活動報告

国会質疑

フリーランス新法 施行へ周知が肝心 <衆院・内閣委員会> 

2023年4月6日付公明新聞より転載

5日の衆院内閣委員会で公明党の国重徹氏は、組織に属さず働くフリーランスを保護するため、業務を発注する事業者に契約内容の書面による明示などを義務付ける新たな法案に関して、効果を発揮するため「施工まで、いかに分かりやすい内容で周知していくかが肝になる」と訴えた。

国重氏は、解説動画などを作成するなど「内容、手段の工夫を」と提案。後藤茂之経済再生担当相は、動画配信を含め「さまざまな方向で周知活動を行いたい」と答弁した。

衆議院内閣委員会で質疑終局後採決が行われ、全会一致で可決、参院へ送られました。

法案の概要

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法案の目的

我が国における働き方の多様化の進展に鑑み、個人が事業者として受託した業務に安定的に従事することができる環境を整備するため、特定受託事業者に業務委託をする事業者について、特定受託事業者の給付の内容その他の事項の明示を義務付ける等の措置を講ずることにより、特定受託事業者に係る取引の適正化及び特定受託業務従事者の就業環境の整備を図り、もって国民経済の健全な発展に寄与することを目的とすること。

 

衆議院・内閣委員会 第10号 令和5年4月5日(水曜日)会議録

特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律案(閣法)

大西委員長 次に、國重徹君。

國重委員 おはようございます。公明党の國重徹です。

本法案の対象となる特定受託事業者、これは従業員を使用しないものとされております。

ただ、フリーランスであったとしても、一時的に短期間のアルバイトを雇うことは考えられます。このような場合は、常に特定受託事業者に当たらないのか。二条一項二号の、従業員の射程、内容について答弁を求めます。

岩成政府参考人 お答えいたします。

本法案の保護対象となる特定受託事業者の定義におきましては、従業員を使用しないものと規定しておりますけれども、仮に受注事業者が他者を雇用した場合であっても、短時間、短期間のような一時的な雇用であるなど、組織としての実体があると言えない場合には従業員に含まれないものと整理をしております。

具体的には、雇用保険対象者の範囲を参考に、週労働二十時間以上かつ三十一日以上の雇用が見込まれる者を雇用した場合には、本法案の従業員とすることを想定しております。

したがって、業務委託の受注事業者が、例えば、週労働二十時間未満の者のみを雇用していたり、三十日以下の雇用しか見込まれていない者のみを雇用していたりしても、特定受託事業者として本法案の保護対象となると考えております。

本法案が成立した場合には、施行日までの間に、このような本法案の従業員の考え方について、ガイドラインなどの形で対外的にもお示しすることとしたいと考えております。

國重委員 従業員の内容について確認をさせていただきました。

その上で、従業員の有無によって特定受託事業者かどうかが決まるということでありますが、従業員がいるかどうかについてはどの時点で判断するのか。

業務委託がなされた時点、発注時点で判断をするのか、それとも問題行為のあった時点で判断をするのか。従業員の有無の判断時期について伺います。

岩成政府参考人 お答えいたします。

御指摘の点でございますけれども、時点として、まず発注事業者が業務委託をする時点のみならず、問題行為のあった時点の二つの時点で、受注者たるフリーランスが従業員を雇用していない場合にのみ、先ほど申しました、従業員を使用しないものというふうにされると考えております。

他方で、取引の安定に配慮しつつ、フリーランス及び発注事業者の双方にとって明確な時点を考えていくという必要がありますので、発注事業者につきましては、まずは、フリーランスに対して業務委託を行う時点で従業員の有無を確認するということが考えられるというふうに思料しております。

國重委員 発注者側としては、従業員がいるかどうかというのを逐一確認するというのは煩雑ですし、負担になりますので、従業員の有無について、発注時点で判断すればいいということだったと思います。

その上で、発注者側に適正な取引を行っていただくことが重要になります。

この点、本法案では、五条で、特定業務委託事業者の遵守事項が定められております。ここで言う遵守事項、これにつきましては、例えば、特定受託事業者の責めに帰すべき事由がないのに、給付の受領を拒む、報酬の額を減ずる、こういった、ある意味、当たり前にやってはいけないことが定められています。

にもかかわらず、その対象となる事業者は、一項で、政令で定める期間以上の期間、業務委託を行う、つまり、継続性のある特定業務委託事業者に限定をされております。

この継続性の要件を求めた趣旨は何なのか、お伺いします。

小林政府参考人 お答え申し上げます。

本法案は、従業員を雇わず一人の個人として業務を行う特定事業者については、組織たる発注事業者との関係で、情報収集力や交渉力、こういった観点で構造的に格差が生じやすい、こういうことに鑑みまして、広く保護を及ぼしているものでございまして、下請代金法の規制対象となっていない資本金一千万以下の小規模な発注事業者であっても、従業員を使用していれば規制が及ぶということでございます。

他方で、事業者取引における契約自由の原則の観点から、事業者取引に関する規制に基づく行政の介入というものは最小限にとどめるべきであることにも留意が必要でございます。

発注事業者に対し、重過ぎる負担が生じることのないよう、また、これにより特定受託事業者への発注控えが生じる、こういったことがないよう、規制は必要最小限とする必要があると考えてございます。

この点、一般に、契約期間が長くなるほど、発注事業者と受注事業者との間で経済的な依存関係が生じ、それを利用されて不利益を受けやすい傾向にあると存じております。

現に、内閣官房が関係省庁と共同で実施したアンケート調査におきましても、主な取引先との契約期間が長くなるほど、取引先から不利益な行為を受けやすいという実態がございます。

このため、本法案においては、一定の期間にわたって継続する業務委託のみを対象として、受領拒否等の禁止義務を課すこととしたところでございます。

國重委員 今答弁で述べていただいたような趣旨からしますと、保護対象は不当に狭くならないように、この継続性の要件は、ある程度短期間に設定すべきと考えます。

この五条一項の、政令で定める期間以上の期間について、どのくらいの期間を想定しているのか、答弁を求めます。

小林政府参考人 お答え申し上げます。

政令で定める期間については、先ほど申し上げましたアンケート調査も踏まえますと、主な取引先との契約期間が三か月を超えて六か月といった長期となるほど、取引先から不利益行為というものを受けやすいという傾向が見られますので、これも一つの参考として検討することとしてございます。

この具体的な期間につきましては、先ほども御答弁させていただきましたけれども、規制対象となる小規模な発注者の負担の程度や規制の実効性、こういったもののバランスを踏まえまして、今後、関係者の意見をよく確認しながら、フリーランス取引の実態に即した期間というのを設定してまいりたいと考えてございます。

國重委員 次に、本法案では、育児、介護等との両立に配慮するよう定めた十三条一項にも、先ほどの五条一項と同様の継続性の要件が設けられています。

組織体であれば、個人の家庭の事情をカバーし合うこともできます。

でも、本法案で言う特定受託事業者は一人であるがゆえに、育児、介護等の家庭事情がもろに仕事に影響を及ぼすことになります。

こういったことからしますと、安定的に仕事を続けていくためにはやはり一定の配慮が必要で、とりわけ、実質的に依存度、従属度が高くなる一定長期の業務委託をしている事業者には適切な配慮をしてもらうことが必要になります。

他方で、長期ではなくて、単発、短期間の取引を行っている事業者にも様々な配慮を求めるというのは、これはバランスが悪いようにも思えます。

こういったことを踏まえますと、この十三条一項が想定する期間、これについては先ほどの五条一項とは差が出てくるものと考えますが、これらの期間は同じなのか違うのか。

違うのであれば、十三条一項ではどの程度の期間を想定しているのか、答弁を求めます。

宮本政府参考人 お答え申し上げます。

育児、介護等への配慮義務に係る継続性の要件については、第五条に規定する受領拒否等の禁止行為に係るものと比べて長い期間を想定してございます。

これは、育児、介護等への配慮は、当事者間に一定期間以上の取引関係があることで、育児、介護等と両立した働き方を両当事者間で調整できる関係性が生まれると考えられることから、受領拒否等との禁止と比べて比較的長い期間を設けることが適当であるためでございます。

また、政令で定める期間につきましては、内閣官房が関係省庁と共同で実施したアンケート調査におきまして、契約期間が一年以上の場合には仕事のかけ持ち数が減るという結果となっており、これも一つの参考として検討することとしてございます。

具体的な期間につきましては、関係者の意見をよく確認しながら、フリーランス取引の実態に即した期間を設定してまいりたいと考えてございます。

國重委員 このほかにも、本法案には継続性の要件を定める条文があります。今日、時間の関係で逐一確認することはできませんけれども、それらを政令で定める場合には、それぞれの趣旨、また、現場の実態、エビデンスを踏まえた検討を是非よろしくお願いいたします。

次の質問に入ります。

法律ができたとしても、それが現場に広く知られなければ効果は十分に発揮できません。

施行までの一年半、いかに分かりやすい内容で現場に届く形で周知をしていくか、これがこれからの肝になります。その前提として、今後、政令や規則などで具体的に内容を詰めることになっている事項、こういったものをなるべく早く固めて示していくことが重要であります。

その上で、内容が固まれば、発注者側、委託事業者側に対しては、関係省庁や事業者団体、商工会などを通じた様々な周知というのが考えられますので、まずはこれをしっかりとやっていく。

フリーランスについては、事業者団体に入っていない方も多いので、様々なやり方を考える必要があります。

社労士や税理士などを通じたアプローチも必要になるでしょうし、また、フリーランスの特性として、ネット上で仕事をしている人も多いことから、オンライン上でのアプローチも有効と考えます。

この点、例えば、これだけを見れば法案の内容は全部理解できるというような分かりやすい動画を、広報の専門家など外部の力もかりながら作成をする、それを役所のホームページのトップに載せたり、検索したらすぐに出てくるようにする、こういうことも大事になるかと思います。

内容、手段、いずれも工夫をして、本法案の周知に力を入れていただきたいと思いますけれども、今後の具体的な取組について、後藤大臣にお伺いします。

後藤国務大臣 本法案は、いわゆるフリーランスの方々に業務委託を行う発注事業者に対して書面交付の義務を課すこと等によりまして、フリーランスに係る取引の適正化等を図るものでございます。これらの義務を実効的なものとし、フリーランスの方々を適正に保護するためには、施行までの間に、この法律の趣旨、内容について十分な、必要があるというふうに考えております。

このため、議員御指摘の、事業者団体等を通じた周知や動画配信による周知に加えて、関係者への説明会、パンフレットの配布、関係省庁のウェブサイトやSNSへの掲載など、様々な方法で、広く国民にとって分かりやすいものとなるようにしっかりと周知活動を行ってまいりたいと存じます。

國重委員 是非よろしくお願いします。

最後の質問になります。相談体制の整備、とりわけ、フリーランス・トラブル一一〇番の強化について伺います。

今、フリーランス・トラブル一一〇番の運営は第二東京弁護士会が担っておりまして、対面、オンラインでの個別相談対応のほか、フリーランスと相手方との間に弁護士が入る和解あっせん、これも行っております。

しかし、今後、本法案が成立、施行されれば、今まで以上に全国から多数の相談が寄せられるということが見込まれます。現在の対応はオンラインが多いと伺っておりますが、対面を希望する場合はどうするのか、オンライン対応を主軸にしていくのか、担い手は第二東京弁護士会だけが担っていくのか、様々考えていかねばなりません。

フリーランス・トラブル一一〇番を全国からの相談や和解あっせんの要望に対応できるような体制へと強化する必要があると考えますが、後藤大臣の見解をお伺いします。

後藤国務大臣 今、フリーランス・トラブル一一〇番について先生の方からも的確な御説明がありましたけれども、フリーランス・トラブル一一〇番は、フリーランスの方が発注者等との取引上のトラブルについて弁護士にワンストップで相談できる窓口として令和二年十一月に設置したものでありまして、これまでに一万件を超える相談に丁寧に対応してきております。

フリーランス・トラブル一一〇番では、フリーランスの方の働く地域にかかわらず相談に対応できるように、電話やメールでも相談を受け付けているほか、オンラインを活用した和解あっせんを行ってきたところでございます。

令和五年度予算では、相談件数の増加を踏まえまして、相談対応弁護士の増員や弁護士の事務サポートを行う職員の増員等、相談体制の拡充を行っております。

本法案が成立した場合には、フリーランス・トラブル一一〇番において本法案に関する相談にも十分対応できるように相談体制の整備を図るとともに、様々な機会をつかまえて周知啓発を行うことで、働く地域にかかわらず多くの方に御利用いただけるように取り組んでまいりたいと存じます。

國重委員 しっかりとした取組を是非よろしくお願いします。

以上で終わります。ありがとうございました。

 

 
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