやったとしても、それが国民の皆様に届かなければ、また、それを理解してもらわなければ、その政策の効果が十分に発揮できたとは言えません。

そこで、大臣に伺います。今回のコロナ禍における政府のリスクコミュニケーションについて、大臣はどのように評価をされているのか、お伺いします。

後藤国務大臣 感染症危機においては、感染症の特性が必ずしも明らかでないなど情報が限定されている中で、国民の皆様がパニックを起こすことなく行動ができるよう、科学的知見に基づいた正確な情報を迅速かつ分かりやすく提供するリスクコミュニケーションが重要と認識しておりまして、政府においても同様の認識に基づいて取り組んできているものと承知しています。

一方、リスクコミュニケーションの課題として、有識者等からは、専門家助言組織のメンバーの個々の発言が政府方針とそごがあるかのように国民に受け止められる場面や、専門家と行政のどちらの立場としての説明なのか分かりづらい場面が生じるなど、リスクコミュニケーションの在り方として問題があったなどの御指摘をいただいているところです。

今後、内閣感染症危機管理統括庁においては、こうした御指摘を踏まえ、科学的知見に基づいた正確な情報を分かりやすく発信していけるように取り組んでまいります。

國重委員 情報発信においては、より重要になるのは、その内容が国民の理解を伴うもので、国民の心に届くものなのかどうか、国民が受け入れてくれるものなのかどうかということであります。非常時、危機における広報は、平時の広報とは異なります。また、同じ危機対応であっても、地震や津波などの災害と、感染症などの健康危機、それぞれで置かれている人間の心理状態も異なります。こういったことから、情報発信の際にそれぞれ配慮すべきポイントというものがある、このことが専門家から指摘をされております。

今から十五年ほど前、二〇〇七年度から二〇〇八年度にかけて、既に政府においてもこの分野の研究がされております。具体的には、厚生労働科学研究として、「健康危機管理におけるクライシスコミュニケーションのあり方の検討」と題する研究が行われております。この中で様々なことを研究されて、具体的な提案もされておりますけれども、このような厚生労働省の研究で得られた知見などは、今回のコロナ禍ではどのように活用され、政府の発信はそれに基づいてどのように改善されてきたのか、お伺いします。

實國政府参考人 お答えいたします。

当時、御指摘のような知見がどのように活用されていたかについては把握できておりませんが、三年前の新型コロナウイルス感染症発生時においては、時々刻々と変化する感染状況を踏まえ、国民に対して迅速に情報発信しなければならない状況であったため、専門家などと議論しながら情報発信を行ってきたと認識しております。

また、今回のコロナ禍においては、関係省庁が連携して、政府が一体となった情報発信を行うとともに、必要な情報については、記者会見だけでなく、ポスターやSNSなどの手法を活用して、迅速かつ分かりやすく発信してきたところでございます。

一方、コロナ禍が進むにつれて、外国人コミュニティーや若者等向けの情報発信の在り方も課題として生じたため、多言語に対応したホームページやパンフレットの作成、若者に人気があるスポーツ選手等を活用した分かりやすい発信などにも取り組んできたところでございます。

國重委員 要は、私の質問に対しての回答としては、いろいろな研究はしてきた、知見も蓄積はされているけれども、今回のコロナ禍において、そのリスクコミュニケーションに関する知見というのがどのように活用されたかというのは、政府は把握していないということだったかと思います。要は、いろいろ研究しているのに、実践的な形では使われなかったということであります。

今回の統括庁、平時から様々な連携等をしながらいろいろな取組を進めていくことになりますけれども、このようなことのないように取り組んでいく必要があるかと思います。

リスクコミュニケーションは、危機対応において非常に重要であります。特に、未知の感染症が突然現れて、国民にパニックや漠然とした不安が蔓延する初動においては極めて重要であります。先ほど指摘をしました、二〇〇七年度から二〇〇八年度の厚生労働省研究当時から比べますと、今、デジタル化が急速に進展をし、情報発信、情報の受取のありようも大きく変わっております。国民の情報に対する向き合い方にも変化があり、リスクコミュニケーションのあるべき姿にも変化があります。

こうした時代、環境、人々の心理の変化、コロナ禍における事例も含めて、今後、統括庁において、リスクコミュニケーションの研究を主導して、今後の新たな感染症に適切に対応できるよう万全に備えることが必要と考えますが、後藤大臣の見解をお伺いします。

後藤国務大臣 国民や事業者の理解や協力を得ながら、感染症対策を効果的かつ迅速に進めるためには、科学的知見に基づいた正確な情報を分かりやすく提供するリスクコミュニケーションが極めて重要であると認識しています。

このため、統括庁においては、各関係省庁と連携して、感染症に関するリスクコミュニケーションの在り方について検討を進め、次の感染症危機において必要な広報を効果的に行っていけるよう準備を進めてまいります。

國重委員 是非よろしくお願いします。以上で終わります。ありがとうございました。

 
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