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フリーランス保護へ新法案 適正取引で働き手に安心

2023年3月27日付公明新聞より転載

■公明、現場の声集め施策推進

公明党内閣部会長 国重徹衆院議員

フリーランスは取引上、弱い立場にある場合が多く、発注事業者から業務内容や報酬額を書面あるいはメールで示されないなど、不適切な事例も散見されてきました。フリーランスを法的に保護し、取引の適正化を図るなど、安心して働ける環境づくりが急務です。

公明党はこれまで、全国の現場の声を聴きながら、フリーランスの環境改善に取り組んできました。2017年の政府への提言では、実態把握と法整備の検討を要請。国会質疑などでも訴えた結果、20年には政府が全国調査を実施し、弁護士による無料相談窓口「フリーランス・トラブル110番」が開設されました。21年には法令順守のガイドラインも策定されています。

今回の新法案でも、公明党の主張が随所に反映されました。早期成立に向けて力を尽くすとともに、相談体制のさらなる拡充にも取り組む決意です。引き続き、誰もが自分の望むキャリアを築ける社会、多様な生き方が尊重される社会づくりへ、一人一人の当事者に寄り添った施策を進めてまいります。

 

■記事本文

組織に属さず個人として働くフリーランスを保護するための「フリーランス・事業者間取引適正化等法案」が国会に提出された。多様な働き方としてフリーランスが増える一方、弱い立場に置かれがちで、発注者からの急な契約変更など不当な扱いを受けることも少なくない。フリーランスが安心して働ける環境づくりに向けた新法案の概要を解説するとともに、公明党の取り組みなどについて党内閣部会長の国重徹衆院議員のコメントを紹介する。

政府の試算では、国内のフリーランスは2020年に約462万人で、就業者全体の約7%を占めている。年齢は40歳以上が7割を超え、スマートフォンのアプリ開発や食事宅配サービスの配達など業種も多岐にわたっている。自分のスキルや生活状況に合わせて契約ごとに報酬を得られるのが特徴で、コロナ禍で拡大した。

一方、フリーランスを巡っては、報酬の不払いや遅延、不当に安い価格で契約させられる「買いたたき」など不公正な取引が後を絶たない。公正取引委員会などによる21年の調査では、フリーランスの約4割が「依頼者から納得できない行為を受けた経験がある」と答えている【円グラフ参照】。

その内容としては、依頼者の都合による一方的な発注取り消しや発注数量の減少が最多の4割を占めた(複数回答)。

背景には、“口頭による業務発注”があると言われている。実際、政府の調査でもフリーランスが引き受ける仕事の内容や取引条件を書面またはメールで「全く示されていない」「十分に示されていない」と答えた人は4割を超えている。

こうした状況に現行のルールも対応しきれていない。「下請代金支払遅延等防止法」などにより、資本金1000万円を超える発注事業者が規制対象の取引についてフリーランスに発注する場合、書面などの交付は義務となっているが、フリーランスに発注する事業者の約4割が資本金1000万円以下で同法の対象外だ。

■発注者に業務、報酬の明示義務

このため今国会に提出されたのが新法案だ【表参照】。新法案は、フリーランスを「特定受託事業者」と位置付け、発注事業者に業務内容や報酬額を書面やメールなどで明示するよう義務付けた。

また、業務を終えてから60日以内に報酬を支払うことをはじめ、正当な理由のない一方的な報酬減額や返品、仕事をやり直させることなどを禁じた。

■不当な扱い禁じ罰則も

これに違反した発注事業者には、公正取引委員会などが立ち入り検査や命令などを行うことができる。検査を拒否したり、命令違反した場合は50万円以下の罰金を科す規定も盛り込まれた。取引の適正化を促し、トラブルの未然防止につなげるのが狙いだ。

このほか新法案では、国による相談支援体制の整備も明記。就労環境の改善に向けては、発注事業者にハラスメント被害の相談窓口を設けることを義務付けた。継続的に発注するケースでは育児や介護との両立が図れるよう必要な配慮も求めている。

 
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