活動報告

国会質疑

性的少数者の権利 G7会合で議論を 衆院内閣委で国重氏

2023年2月11日付公明新聞より転載

10日の衆院内閣委員会で公明党の国重徹氏は、小倉将信男女共同参画担当相が議長を務める6月の「先進7ヶ国(G7)男女共同参画・女性活躍担当相会合」で性的少数者についての議論を深め、「理解促進や権利擁護の重要性を世界に発信するべきだ」と訴えた。

小倉担当相は「性的マイノリティ―(少数者)をはじめ、さまざまな市民社会の声を反映した議論を行えるように進めていきたい」と答弁した。

 

令和5年2月10日 衆議院内閣委員会・議事速報(未定稿)

 

○國重委員 おはようございます。公明党の國重徹です。

今日は、共生社会担当大臣、また男女共同参画担当大臣である小倉大臣を中心に質問をさせていただきたいと思います。小倉大臣には、是非、思いを込めて、熱情を込めて、御自身の言葉も交えて御答弁いただければというふうに思います。よろしくお願いします。

先日の大臣所信におきまして、小倉大臣は、多様性が尊重され、全ての人々がお互いの人権や尊厳を大切にして、生き生きとして人生を享受できる社会の実現に向けて取り組んでいきたい、こういった旨の発言をされました。

多様性を認め合っていくことが、強靱な社会をつくっていくことになります。そういった社会こそが、経済的にも安全保障的にも強靱なものになります。

この多様性に相反するもの、それが差別や偏見であります。

小倉大臣は、所信表明におきまして、性的指向、性自認を理由とする不当な差別や偏見はあってはならない、こうも述べられました。

そこで、小倉大臣に伺います。

そもそも、なぜ差別や偏見は許されないのか、どのような悪影響があるとお考えか、お伺いいたします。

○小倉国務大臣 お答えをいたします。

まず、差別とは、正当な理由なく劣ったものとして不当に扱うこと、また、偏見とは、偏った見解、中正でない意見などとされます。

他者を差別することや他者に対して偏見を持つことは、共生社会の実現を阻害するものと考えております。こうしたことから、政府においては、性的指向、性自認を理由とする不当な差別や偏見はあってはならないというものであります。

人は誰もが人と違うものだと思っております。

私自身も、やはり四十年の人生を振り返ってみますと、人と違うところはたくさんありますし、人と違うことによって悩んだり苦しんだりすることもありました。そういう意味では、こういった差別や偏見というのは人間誰しにも降りかかるものでありまして、こういった差別や偏見、不当なものを助長してしまうと、やはり一人一人が生きづらい社会になり、自分の能力や思いを発揮できない窮屈な社会になってしまうと思います。

まさにそういう社会が、経済のイノベーションを損ねたりとか、あるいは国民や社会の分断を生んでしまうということでもありますので、委員御指摘のとおり、まさに多様性を尊重することが、いろいろな意味で、経済や安全保障も含めていい影響を及ぼすものと思いますし、逆に、差別や偏見に満ちあふれた国や社会というのは、経済や安全保障の面においても非常に大きな悪影響を及ぼし得るものだというふうに考えております。

○國重委員 大臣、御自身の思いもこもった答弁、ありがとうございます。

差別や偏見というのは、差別される人に不安や緊張感などの心理的負担、こういったものをもたらします。また、健康を害する行動に走る傾向を高めたりすることにもつながる、こういったことも言われております。積もり積もって、心身の健康を害して、生命さえ緩やかに脅かしていく、そういった危険性もあるというふうに言われております。また、人々を分断して、社会全体にも悪影響を及ぼします。

ただ、差別や偏見があってはならない、そうはいっても、現実にはあります。

なぜ差別や偏見が生じるのか、小倉大臣はその原因についてどのようにお考えか、お伺いいたします。

○小倉国務大臣 お答えいたします。

理解の不足に起因した誤った思い込みが、結果として、差別や偏見に当たる言動を招き、当事者の方につらい思いをさせていることもあるんじゃないかと思っております。

私は、当事者の方々の多くが社会生活の様々な場面において困難に直面している大きな原因として、性的指向、性自認の多様性に関する理解が国民に広く普及していないこと、これが考えられるのではないかというふうに思っております。

○國重委員 今日は時間の関係で詳しくは言いませんけれども、差別や偏見の原因については、ステレオタイプによるカテゴリー化、一般化を始め、社会心理学においてこれまで様々な研究がされております。私も、今日の質疑に臨むに当たって書籍を数冊読ませていただきました。原因の把握なくして改善はないというふうに思っております。

是非、そういった心理的なメカニズムについて、担当大臣である小倉大臣については、より深掘りをして見識を深めていただいて、これからの施策に当たっていただきたいというふうに思います。

その上で、差別や偏見というのは、必ずしも悪意から生じるものではなくて、先ほど大臣のおっしゃったとおり、理解不足による誤った思い込み、こういったものから生じるものも多いと思います。

では、そのような差別や偏見をなくしていくためにどのような取組が必要と考えるか、お伺いします。

○小倉国務大臣 國重委員、この質疑に臨むに当たってかなり勉強されたということでございますので、心理的な原因も含めて、是非私どもに御教授をいただけるとありがたいなというふうに思います。私どもも、しっかりと調査研究をしてまいりたいと思います。

差別や偏見をなくすための方策ということでありますが、社会において性的指向や性自認に関する理解増進を図ること、これが差別や偏見をなくし、当事者の困難の解消につながるものと考えております。

具体的に申し上げれば、政府においては、性的指向、性自認について、職場や学校などを始めとして、社会での理解増進に向けた啓発活動の充実、適切な相談対応や人権救済等を行っていく必要があると考えており、それぞれの分野を所管をする各府省庁において適切に対応されてきた、このように承知をしております。

○國重委員 性的指向や性自認に関する理解増進をしっかりと図っていく、このことは重要であります。

ただ、その前提として、まずは正しい知識、誤りのない情報をしっかりと提供していくことが重要になります。

そこで、次は政府参考人に伺っていきたいと思います。

性的指向とは、恋愛や性愛の対象がどの性別に向かっているかを示す概念です。また、性自認とは、心の性、つまり、自分が自分の性別をどう認識しているかということですけれども、このような性的指向や性自認は個人の趣味や嗜好なのか、そうではないのか、お伺いします。

○廣瀬政府参考人 お答えいたします。

性的指向や性自認は、共に、本人の意思で選んだり変えたりすることができるものではなく、個人の趣味や嗜好の問題ではないと承知しております。

○國重委員 趣味や嗜好ではないということでありました。

では、同性愛は病気なのか、また治療の対象になるものなのかどうなのか、お伺いいたします。

○廣瀬政府参考人 お答えいたします。

性的指向や性自認がいわゆる典型とされる在り方に当てはまらないことは、医学的には病気として取り扱われず、治療の対象となるものとはされていないと承知しております。

○國重委員 そのとおりですね。

世界保健機関でも、一九九二年に、同性愛を疾病分類から削除するとともに、同性愛はいかなる意味でも治療の対象にならない旨、宣言をしております。また、我が国の精神医学上も、同性愛を精神疾患とはみなしておりません。

その上で、更に確認をしたいと思います。

現在、我が国の精神医学に関わる大部分の専門家団体、また心理学の主たる見解では、性的指向は、自らの意思にかかわらず決定される個人の性質であると言え、性別、人種などと同様のもの、また、人の意思によって選択、変更できないものとされております。

これについて、政府も同様の見解かどうか、お伺いします。

○廣瀬政府参考人 お答えいたします。

性的指向や性自認は、本人の意思で選んだり変えたりすることができるものではなく、その意味で、性別や人種などと同様のものであると認識しております。

○國重委員 そのとおりだと思います。

人事院のホームページを見させていただきました。この中にも、「専門家によると、「性的指向・性自認は、人間一人ひとりの人格に不可欠な「性のあり方」であるとともに、性に関する尊重すべき個性であり、趣味・嗜好の問題ではなく、また、変更が難しく、変更する必要もないもの」」、このように記載をされております。

つまり、同性愛、これは気づくものであって、なるとか選ぶものではありません。例えば、ストレートの男性が自然に女性を好きになるのと同じことで、これはやめろと言われても、また、やめたいと思っても、やめられるものではないということであります。

このことは、私、当事者の方から伺ってまいりました。

私の地元、大阪市の淀川区というところなんですけれども、そこは全国で初めてLGBT支援宣言というのを出したところでありまして、私も、議員になった当初、それほど、この性的マイノリティーに関する知識、必ずしも深いものではありませんでした。ただ、区役所の中、また様々な場所で、そういった当事者の方々と懇談をし、またお話を聞かせていただく中で、少しずつ理解を深めてきたところであります。

性的指向や性自認は、生まれながらの個性です。

異性愛、同性愛のどっちが上とか、どっちが下とか、そういったことではなくて、優劣のない、等しい価値の中に違いがあるだけです。

にもかかわらず、特定の性的指向や性自認についてのみ否定したり抑圧したりする、こういったことは、生まれながらのその人の個性を否定することであって、その人の存在自体を否定することにもつながります。

一方で、悪意はないんだけれども、正確な知識がないがゆえに、無邪気に当事者を傷つけるような発言をしてしまっている人たち、またそういうケースもあります。

こういったことは、加害する側が誤りのない情報を身につければ、ある程度防げるものだと思います。

だからこそ、やはり正しい知識の提供、適切な理解の促進に力を入れていくことが極めて重要であると思っております。

これに関して、これまで超党派で理解増進法の議員立法が検討をされてまいりました。我々公明党としても、この法案成立に最大限汗をかいていきたいと思っております。また、私自身も精いっぱい努力をしていきたいと思っております。G7首脳会議に先立って法案を成立させて、日本としての意思を明確に示していくべきだと私ども公明党も思っております。

そこで、小倉大臣にお伺いいたします。

最終的にはこれは議員立法でやるものですけれども、小倉大臣はこの法律を必要と考えるかどうか、お伺いいたします。

○小倉国務大臣 今までの國重議員のやり取りにあったLGBTQプラスに関する基本的な認識であっても、まだ国民の皆様に広く広がっていないというような思いを感じております。

だからこそ、先ほど申し上げたように、政府といたしましても、啓発活動の充実、相談対応、さらには人権救済等の取組を一層強化をせねばならないというふうに考えております。

その上で、LGBT理解増進法につきましては、各党において提出に向けた準備を進められていると承知をしております。

御党及び國重議員の御努力を多としたいと思いますが、政府といたしましては、先ほども申し上げたように、まずは、こうした議員立法の動きを尊重しつつ、しっかり見守っていきたいというふうに考えております。

○國重委員 議員立法ですから、大臣としてはそのように答えざるを得ないのかなと思います。

その上で、性的マイノリティーに関する理解促進は、本来、法律があろうとなかろうと進めないといけないものです。そのことは政府も認識してきました。

例えば、二〇一二年の改正自殺総合対策大綱にはこのように書かれてあります。自殺念慮の割合等が高いことが指摘されている性的マイノリティーについて、無理解や偏見等がその背景にある社会的要因の一つであると捉えて、理解促進の取組を推進する、また、教職員の理解を促進する、こういったことが明記をされております。これは昨年十月の改定でも引き継がれています。

そして、法務省、また厚労省、文科省などがそれぞれの分野で理解促進の取組を進めてきたこと、こういったことも、私、それぞれ聞いております。

その上で、先ほど大臣もおっしゃったとおり、残念ながら、正確な理解、これは大きく広がっているとは言えない。これは、民間や自治体、様々な調査結果によってこういった現状が浮き彫りになっております。

施策を総合的かつ効果的に推進するために、やはり政府として、旗振り役となる、連絡調整窓口となる担当大臣や組織を定めていくことが重要になってくると考えます。このことにつきましては、昨年六月に、我が党の性的指向と性自認に関するプロジェクトチーム、同性婚検討ワーキングチームで松野官房長官にも申入れをさせていただいたところであります。

これにつきまして、小倉大臣の見解を伺います。

○小倉国務大臣 政府におきましては、性的指向、性自認について、職場や学校などを始めとして、社会での理解増進に向けた啓発活動の充実、適切な相談対応や人権救済等を行っていく必要が、先ほど申し上げたとおり、あると考えておりまして、それぞれの分野を所管をする各府省庁において、現時点においても適切に対応されていると承知をしております。

その際、確かに、広範に及ぶ対応でありますがゆえに、御指摘のとおり、関係府省庁がお互いに協力連携することにより、政府全体として取組を進めていくことは大変重要であるとも考えております。

言及のありました理解増進法案におきましては、関係行政機関の施策の総合的かつ効果的な推進のための仕組みや、内閣府の所掌事務に基本計画の策定、推進を追加すること等の検討があったと承知をしておりまして、こうしたものも含めて、先ほど申し上げた議員立法の動きを尊重しつつ、政府としても見守っていきたいというふうに考えております。

○國重委員 議員立法の成立に向けては我々努力をしてまいりますけれども、見守るというか、もうこの法律は成立していきますし、また、法律が仮に、今みたいな状況にならなくて、なかったとしても、やはりこれは、着々と、そういった司令塔となる組織また担当大臣というのは私は必要だと思いますので、しかも、私、この分野については、現在の共生社会担当、男女共同参画担当大臣である小倉大臣が担当するのがいいのではないかと個人的には思っております。

是非、着々と準備を進めていただきたいというふうに思います。

本年六月には、G7広島サミットにおける男女共同参画・女性活躍担当大臣会合が栃木県の日光市で開催をされます。

日本語では男女共同参画大臣ですけれども、英語だとジェンダー平等担当大臣、男性と女性という性別だけではなくて、性的マイノリティーを含めたジェンダー平等と理解をされているというふうに聞いております。

小倉大臣もそういった認識であると、去年の十月ですか、そういった記者会見の折にそのようなことを言われたというふうに聞き及んでおります。

昨年ドイツで行われたG7エルマウ・サミット、その成果文書であるG7首脳コミュニケでは、ジェンダー平等のパートでLGBTQIプラスにも言及をされております。

そこで、小倉大臣、今回のG7男女共同参画・女性活躍担当大臣会合においても、性的マイノリティーについての議論を深め、性的マイノリティーに関する理解の促進や権利擁護の重要性について世界にしっかりと発信していくべきと考えますが、小倉大臣、いかがでしょうか。

○小倉国務大臣 まず、現行の第五次男女共同参画基本計画においては、性的指向、性自認を始め、障害、国籍等、多様な属性の人々の人権が尊重される社会をつくることは、それ自体が極めて重要なことであると同時に、結果として、女性が複合的な困難を抱えるリスクが減ることにもつながるものと位置づけております。

政府といたしましては、この基本計画に基づき、男女共同参画の視点に立ち、多様な困難を抱える全ての女性等に対するきめ細かな支援を行うことにより、女性が安心をして暮らせるための環境整備を進めているところであります。

御指摘のありました本年六月に栃木県日光市で開催をされますG7男女共同参画・女性活躍担当大臣会合におきましては、これまでに私自身が実施をしたG7各国の関係閣僚との意見交換等を踏まえて、女性の経済的自立、コロナ禍で顕在化した課題への対応を中心的なテーマとして議論を行いたいと考えております。

國重議員がおっしゃいましたとおり、昨年の十月に、私、ドイツのG7に参加をしましたときに、当然、英語で言えばミニスターズ・フォー・ジェンダーイコーリティーでございまして、女性の問題だけではなくて、様々な性的マイノリティーの方についても言及をされ、ステートメントも含めて言及されたところであります。

しっかり、これまでのG7プロセスを、本年の議長国である日本としても引き継いでいかなければならないと思っております。

担当大臣会合の詳細につきましては現在検討中でありますが、今申し上げた観点も踏まえつつ、性的マイノリティーを始め様々な市民社会の声を反映をした議論を行うことができるよう、プロセスを進めていきたいと考えております。

○國重委員 世界が日本を注目しております。大臣も、先日の所信表明において、冒頭の共生社会のパートで、あえてこの性的マイノリティーのことを特出しされて述べられております。大臣の本気度、これを表したものと私は感じておりますので、是非、G7の会合におきましてもよろしくお願いいたします。

その上で、性的マイノリティーの課題の解決を考える上で、当事者の声を聞いていくということは、これは不可欠であります。

G7の男女共同参画・女性活躍担当大臣会合まで、まだ時間もあります。もちろん、この会合に限る話ではありませんけれども、小倉大臣にはこれを契機に、当事者の生の声、また、有識者の意見、また、先進的な取組をしている自治体の声など、現場の聞き取りに更に取り組んでいっていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

○小倉国務大臣 政府としては、共生社会の実現に向け、引き続き、様々な国民の声を受け止め、しっかりと取り組んでいきたいと思います。その際、御指摘のとおり、当事者を含め、社会各層の様々な御意見を受け止めることが大切であるとも考えております。

具体的に誰からどのような形で話を伺うかについては、政府全体として検討を進めてまいりたいと思っております。

○國重委員 どのような方から聞き取りをするというのは、しっかり検討していただいたらいいと思うんですけれども、その上で、やはり、大臣もG7の会合に参加されるわけですので、少なくとも大臣はしっかりとそういった現場からの聞き取りをしていっていただきたいと思います。

当事者がどんなことに困っていて、どんなことに苦しんでいるのか、この急所を外して、本当の意味での施策はあり得ないと思います。

政府、自治体で今様々な取組が進む一方で、先ほど申し上げましたとおり、性的マイノリティーの方々への理解が大きくは深まらず、権利が守られていない、こういった状態は、単なる国内問題のみならず、国際社会における日本の成長戦略にとっても大きな障壁になっています。

例えば、国際金融都市としての地位を確立するに当たって、日本以外のG7では認められている性的マイノリティーの権利擁護の仕組みがないことが、魅力的な投資先また勤務先として日本が選ばれることの障壁となっております。

このことは、在日米国、欧州、またオーストラリア商工会議所からも意見書として表明がされております。

政府として、しっかりと取り組んでいっていただきたいと思います。

その上で、これまでるる述べてきましたとおり、性的指向や性自認はあらゆる人に共通する事項であります。

だからこそ、性的マイノリティーの課題の解決には、少数者に権利を認めるとか与えるとか、こういった視点ではなくて、元々同じ権利があるんだということを前提に、人権保障を阻む障害を除去するという視点で取り組むべきものと考えます。小倉大臣、いかがでしょうか。

○小倉国務大臣 お答えします。

一番最初の質問で申し上げたとおり、人はそれぞれみんな違うものであります。その違いによって、あらゆる人が悩みを抱いたり苦しんだりするわけでありまして、まさに全ての人に降りかかる差別や偏見といったものに対して、ひとしくそれが、何か障害があれば除去していくのが我々の役割ではないかというふうに思っております。

その意味では、共生社会は、全ての人々が生命と自由を確保し、それぞれの幸福を追求する権利、あるいは人間が人間らしく生きる権利で生まれながらに持つ権利が尊重される社会でありまして、特定の方々を理由なく特別扱いするものであってはいけないと思っております。

差別や偏見のない共生社会の実現に向けて、引き続き、様々な国民の声をしっかり受け止めながら、真摯に取り組んでまいりたいと思っております。

○國重委員 二〇一一年十二月十日、当時アメリカの国務長官であったヒラリー・クリントンさんがジュネーブの国連ヨーロッパ本部で、性的マイノリティーの人権についてスピーチをされました。

こういった内容です。

世界人権宣言が採択されたときには、LGBTの課題についてはそれが人権課題であるとは考えられていなかった、しかし、それが人権課題であると考えるべきときとなった、そのことは、LGBTのために新しく特別な権利を創出することではなく、むしろLGBTの人たちが今までもずっと持っていた権利を尊重することを知ったと言うべきである、こういった演説でありました。

性的マイノリティーの方たちを含む全ての人は、当然ながら、生まれながらにして自由であり、かつ尊厳と権利とについて平等であります。

特別な恩典として権利を与えるというのではなくて、これまで差別にさらされたり権利を制限されていた状況をなくしていく、このことこそが性的マイノリティーの人権保障である、こういった視点で取り組んでいくことが大事であると思います。

これからの日本は、複雑な課題がたくさんあります。解決は一筋縄ではいきません。どれだけ優秀でも、同質性が高い組織だと盲点が多くなります。

だからこそ、多角的な視点で解決能力を高めていく必要があります。

そのためにとりわけ大事なことは、我が国の政治や行政において意思決定に関わる層が、より多様性に富んだものとなっていくことが大事だと思います。

しかし、今、そういった意思決定層は、中高年の男性が多くて、女性や若者、性的マイノリティーの方たちの割合が少ない、これが現状であります。

意思決定をする層が、多様性に富んだもの、また多様性に寛容なものにならない限り、社会全体が大きく変わっていくことはできません。

そして、多様性に寛容な社会では一人一人が感じている幸福度が高いということ、これも様々な調査で結果が出ております。

課題先進国だからこそ、多様性を生かし、創造性と幸福度の高い社会をつくっていく、そのために、政治や行政の意思決定に関わる層が、女性や若者、性的マイノリティーを含めたより多様性に富んだものとなるような仕組みや制度を構築していくべきと考えますが、大臣、いかがでしょうか。

○小倉国務大臣 私も國重議員の御意見に全く同感でありまして、やはり、我が国の経済社会、長らく停滞にあえいでいた原因の一つというのが、非常に単調な社会であったのかなと思います。単調な社会であれば、リスクを十分に避けることもできませんし、新たなアイデアも生まれにくくなるということもございます。

そういう意味では、この性的マイノリティーだけではなくて、女性の活躍、あるいは幅広い年代が意思決定に参画をできる社会というのが大変重要だと思っております。

女性のマネジメントにおける割合を伸ばすということにつきましては男女共同参画の第五次計画にも書かれておりますが、それに限らず、多様な社会こそが我が国の経済社会の発展のエンジンであるという認識の下で、共生社会担当、さらには男女共同参画担当大臣として、しっかりと職責を果たしてまいりたいというふうに思っております。

○國重委員 多様性を生かした創造性と幸福度の高い国づくり、私もしっかりと頑張って進めてまいりたいと思います。

以上で私の質疑を終わります。ありがとうございました。

外部リンク>>2月10日衆議院内閣委員会

(写真=答弁をする小倉将信男女共同参画担当相)

 
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