活動報告

国会質疑

ワクチン開発で首相、迅速な承認へ制度見直し  衆院予算委で国重氏

2021年5月11日付 公明新聞より転載

衆参両院の予算委員会は10日、菅義偉首相らが出席して内外の諸課題をテーマに集中審議を行い、公明党から衆院で国重徹氏、参院で里見隆治氏が質問した。

国重氏は、大阪府で新型コロナウイルス感染者向けの病床が逼迫している原因として「中等症、軽症の患者の受け入れ態勢が整っていない」と指摘し、「回復した後、引き続き入院が必要な患者を受け入れる『後方支援医療機関』の体制を一層強化していくことが必要だ」と訴えた。田村憲久厚生労働相は「各自治体と協力し、病床を確保できるよう努力する」と答弁した。

国産ワクチンの早期実用化に向けて国重氏は、実施が困難になっている最終段階の治験(第3相試験)のあり方に関して、欧米の規制当局との議論を主導して新たな基準を作成するよう迫るとともに、承認手続きの迅速化を求めた。

>>外部リンク 「後方支援病院」強化を

予算委員会集中審議 質疑全文

○國重委員 おはようございます。公明党の國重徹です。

コロナ対策の切り札、これは何といってもワクチンであります。ワクチンの幅広い接種が、国民の皆さんの命を守るとともに、最大の経済対策にもなります。

総理は、六十五歳以上の高齢者のワクチン接種について、七月末までに完了させると、一つの明確な目標を打ち出されました。これについても、いろいろな批判はあるかもしれませんけれども、私は、トップリーダーのこういった明確な打ち出しは極めて重要だと思っております。

まずは、総理、その達成に向けて、自治体ごとに様々な状況がありますので、それを見極めて国が全面的なバックアップをしていっていただきたい、そう思います。国民の皆さん、政府に対しても様々な不満を持っておられます。目に見える施策を次々と打っていくことが国民の皆さんの信頼回復にもつながります。

その上で、六十五歳以上の高齢者のワクチン接種が完了したとしても、まだ多くの方の接種が残っているわけであります。それも見据えて、迅速に接種できる体制を前倒し前倒しで整備していく必要があると考えます。

そうした中で、重要なポイントは大きく三点、まずワクチンの確保ができていること、そして接種を受けやすい環境が整備をされていること、さらに接種の担い手が確保されていること、大きくこの三つに分解されると思います。

このうち、ワクチンの確保については、九月末までに十六歳以上の対象人数分を確保できるめどが立ったということですので、あとは、引き続き、自治体に対してワクチンの供給スケジュールを速やかに示して、準備ができる体制を整えていっていただきたいと思います。

他方で、接種を受けていただきやすい環境につきましては、今後、国が確保した大規模施設での接種も行われる予定になっております。ただ、六十五歳以上の高齢者以外の接種になりますと、年齢も若くなって、働いている人も多くなってまいります。そこで、例えば、職域なども含めて、より接種を受けていただきやすい環境をつくっていく必要があると考えます。河野大臣の見解をお伺いいたします。

○河野国務大臣 御指摘のとおり、現役世代になりますと、通勤通学されている方が非常に多くなります。居住地で打つだけではなく、通勤先などの職域での接種というのも当然に考えていかなければならないと思っております。今様々な検討をすると同時に、今後要請もしていかなければならないと思っております。確定次第、しっかりと広報できるように努めていきたいというふうに思っております。

○國重委員 ワクチン接種はスピードが重要ですので、是非前倒しをして検討していっていただきたいと思います。

接種を受けていただきやすい、更なる環境の整備のためには、接種の担い手となる医療従事者の十分な確保も必須となります。現在進めている高齢者の接種の進捗、そこで得られた経験なんかも踏まえまして、ワクチンを打つことができる医師や看護師等の更なる確保、また、医師や看護師、歯科医師以外にも接種の担い手を拡大していく、こういったことも検討していく必要があると考えます。さらに、例えば薬剤師の方に薬液の希釈とかシリンジの充填、こういったものをやっていただいて、本来接種の担い手である看護師や医師には接種に専念していただく、そういったやり方もあるかと思います。

今は平時ではなくて非常時であります。高齢者のワクチン接種後も見据えた迅速な接種体制の強化のために、前例にとらわれず、あらゆる手だてを講じていただきたいと思いますけれども、河野大臣の見解をお伺いいたします。

○河野国務大臣 現時点で、ワクチン接種に携わっていただいている医師、看護師、まだまだ、全体の中の割合でいうと、更に拡大する余地があると思っております。新たな財政的な措置もお決めいただきましたので、まず、医師、看護師について、しっかり御協力を呼びかけてまいりたいと思っております。

また、潜在的な看護師の皆様につきましても、先ほど答弁しましたように、様々な特例措置を設けております。

また、委員御指摘いただきました薬剤師さんにつきましても、希釈、充填の準備を手伝っていただいている自治体が増えてきているようでございますので、医療従事者の皆さんのお力をおかりしながら、スピードアップに努めてまいりたいと思っております。

○國重委員 総理が一日百万人の方にワクチン接種をするんだということを打ち出されているわけですから、本当に今の取組で十分なのかということはよくよく精緻に検討していただいて、従来の予防接種の枠組みにとらわれない柔軟な取組を是非、河野大臣の突破力で、よろしくお願いいたします。

次に、国産ワクチンの開発促進に関して、菅総理にお伺いいたします。

日本で特有の変異株ができた場合に、それに効くワクチンを海外メーカーが作ってくれるとは限りません。国産ワクチンの開発は、医療の安全保障の観点からも極めて重要であります。

我が党が、現在開発を進めている国内の製薬メーカー四社からヒアリングを行ったところ、どの社も、大規模な最終段階の治験、第三相治験について、各国でコロナの感染拡大とワクチン接種が進んでいる中で、その実施が極めて困難な状況にあるという窮状を訴えられました。

だったら、総理、政府は第三相試験を強力に支援したらいいじゃないですか。どのメーカーも、どの国のメーカーも困っているわけですから、欧米の規制当局と話し合って、国がリーダーシップを取って新たな作成基準を作ったらいいんじゃないですか。それでも難しいんだったら、さらに、国内のあらゆる制度を使って、例えば条件付早期承認制度なんかをワクチンに活用する、こういったことはできないのか。

我が党が先月二十八日、ワクチンの開発を急ぐよう、総理に緊急提言の申入れをいたしましたけれども、改めて、総理、国内ワクチンの一日も早い供給の実現、これを強く求めますが、総理の見解、御決意をお伺いいたします。

○菅内閣総理大臣 先ほど来お話ありますように、ワクチンは感染対策の決め手だという意識であります。さらに、国内で開発、生産をし、速やかに接種できる体制を確立するというのは、危機管理上も極めて重要だというふうに認識しています。

このため、政府としては、ワクチンの大規模な臨床試験の実施費用の補助、ここは行ってきています。

また、治験において、発症予防効果を検証する、従来の方法に代わる新たな方法での治験の実施について、政府としては既に、国際的な規制当局の会合で我が国から提案をしているところであります。

危機管理上の対応として、安全性、有効性の確認を前提としながらも、より速やかに承認できるような承認制度の見直しを検討する必要があるというふうに考えています。御指摘の条件付早期承認制度の、ワクチンに転用することについて、国会の附帯決議の中で、特に慎重に検討するとされております。

こうした点も含めながら、感染が落ち着いた段階では、しっかりと検証した上で検討しなきゃならないというふうに思っていますけれども、現在においては、先ほど申し上げましたように、従来の方法に代わる新たな方法で、治験の実施について、国際規制当局の会合で日本からそこについては提案をしております

○國重委員 総理のリーダーシップで、国家戦略としての国産ワクチンの供給の一日も早い実現、是非よろしくお願いします。

そして、今、新型コロナで大変な状況にある方たちがたくさんいらっしゃいます。私の身近でもお亡くなりになった方がいらっしゃいました。総理も真剣勝負で、今、陣頭指揮を執られていると思います。総理の真摯な思い、情熱が国民の心に響くように、是非次々とメッセージを出していただきたいと思います。

そして、ワクチンとともに重要なのが、医療提供体制の強化であります。

医療の提供能力が感染の拡大に追いつかず、医療が逼迫しております。特に危機的状況が続いているのが、私の地元である大阪府です。病床が満杯で、入院や転院ができないケースが続出をしております。コロナ以外の患者にもしわ寄せが行って、救える命が救えない、こういった極限的な状況にあります。広域支援でこの難局を乗り切るしかありません。

国は、大阪府の要請を受けて、人材派遣として、四月八日以降、重症患者に対応できる看護師を五月六日時点で新たに百四十名以上派遣できるようにしました。病床確保については、都道府県と一体となった調整を行ったことで、四月八日以降、約九百床を新たに確保できる見通しとなっております。

ただ、それでも重症者ベッドは逼迫しているんですね。実際は重症者なんだけれども中等症扱いになっている患者の方もいらっしゃいます。そもそも、日本は世界一の病床大国です。人口千人当たりの病床数はOECD加盟国平均の約三倍であります。そして感染者数は欧米と比べて少ない。それなのに医療が逼迫している原因、それは、医療機関の役割分担や連携がうまく進まないで適切に活用されてこなかったからであります。中等症、軽症の患者の受入れ体制が整っていない、そのことで、重症から中等症、軽症に移行した回復期の患者の方がそのまま重症者用のベッドにとどまっている、そういった事態も生じております。

そこで、田村厚労大臣、新型コロナ用の病床の対応能力を拡大していくためにも、コロナから回復した後、引き続き入院が必要な患者を受け入れる後方支援医療機関の体制を一層強化していく、このことが必要と考えますが、田村大臣のお考えをお伺いいたします。

○田村国務大臣 大阪も、もう兵庫も今大変な状況でございます。

大阪は、コロナ重症センター、これは、今言われたとおり、広域的に人材等々の確保ということで、看護師、今大体百名強ですね、もう百四十名決定したので、百名強がもう動いていただく、こういう状況になりつつあると思いますが、そういう中で、重症センターも三十床は全て今動き出しております。

三月に、今委員おっしゃられたとおり、実はもう次に向かっての感染というものが我々も予測できるものでありますから、事務連絡を出させていただきまして、ここで、重症病床、それから中等症の病床、あとは療養施設、こういうものも含めてでありますが、あわせて後方支援、これは大変重要であると。役割分担をしっかりしていただかないと、日本の場合は、どちらかというと民間の医療機関、特に中小の医療機関が多いものでありますから、コロナの患者はなかなか感染管理上診れないけれども、コロナから回復された後まだ家に帰れないような、そのような患者の方々を受け入れられる医療機関は、これはあるわけでございますので、そういうところに受け入れていただこうということでお願いをさせていただいております。

あわせて、やはりいろいろな形で対応いただかなきゃいけませんので、いろいろな加算も増やさなきゃいけないということでございまして、二類感染症の入院診療加算でありますとか、救急医療管理加算、こういうものを、二つ合わせると大体当初の六倍、七倍近くつけさせていただいて対応いただくということで今お願いいたしております。

いずれにいたしましても、数限られた病床等々をしっかり有効に活用いただかなきゃならぬわけでありまして、しっかりと我々の方も、各自治体と協力しながら、コロナの病床を確保できるように努力してまいりたいというふうに考えております。

○國重委員 救える命が救えない、こういったことのないように、是非これからも次々と重層的な取組をよろしくお願いいたします。

次に、西村大臣にお伺いいたします。

今般、四都府県に発令中の緊急事態宣言が延長されることになりました。愛知、福岡の両県もその対象に追加されました。

医療が逼迫している、変異株が猛威を振るっている、その中でやむを得ない面があるとはいえ、生活、経済に大きな痛み、打撃が伴います。特に大型連休に期待していた飲食店、また大型商業施設、こういうところにとって、宣言によるダメージは非常に大きなものでした。休業要請に応じた大規模施設に対する協力金が当初二十万円とされたことに関して、こんな金額では支援にならない、政府は現場の実態を分かっているのか、こういった声も私は多く聞きました。

厳しい経営環境の中で感染防止対策を徹底してきて、クラスターも起きていないにもかかわらず、自らには何の落ち度もないにもかかわらず、休業要請等を受けることになった事業者の皆さん、そして、そこと直接間接に取引をされて影響を大きく受ける事業者の方々、こういった方々に納得のいく説明、また適切で十分な支援がなければ、これは幅広い御理解と御協力を得ていくことはできません。

その後、改善措置が講じられたことについては評価をいたします。その上で、大規模商業施設に限らず、現場の実情に応じた、よりきめ細やかな支援措置を講じていく必要があると考えます。西村大臣の御見解をお伺いいたします。

○西村国務大臣 お答え申し上げます。

今回の緊急事態宣言、そしてその延長によって、多くの国民の皆様、また事業者の皆様に大変厳しい要請をさせていただいて、それに応じていただいていることを改めて感謝申し上げたいと思いますし、御指摘のように、しっかりと支援策を講じていかなきゃいけない、そのことを強く感じているところでございます。

飲食店の皆様方には、その影響度に応じて、日額最大二十万円までの支援。そして、御指摘のように、百貨店など大型商業施設も、面積単位で、千平米単位ごとで二十万円、また、テナントの皆さんにも百平米ごとに二万円の支援ということで、規模に応じた支援策としたところでございます。

影響を受ける取引事業者の皆さんにも、二か月分として、最大四十万円、個人の事業者二十万円。また、イベントも様々、無観客、いわば延期、中止など、なっておりますので、最大二千五百万円の支援。さらには、観光事業者も影響を受けておりますので、一千億円で様々な、過去支出をした感染防止策なども含めて支援をしていくこととしております。

さらに、幅広く影響を受ける事業者の皆さんには、雇用調整助成金、これはパート、アルバイトの方、シフト減も含めて、一日最大一万五千円を国が全額支援をするということとしております。

その上で、さらに、地方創生臨時交付金、これは地域の実情に応じて、三千億円を配分させていただきましたので、地域のそれぞれの影響を受けている事業者に、県の判断で上乗せの措置あるいはより広めの措置をやっていただくこととしております。

さらには、酒類の提供停止を要請をしておりますので、そうした酒類販売店に対しては、国の支援に加えて、上限額の上乗せとか要件の緩和など、こういった支援を国がしっかりと応援をすることとしております。

いずれにしましても、こうして二重三重に支援をしてきているところでありますが、御指摘のように、今回の影響をしっかりと注視しながら、必要な対策を、予備費四・五兆円もございますので、機動的に対応していきたいというふうに考えております。

○國重委員 五兆円の予備費、それで足らなければ補正予算も組んで、しっかりとした支援、そして、それに加えて、例えば一時支援金についても、手続が煩雑だとか、条件が厳し過ぎる、こういった声もよく聞きます。そういった手続面も含めたきめ細やかな、現場の実情を踏まえた支援、是非よろしくお願いいたします。

時間の関係で、最後の質問にさせていただきます。

災害大国日本、コロナ禍であっても、災害対策は待ったなしであります。

私の地元の大阪市此花区では、海抜ゼロメートル地域が多くあります。大きな地震が起きて津波が発生したときに、安全な場所にどう避難をするのか。とりわけ、津波から逃れるための高い建物が限られている地域では、これが大きな課題となっておりました。

そこで、地元の市会議員、区役所と連携をしまして、国交省とかけ合った結果、国道四十三号線の高架の歩道部分を一時避難場所として確保、活用できることになりました。これは大阪では前例のなかったことであります。

全国には、同じように、避難できる高い建物がなくて困っている地域もあるはずであります。そこで、此花区のような取組を是非全国に広げていっていただきたいと、昨年の予算委員会で赤羽国交大臣に御提案を申し上げました。赤羽大臣から、しっかり進めると力強い答弁をいただきましたけれども、その後どのように進んでいるのか、お伺いいたします。

○金田委員長 質問時間が来ておりますので、簡単に、一言でお答えください。

○赤羽国務大臣 はい。國重委員から、昨年一月の予算委員会の御質問に引き続きまして、国土交通省としても、大変重要な対策と認識をいたしました。

全国、浸水想定の高さを超えた高速道路、直轄国道、約千八百キロメートルの区間を抽出いたしまして、関係する市町村から要請のあった全国約六百五十か所につきまして、防災・減災、国土強靱化五か年加速化対策を活用しまして、五年後の令和七年度以内に全ての区間、避難階段等の施設整備を完了するということを決めました。

防災、減災が主流となる社会を目指して、しっかりと頑張ってまいりたいと思います。

○國重委員 以上で終わります。ありがとうございました。

 

 

 
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