活動報告

国会質疑

衆院・憲法審査会 同性婚と憲法の関係について 国重氏

2023年3月3日付公明新聞より抜粋

衆院憲法審査会は2日、自由討議を行い、公明党の国重徹氏は、同性婚と憲法の関係について「判例や多くの学説が、同性婚を認めても憲法上の問題は生じないと解してる」と指摘。立法府として、同性婚の制度化に関する議論を深めるとともに、性的少数者が社会で孤立しないよう社会全体の理解を促す取り組みが重要だとの考えを示した。

>>外部リンク 衆院・憲法審査会2023年3月2日

2023/03/02 衆議院憲法審査会

公明党の國重徹です。

先ほど吉田委員の方からも言及がありましたけれども、今、性的マイノリティー、また同性婚をめぐる議論に注目が集まっております。

そこで、本日は、同性婚と憲法をめぐる学説の状況、訴訟の状況などについて若干整理をさせていただきたいと思います。

1.学説の状況

まず、時間の関係で結論のみを申し上げますと、学説において、憲法二十四条一項は同性婚を禁止している、同性婚は憲法違反とする説はほぼ見当たりません。

多くの学説は、憲法二十四条一項は同性婚を許容している、つまり立法政策に委ねられていると解釈をしております。

更に一歩進んで、憲法十三条、十四条、二十四条二項の各条項を根拠として同性婚に関する法整備を進めるべき、あるいは、同性婚は憲法上保障されていると考える見解もあります。

また、最近では、立教大学の渋谷秀樹名誉教授が、同性婚の法的承認は、許容命題〔作為、不作為のどちらも容認する命題〕から、下命命題〔作為を命じる命題〕へと変化を遂げたと見るべきであろう、同性婚の保障は日本においても義務づけられる時期が訪れたのであるとおっしゃっております。

渋谷先生に限らず、世界の動向、国民意識の変化、そして、医学的、心理学的知見を踏まえて、学説も時代とともに変化を遂げているように見受けられます。

2.訴訟の状況

また、同性婚が認められないことの違憲性を直接問う訴訟が各地で提起をされております。現時点で既に、札幌地裁、大阪地裁、東京地裁で判決が出ております。

そのうち札幌地裁判決では、同性カップルに対して、婚姻によって生じる法的効果の一部ですらも享受する法的手段を提供していないことは、立法府の裁量権の範囲を超え、その限度で憲法十四条一項に違反すると判断をしました。

他方、大阪地裁、東京地裁の両判決はいずれも、現行の民法、戸籍法の規定を合憲と判断をしております。

しかし、その上で大阪地裁判決では、同性婚等の制度の導入について何ら法的措置が取られていないことの立法不作為が、将来的に憲法二十四条二項に違反する可能性はある旨が述べられております。

また、東京地裁判決でも、現行法上、同性愛者についてパートナーと家族になるための法制度が存在しないことは、その人格的生存に対する重大な脅威、障害であり、個人の尊厳に照らして合理的理由があるとは言えず、憲法二十四条二項に違反する状態にある、そういった旨が述べられております。

このように、判例、また先ほど述べたとおり多くの学説が、同性婚を認めても何ら憲法上の問題は生じないと解しております。

また、マスコミ各紙の世論調査では、同性婚に賛成する声が多数を占めていることも明らかになっております。

こういったことを踏まえ、我々立法府としましても、法務委員会や内閣委員会等で同性婚の制度化に関する議論をより深めていくことが重要だと考えます。

3.理解増進の重要性

その上で、私は同性婚に賛成の立場でありますが、同性婚が認められれば、全ての同性愛者、性的マイノリティーが救われるわけではありません。

忘れてはいけないのは、異性愛者を中心とする社会の仕組みの中で、自分が同性愛者であるということが社会に明らかになることを恐れ、不安を抱いて生きている当事者の方たちも多くいるという実情であります。

そのような恐れや不安などから、同性婚が法制化されたとしても、それを利用できないカップルも少なからずいると思われます。

多様な個性を持つ個人のそれぞれが尊厳のある存在として生きていく社会、こういった社会を保障するのが近代立憲主義であります。

だからこそ、同性婚の制度化とともに、性的指向や性自認に関係なく、あらゆる人が自分自身を肯定できるような社会を実現すること、性的マイノリティーの当事者が社会の中で孤立感を深めないようにするための、社会全体の理解を促すための様々な取組を進めていくことが大切であります。

この点、これまで、超党派で理解増進法の議員立法が検討されてきました。

G7広島サミットを控える本年、世界は我が国の取組に注目をしております。

人権や多様性の尊重といった価値観を世界に発信していくためにも、立法府として、G7に向けて理解増進法を成立させることに力を入れるべきであると申し上げ、私の意見表明とさせていただきます。

 
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