活動報告

国会質疑

衆議院憲法審査会 緊急事態条項について発言

衆議院憲法審査会に出席し、緊急事態条項に関する集中的な討議において発言しました。


(国重とおるXより)

今日の憲法審での意見表明です。考えてきた問題意識を、少しずつ表に出し始めました。


<発言内容全文>

1 はじめに

中道改革連合の国重徹です。
前回の審査会で、私は、主として次のことを述べました。

選挙権は極めて重要な憲法上の権利であり、その実効的な行使は国民主権の核心である。
だからこそ、選挙の実施をできる限り可能にするため、平時から選挙制度の強靱化に力を尽くさなければならない

その選挙実施優先原則、さらに繰延投票、参議院の緊急集会を最大限尊重してもなお国会機能維持の観点から、制度的な空白が生じ得るのか。

仮に、そのような制度的空白が認められる場合には、立憲主義の観点から、「補充条項」としての議員任期特例を検討することになる。

その際、濫用の危険を防ぐために、憲法及び法律でその要件を厳格に定め、恣意的な解釈の余地をできる限り狭めることが不可欠である。
その要件の核心部分は、憲法そのものに明確に定めるべきである旨述べました。

本日は、仮に、議員任期特例を創設するとした場合の「広範性要件」と「長期性要件」を中心に、憲法の条文を手がかりに問題提起をしたい思います。

 

2 広範性要件(国会機能維持という本来の軸から考える)

まず、広範性要件について、イメージ案は「国政選挙の一体性が害されるほど広範な地域」としています。

確かに、国政選挙の公正性確保との関係で「選挙の一体性」は重要な視点です。

しかし、「広範な地域」の具体的基準が法律に委ねられることで、法改正によって要件が実質的に緩和されるリスクはないのか。

また、「選挙の一体性」が、それだけで国民の選挙権行使を延期し得るほどの憲法上の根拠となるのかについては、さらに議論を深める必要があります。

そもそも、補充条項としての「議員任期特例」の目的は政府に権限が集中しがちである緊急時において、国民の代表機関である国会の機能を発揮させることにあります。

とすれば、適正な選挙を実施した結果国会、とりわけ衆議院が「安定的」に議事を開き、議決を行い、立法機能、行政監視機能を果たし得る状態になるのかどうか、という点がポイントになります。

その意味で、着目すべきは、定足数を総議員の3分の1以上とした憲法56条1項の趣旨です。
これは、少数派の審議拒否等による流会を回避し、国会をできる限り機能させるとともに、一定数の出席により国会の権威を保つ点にあります。

この趣旨を踏まえ、どの程度の議員が選出されれば「安定的」に定足数を満たし、国会の機能を維持できるかを検討することが、条文に根拠を持つ客観的基準を考える上で、重要な視点になるのではないでしょうか。

もっとも、具体的な数値基準をどう置くかは、慎重な検討を要します。

ここで申し上げたいのは、広範性要件を単なる地域的な広がりとして捉えるのではなく、こうした「機能的な観点」からも検討する必要があるのではないかということです。

このように、憲法56条1項を手がかりに広範性要件を構成することは、認定の恣意性を抑制する上でも、重要な検討軸になり得ます。

従来の「選挙の一体性」論と合わせて、この視点からの議論を深めることを提案します。

 

3 長期性要件(内閣の正統性から考える)

次に、長期性要件について、イメージ案では「相当程度長期間」としていますが、その憲法的な根拠は何か。判断の軸がないまま、政治判断に委ねることは、立憲主義の観点から問題があります。

ここでも、憲法の条文を手がかりに考えてみたいと思います。

憲法67条1項は内閣総理大臣を国会議員の中から指名することを、68条1項は国務大臣の過半数を国会議員から選ぶことを定めています。
前者は在任要件とされ、後者は内閣の構成上の要件を定めたものとされています。

これまでの内閣の構成を踏まえると、衆議院が解散された場合には、通常、これらの要件を欠くことになります。

もっとも、この場合にも、内閣は憲法71条により、例外的に次の内閣総理大臣が任命されるまで引き続きその職務を行うこととされています。

この職務継続が憲法上認められているのは解散後40日以内に総選挙が行われ、その後30日以内に召集される特別会において新たな内閣総理大臣が指名されるという時間的枠組みがあるからです。

つまり、このような一時的な職務継続は、あくまで70日程度の間に総選挙が実施され、新たな内閣が構成されることを前提とした暫定的な仕組みといえないでしょうか。

したがって、その状態が長期化すれば憲法67条・68条が予定する議院内閣制の仕組み、すなわち内閣が国会との結び付きの中で民主的正統性を確保するという構造との関係で、「内閣の正統性」に深刻な問題が生じます

そのため、相当程度長期間とされている長期性要件を深掘りするに当たっては、議院内閣制の趣旨に照らして、どの程度の期間であれば、暫定的な内閣の職務継続を憲法上許容できるのかという観点からの議論も重要です。

 

4 認定手続(武力攻撃事態における機密情報の扱い)

以上は要件そのものの問題ですが、その要件をどのような手続で認定、承認するのかも重要です。

例えば、武力攻撃事態では選挙困難事態の認定に必要な情報が、作戦情報や同盟国との機密情報と不可分に絡み合う可能性があります

公開情報による通常の国会審議を原則としつつ、機密情報については情報監視審査会の仕組みも参考にしつつ、限定的な秘密審査手続を設けることも一つの方向性として考えられます。

しかし、機密を理由に情報提出が過度に制限されれば、国会の実質的な検証ができず、国会の承認は内閣の判断を単に追認するだけのものになりかねません。
こういった点も、議論を深める必要があります。

 

5 おわりに


イメージ案
が示されたことは、これまでの議論を可視化する点で意義のあることですが、本日申し上げたとおり、それぞれの論点を詰め切るには、さらなる議論が必要です。

先週の審査会では、平時の国会機能維持に関する「臨時会の召集期限」や「解散権行使の在り方及びその制限」を論議することについても、日本維新の会、国民民主党から前向きなご発言をいただきました。
これらは、国会機能維持の点で共通するテーマです。

仮に、新たな制度を憲法上設けるにしても、設けないにしても、問うべきは同じ
国民の権利を守るために権力をどう縛るのか
です。
その仕組みを憲法上、あるいは法律上、可能な限り明確にしていくことが、立憲主義の要請です。

その問いに正面から向き合い、国民のための真摯な憲法論議を積み重ねていく決意を申し述べ、本日の意見表明といたします。


※映像は 衆議院インターネット審議中継 をご覧ください。
2026年5月21日(木)憲法審査会
10時09分から7分間、登壇いたします。

 
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