活動報告

国会質疑

つながり築ける社会へ 国重徹内閣委員会・理事 孤立で悩む人の支援で

2023年4月20日付公明新聞より転載

19日の内閣委員会で公明党の国重徹氏は、孤独・孤立に悩む人を誰一人取り残さない社会に向け、当事者の継続的な支援と併せて、働き方や余暇のあり方、職場や家庭以外の居場所づくりなどを見直す重要性を強調し、社会構造を「人と人とがつながりやすいものに変えていく必要がある」と主張した。

小倉将信孤独・孤立担当相は、関係省庁や官民の連携の下で「取り組みたい」と応じた。

また国重氏は、社会や人とつながるためにコミュニケーション力も大切になると訴え、苦手な人がその力を高められる取り組みの強化を求めた。小倉担当相は、コミュニケーション力を育む取り組みを推進し、人とのつながりを「それぞれの選択の下で、緩やかに築けるような社会環境づくりをめざす」と答えた。

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衆議院内閣委員会 14号 令和5419日(水曜日)会議録

孤独孤立対策推進法案(内閣提出第三六号)に対する質疑

 宮路委員長代理 次に、國重徹君。

國重委員 おはようございます。公明党の國重徹です。

早速ですが、小倉大臣、大臣は、これまでの人生の中で、社会的に孤立したり、孤独感を覚えたことはあるかどうか、これはお答えできる範囲で、端的にで結構ですので、よろしくお願いします。

小倉国務大臣 私のこれまで四十年余りの人生の中で、学生のときに友人から疎外を受けたこともあります。そのときには確かに孤立をしたりとか孤独感を感じたりしましたが、私の場合、運よく、仲間に入れてくれる友人がいたりとか支えてくれる家族がありましたので、長期間孤立をしたりとか孤独を感じたりすることはありませんでしたが、やはり誰にでもそういう孤独を感じたり孤立をした状態になることがあり得るということだと思います。やはり身近な相談相手ですとかそういった方がいない場合には、しっかり相談に乗れるような行政の存在というのは重要だと思います。

今、おかげさまで忙しく仕事はさせていただいておりますが、仕事をすればするほど、それが全ての居場所になってしまいますので、そういう意味では、先ほども議論にありましたが、その仕事という居場所がなくなったときに、逆に言うと、それ以外の居場所がなければ、突然孤独を感じたり孤立状態になったりすることもあり得ますので、そういう意味では、やはり学校や職場あるいは家庭以外の第三の居場所づくりというものの重要性というものも、自分の人生の今と昔を振り返ってみると感じる次第であります。

國重委員 大臣御自身の言葉でお答えいただいて、ありがとうございました。

私も、これまでの人生経験の中で、心に痛みを伴うような孤独感、これも覚えたことがあります。ここにいらっしゃる皆様の中にも、そのような経験をされた方は少なくないんだろうというふうに思います。

政府が去年の十二月から今年の一月にかけて全国の十六歳以上の二万人を対象に実施した孤独、孤立に関する調査の結果によりますと、何らかの形で孤独感があると回答した人たちが四割を超えています。このように、誰にでも生じ得る問題で、悪影響も深刻であるからこそ、孤独・孤立対策というのは非常に重要であります。

しかし、孤独や孤立というのは、自分がそうだと認めたくない、恥ずかしい、こういった抵抗感を持つ人が少なくありません。特に、社会で一定の地位にある人はそのような傾向があるというふうに言われております。

先ほど大臣に様々語っていただきましたけれども、大臣のような社会の、また国のリーダーが、自分も孤独や孤立を感じたことがある、そういったときに誰かに相談したり助けを求めることは自分を守る上でとても大切なことなんだ、当たり前のことなんだ、こういったことを社会に発信していくこと、これによって相談の敷居も下がっていくことになると思いますし、こういった社会の雰囲気をつくることが支援の第一歩として非常に大切なことだと思います。

その上で、望まない孤独や孤立は心身に様々な影響を及ぼします。本法案でも、第一条で、孤独、孤立の状態を、日常生活や社会生活において孤独を覚えたり社会から孤立していることによって心身に有害な影響を受けている状態としています。

では、この法文で言う心身に与える有害な影響とは、具体的にはどのようなものをいうのか、答弁を求めます。

山本政府参考人 お答えいたします。

本法案では、孤独又は孤立により心身に有害な影響を受けている状態を孤独、孤立の状態と定義しております。その状態像や捉え方は人によって様々であり、解釈上も特に基準を設けることは考えておりませんが、例えば、うつ状態になることや体調面で支障を来すことなどが想定されるところです。

孤独、孤立の状態は、痛みやつらさを伴うものであり、心身の健康面への深刻な影響や経済的な困窮等の影響も懸念され、命に関わる問題であるとの認識が必要だと考えております。

國重委員 今答弁いただきましたけれども、様々な有害な影響も与える孤独、孤立とは逆に、心から信頼できる人、頼れる人たちと親密な関係性が築けていること、身近な人たちとの関係の質がいいこと、これが人の幸福を決定づける最も重要な要因であると多くの権威ある研究で結論づけられています。

これに対する小倉大臣の見解を伺います。

小倉国務大臣 國重委員御指摘のように、信頼できる他者との関係性は、人の幸福度に影響を与える要因の一つであると私どもも考えております。

国連の世界幸福度報告によりますと、我が国は、困ったときにいつでも頼れる友人や親戚はいるかを示す社会的支援など、社会関係資本に関する指標がG7の中で下位グループに位置しております。

したがいまして、政府の孤独・孤立対策におきましては、当事者等が信頼できる誰かと対等につながる形で人と人とのつながりを実感できることが重要であるとした上で、社会関係資本の充実にも資するとの考え方の下で施策を推進をすることといたしております。

國重委員 本来、人は人との結びつきの中でしか生きていけませんので、やはり、いい人間関係というのは非常に重要なことだと思います。

そういった観点から、残念な調査結果が出ております。先ほど鈴木委員の方からも少し指摘がありましたけれども、二〇二一年に内閣府が行った第九回高齢者の生活と意識に関する国際比較調査です。この調査は、日本、アメリカ、ドイツ、スウェーデンの四か国を対象にして、対象者を各国在住の六十歳以上の男女個人とした調査であります。この調査で、親しい友人がいないと答えた人の割合、男女共に日本が断トツの一位、男女合わせた平均で三一・三%。これは、他国の二倍から三倍になります。特に日本人の男性は突出しておりまして、四〇・四%が親しい友人がいないと答えています。これは、他国の男性に比べて二倍から四倍になります。

大臣、まず、この結果をどのように受け止めるか、答弁をお願いします。

小倉国務大臣 國重委員に御紹介をいただきました国際比較調査でありますが、確かに、ほかの国と比較しても、我が国は、親しい友人がいないと答えた人の割合が高い、なかんずく日本人男性が高いという調査結果が出ております。

私どもが令和三年に行いました国内の実態調査結果の有識者による分析においても、男性や中年層の孤立傾向がうかがえるところでありました。御指摘の調査に関しましても、我が国の男性に孤立の傾向があることを同様に示すものであると受け止めております。

國重委員 その上で、小倉大臣、六十歳以上の日本人、とりわけ日本人男性に親しい友人がいない、この背景にどういったものがあるのか、どのように考えているかということについて伺いたいと思います。

小倉国務大臣 個別に様々な状況がございますので、一般論になってしまい恐縮でありますが、我が国の男性は、職場や仕事上のつながりに比重が置かれ、地域活動への参加の機会が乏しいなど、地域とのつながりが希薄化してきたところ、雇用環境の変化によりまして、職場のつながりも変化してきたことが背景としてあるのではないかと考えております。

國重委員 今言われたように、働き方、雇用制度の課題もあるかと思います。また、男性は、他人に頼ってはいけないという社会通念に縛られがちであります。プライドや自尊心もあって、寂しくても、また孤独でも、それを誰かに打ち明けて頼るということはなかなかできない傾向にあるというふうに言われております。さらに、コミュニケーション能力も、一般論としては女性に比べて弱いというふうに言われておりまして、これも影響しているんじゃないかというふうにも思います。

対策を打つに当たって、まずはこの背景を的確に分析することが重要だと思います。是非、更なる分析、そして、それに基づいた適切な対策をよろしくお願いいたします。

先ほどの調査にはなりますが、親しい友人がいない六十歳以上の割合が高い、これに加えて、現在、単独世帯が約四割、今後更にその割合が増えるとも見込まれております。そうしますと、ますます社会的孤立を助長するような状況が生じて、孤独感を覚える人も増えるんじゃないかというふうに懸念をします。

この状況を何とか打開をしていく、そのためには、働き方や余暇の在り方、仕事や家庭以外の居場所づくり、こういったことを始め、社会のシステムを、時代の変化を踏まえていま一度見直す、社会の構造や国民意識そのものを、より人と人とがつながりやすいものに変えていく必要があると思います。

孤独、孤立の問題は、社会の底流に流れる非常に重要な問題です。だからこそ、今後、このような大きな視点も含めて、関係省庁とも連携しながら、この問題に取り組んでいっていただきたいと思いますけれども、大臣の答弁を求めます。

小倉国務大臣 孤独、孤立の問題は、これまで國重委員が分析をされましたように、雇用環境の変化、地域における人と人とのつながりの希薄化でありましたり人口構成の変化、こういった様々な社会環境の変化によりまして、職場や家庭、地域において、人々が関わり合いを持つことで支え合う機会が減少し、人と人とのつながりや人間関係を築くことが容易ではない社会になりつつあることが背景の一つにあると考えております。

非常に孤独、孤立の問題の原因というのは広範かつ複雑なものがあると思っております。だからこそ、二年前に担当大臣が設置をされ、今回、世界で初となりますけれども、孤独・孤立対策の名前がついた推進法案を提出をした次第でございます。

孤独、孤立の状態は、個々人の幸福度、心身の健康面に影響を与えるのみならず、社会の機能の存続にも関わる問題であり、孤独、孤立に悩む人を誰一人取り残さない社会、相互に支え合い、人と人とのつながりが生まれる社会を目指していく必要があると考えております。

孤独・孤立対策では、地域コミュニティーの形成、維持にも資するような日常生活環境における多様なつながりの場となる居場所づくりといった、予防の観点からの取組も重要であると考えており、関係省庁との連携や官民連携の下で、こうした課題に取り組んでいきたいと考えております。

國重委員 望まない孤独、孤立が人間の幸福感を大きく奪うものである以上、本質的な対策が必要になります。もちろん、担当大臣もつくって、いろいろな政策をやっていると思います。重点計画も立てて、様々な政策を推し進めていますけれども、今の政策に甘んじることなく、より本質的な対策を打っていただきたいというふうに思います。

それでは、法案の具体的な中身に入らせていただきます。

本法案では、二条に基本理念が定められています。そこで、孤独、孤立の問題は個人ではなく社会全体の課題なんだということ、だからこそ、社会のあらゆる分野で対策を進めることが重要なんだ、こういったことが明記をされています。これは非常に重要な条文です。

我が党は、二〇二一年二月に、山本香苗参議院議員を座長とする社会的孤立防止対策本部を設置いたしまして、全国の地方議員とともに、有識者また民間支援団体等からのヒアリング、また千件を超える聞き取り調査を実施してまいりました。そこで明らかになったのは、まさに人につながりたくてもつながれずに追い込まれる社会的孤立、これは個人の問題ではなく社会全体の問題なんだということです。そして、望まない孤独も社会全体の問題です。だからこそ、政府一体となって横串を刺してこれに取り組んでいかなきゃいけないと、政府に対する提言等においても繰り返し訴えてきたところであります。

こうした中で、今回、この非常に重要な理念が本法案の中で明記をされたこと、これは、今後更に対策を進めていく上で非常に意義のあることと評価をしております。

そこで、改めて、本法案二条一号におきまして、孤独、孤立の問題を社会全体の課題、社会のあらゆる分野で推進を図ることが重要と明記した趣旨、これは重要な点ですので、小倉大臣にこの趣旨について確認をしたいと思います。

小倉国務大臣 まずは、國重議員そして同僚の山本議員に、この孤独・孤立対策の議論を積極的にしていただいて取組を後押しをいただきましたこと、感謝を申し上げたいと思います。

本法案の第二条一号の趣旨について御説明をさせていただきます。

まず、孤独、孤立は人生のあらゆる場面において誰にでも起こり得るものであり、支援を求める声を上げることや人に頼ることは、自分自身を守るために必要であって、決して非難されるべきものではありません。

また、孤独、孤立は当事者個人の問題ではなく、社会環境の変化により当事者が孤独、孤立を感じざるを得ない状況に至ったものであります。孤独、孤立は当事者の自助努力に委ねられるべき問題ではなく、現に当事者が悩みを家族や知人に相談できない場合があることも踏まえると、孤独、孤立は社会全体で対応しなければならない問題と考えております。

さらに、孤独、孤立について、当事者や家族等が置かれる具体的な状況は多岐にわたり、その感じ方、捉え方も人によって様々です。こうした孤独、孤立の問題には、当事者や家族等の状況に応じた多様なアプローチや手法により対応することが求められるものと言えます。

このため、孤独・孤立対策を推進するに当たりましては、既存のあらゆる施策に孤独・孤立対策の視点を組み入れていくことが重要だというふうに考えております。

以上の趣旨に鑑みまして、御質問の本法第二条第一号につきまして、この孤独・孤立対策の基本理念を明記させていただいた次第でございます。

國重委員 孤独、孤立の問題は社会全体の課題であるからこそ、しっかりと国民の皆さんとも共有していくことが大事だと思います。先ほど鈴木委員の方からも指摘されていましたけれども、やはりなかなかこの問題が国民の皆さんに共有されていない状況もあるのではないかというふうに思います。

先ほど、我が党の取組について、山本香苗参議院議員とともに私の活動についても評価をしていただく発言をいただきましたけれども、山本議員は物すごく頑張られましたけれども、私はその対策本部に入っていたわけではありませんでしたので、中核ではやっていませんでした。ただ、この内閣委員会で法案が審議されるということで、また党の内閣部会長でありますので、その後勉強させていただきました。そうしますと、やはり孤独、孤立の問題というのは極めて大事だなということを深く認識をさせていただきました。

ですので、やはり、こういったことを国民の皆さんに広く共有するにはどういうことをすればいいのかということは是非しっかりと検討していただきたいと思います。

次に、基本理念を定める二条三号では、孤独、孤立の状況から脱却をして日常生活、社会生活を円滑に営めるようになることが目標とされております。しかしながら、日常生活や社会生活を営めていたとしても、孤独にさいなまれ、心に痛みを抱えている人たちもいます。

本法案で孤立だけではなく孤独も含んだ趣旨からしますと、そのような、一見孤立はしていない、普通に仕事や学校生活が送れているようには見える、だけれども望まない孤独を抱えて心に痛みを感じている人たち、こういった人たちも本法案の支援対象に入ると考えますけれども、いかがでしょうか。

山本政府参考人 お答えいたします。

本法案第二条第三号は、孤独・孤立対策の基本理念として、当事者等に対する支援に当たっては、その意向に沿って当事者等が社会及び他者との関わりを持つことにより孤独、孤立の状態から脱却して日常生活及び社会生活を円滑に営むことができるようになることを目標とすることについて定めているものです。

ここで特に重きを置いているのは、当事者の意向に沿った形で当事者等が社会及び他者との関わりを持つことにより孤独、孤立の状態から脱却することです。したがって、ここでの支援の対象は、日常生活又は社会生活を営むことができない方に限定するものではなく、御質問のような、現に日常生活又は社会生活を営めてはいるものの、孤独にさいなまれ、心に痛みを抱えているような方も含まれるものと考えております。

國重委員 一般的には、先ほど来出ていますけれども、孤独は主観的概念、独りぼっちと感じる精神的な状態、また、孤立は客観的な概念、社会とのつながりがない、あるいは少ない状態と言われておりますが、ある意味、曖昧さのある概念になっています。

この孤独や孤立の範囲を仮に厳格に定義した場合には、対象者が過度に絞り込まれてしまって、必要な支援につながれない人たちが出てしまうおそれもあります。そこで、孤独や孤立の内容についてはある程度緩やかに解していくことも重要だと考えますが、この点についての政府の見解を求めます。

山本政府参考人 お答えいたします。

孤独、孤立に関して、当事者等が置かれる具体的な状況は多岐にわたり、孤独、孤立の感じ方、捉え方も多様であります。

こうした中で、委員御指摘のとおり、孤独や孤立を一律に定義すると、施策の対象からこぼれ落ちてしまう方が出てくるおそれがあることから、現在の重点計画でも孤独、孤立の定義を設けていないのと同様に、今回の法案においても孤独、孤立を定義していないところです。

〔宮路委員長代理退席、藤井委員長代理着席〕

國重委員 是非、柔軟な運用、取組をよろしくお願いします。

この孤独、孤立の意味を緩やかに解して広く本法案の対象としていく必要がある一方で、自ら望んで孤独や孤立になっている場合もあります。本法案の対象となっているのはあくまで望まない孤独や社会的孤立であって、そのような場合には基本的には本法案の対象には入らないと理解しています。

他方で、周囲に助けを求める必要性を自覚できていない、でも本当は支援が必要な場合もあります。例えば、セルフネグレクトのように、生活環境や栄養状態が悪化しているのに、それを改善しようとする気力を失って周囲に助けを求めない場合もあります。あるいは、自分が孤立していること、孤独であることを認めたくない、そういった場合もあります。

本法案では、二条三号において、当事者等の意向に沿って必要な支援を行うこととされていますが、この規定によって、自治体が本来支援が必要な人に対してアプローチしなくなるような事態が生じてはいけません。ここで言う意向とは、言葉どおり、文面どおりの形式的な意向ではなくて、その背景も含めた丁寧な聞き取りを行った上で、実質的な意向に沿うようにするという意味に捉えるべきと考えますが、政府の答弁を求めます。

山本政府参考人 お答えいたします。

本法案では、孤独や孤立により心身に有害な影響を受けている状態を孤独、孤立の状態と規定しております。このため、委員御指摘のとおり、本人が望んで孤独を選択しており、孤立もしておらず、心身に何の支障も来していないような方に対してまで直ちに支援対象とするものではないと考えております。

一方で、孤独、孤立に関して、当事者等が置かれる具体的な状況は多岐にわたり、孤独、孤立の感じ方、捉え方も多様です。議員御指摘のセルフネグレクトのようなケースでは、人とのつながりを持てない様々な背景を抱えている、例えば、過去に支援を求めましたが、希望がかなわず諦めてしまったといったような場合などもありまして、こうした方々が支援から取り残されるようなことがあってはならないと考えております。

第二条第三号に言う当事者等の意向に沿ってとあるのは、孤独・孤立対策においては、孤独、孤立の問題を抱える当事者や家族等が疎外を感じてしまうような関係や支援の場に形式的につなぐことでは十分でなく、当事者や家族等が相談できる誰かや信頼できる誰かと対等につながっているという形で人と人とのつながりを実感できることが重要だという考え方を踏まえたものです。

議員御指摘のようなケースでは、支援者が時間をかけて当事者や家族等の話を聞き、寄り添いながら、少しずつ信頼関係を構築する中で、当事者や家族等が直面している課題を丁寧に解きほぐしていくことが求められると考えております。

〔藤井委員長代理退席、委員長着席〕

國重委員 今、丁寧にとありましたけれども、丁寧に信頼関係を築いて、心を解きほぐして、真意を酌み取っていけるような取組を是非よろしくお願いします。

次に、本法案では、孤独、孤立の状態にある本人だけではなくて、その家族等も含めた当事者等を支援の対象としています。

では、この法文にある「等」について、具体的にはどういう人が含まれるのか、答弁を求めます。

山本政府参考人 お答えいたします。

本法案第二条第二号において、当事者等を、孤独、孤立の状態にある者及びその家族等と定義しております。

当事者本人と家族以外では、例えば知人や友人、身近な人などを想定しており、具体的には、極めて近い関係で御家族に寄り添っているような第三者も含まれると考えております。

國重委員 家族もそうですし、当事者のすぐ近くで支えている人たちも一緒に悩んで一緒にストレスを抱えています。その人たちも対象にして支援するというのは、これは極めて大事なことだと思います。

その上で、先ほど、意向に沿ってについて確認をしました。当事者等の意向が異なる場合、これは、当事者だけではなくて家族も入るし身近な人も入るということになりますと、本人や家族でそれぞれの意向が違う場合、どのように対応することになるのか、答弁を求めます。

山本政府参考人 お答えいたします。

孤独・孤立対策においては、孤独、孤立の問題を抱える当事者や家族等が疎外を感じてしまうような関係や支援の場に形式的につなぐことでは十分ではなく、当事者等や家族等が相談できる誰かや信頼できる誰かと対等につながっているという形で人と人のつながりを実感できることが重要です。こうした考え方を踏まえ、本法案では、孤独・孤立対策の基本理念として、当事者等の意向に沿った必要な支援と規定したものです。

当事者等が心からつながりを実感できるような誰かにつなぐに当たっては、支援者が時間をかけて当事者等の話を丁寧に聞き、少しずつ信頼関係を構築する中で、当事者等が直面している課題を丁寧に解きほぐしていくことが求められると考えております。

議員御指摘のような、本人とその家族等とでそれぞれの意向が違うようなケースについても、どちらか一方ということではなく、双方に対して時間をかけて丁寧に寄り添う中で、双方の意向に沿えるような適切な支援につなげることを目指していくことになると考えております。

國重委員 支援を行っていく人たちをしっかりと支援していくことというのは大切です。そういった支援者支援を継続的にまた安定的にしていくために、今回、内閣官房から内閣府に所管を移管をして、孤独・孤立対策推進本部を設置することにしたと理解をしています。

本法案で内閣官房から内閣府に所掌を移すことによって、支援をする民間団体や地方自治体への支援がどのように強化されていくのか、伺います。

山本政府参考人 お答えいたします。

内閣官房では、これまでNPO等の取組モデルの調査や地方自治体の官民連携モデルの開発などに取り組んでまいりましたが、組織の性格上、それ以上の本格的な事業を行うことができず、孤独・孤立対策の更なる推進には限界があったところです。

本法案によって孤独・孤立対策の事務を内閣府に移管することにより、政府内の総合調整を行いつつ、NPO等の民間や地方自治体の取組への支援に係る本格的な事業を行うことが可能となります。

國重委員 次に、官民の連携についてお伺いします。

孤独、孤立の問題は様々な要因が絡み合っていますので、なかなか一人とか単独での支援対応は難しいのが現実です。

そこで、本法案の十一条では、官民の連携と協働を促進するための施策を講じることが努力義務として定められておりますけれども、政府が孤独、孤立に関する取組を進めて約二年がたちました。こうした観点からの地方公共団体や民間団体などとの連携が進んでいます。民間団体から、政府にすごく意見を聞いてもらえるようになった、法律ができて終わりじゃなくて、これからもしっかりやってほしい、こういった評価の声、要望の声、このようなことも聞いております。

そこで、孤独、孤立に関する官民の連携についてこれまでどのように進んできたのか、その成果も含めてお伺いします。

山本政府参考人 お答えいたします。

コロナ禍で顕在化した孤独、孤立の問題に対処するためには、民間団体の役割が重要であり、官民連携を以下のように進めてまいりました。

まず、政府が孤独・孤立対策を始めた令和三年二月に、「孤独・孤立を防ぎ、不安に寄り添い、つながるための緊急フォーラム」をNPO等の方々と開催し、悩んでいる方への支援策があることや、悩みを相談してほしい等のメッセージを発信しました。また、同年六月から十一月までにかけては、孤独・孤立に関するフォーラムを計十回開催し、支援活動に取り組むNPO等の方々から直接御意見を伺い、政策立案への示唆をいただきました。

こうした中で、孤独、孤立の問題に取り組む上では、支援機関単独では対応が困難な実態があることを踏まえ、官、民、NPO等の取組の連携強化の観点から、関係機関等の全国的な連携の基盤として孤独・孤立対策官民連携プラットフォームを令和四年二月に設立し、関係者による政策立案の議論等を図ってまいりました。

これまでの主な活動として、孤独、孤立に係る課題等についてテーマごとに分科会を設け、現状や課題の共有、対応策等の議論などを行い、検討成果等をまとめてきました。

特に、この検討成果等を受けて、孤独・孤立対策の重点計画へ反映できたことは大変意義があることと認識をしております。また、この検討成果等については、より多くの方に孤独・孤立対策を知っていただくシンポジウムを開催し、全国的な普及活動を行ってまいりました。

さらに、地方版孤独・孤立対策官民連携プラットフォームに係る調査研究事業に取り組み、地方における官民連携のモデル構築や、孤独・孤立対策官民連携プラットフォーム関係団体の協力の下、孤独・孤立相談ダイヤルの試行を実施し、ワンストップの総合的な相談支援体制の構築などに取り組みました。

今後とも、孤独・孤立対策の一層の充実を図るため、国及び地方における官、民、NPO等の連携強化に取り組んでまいります。

國重委員 孤独、孤立の政府の取組が始まるまでは、支援団体の連携も十分できていなくて、ある意味、孤立していたわけです。その中で踏ん張って頑張っていた。行政の側も、契約を結んだ団体とはつながったとしても、地域の様々な支援団体の動きをつぶさには見れていなかった。行政があって、民間があって、その下の民間相互の連携も閉鎖的な連携であった。

それを、かなりウィングを広げて、水平で、フラットでやっていこうと。支援している者同士でつながったり、多くの主体に関わってもらえるように広げていく。その一つの表れが、地方版の孤独・孤立対策官民連携プラットフォームだと認識をしております。モデル事業として、今、全国で二十九、設置をされています。これを全国規模に拡大していくことが必要だ、重要だと考えます。

そこで、この拡大に際しての課題やポイントについてどのように考えているのか、答弁を求めます。

山本政府参考人 お答えいたします。

地方版孤独・孤立官民連携プラットフォームのモデル事業においては、プラットフォームを設置した上で、地域の実情に応じ、地域における担い手の把握、見える化や孤独・孤立対策に関する普及啓発などに取り組んでいただいています。

官民連携プラットフォームの形成を全国に拡大するに当たっては、次のようなポイントと課題があると考えております。

まず第一に、初めから幅広く孤独・孤立対策に取り組むのではなく、引きこもりや自殺対策など、関係者の理解が得られやすいテーマを設定して、小さな成果を積み上げて、信頼関係を醸成しながらテーマを広げていく手法も有効であること、第二に、行政と民間の関係が行政を中核とした垂直型連携とならないようにし、行政と民間の強みを生かし、参画する関係者が対等に相互につながる水平型連携となるよう留意すること、第三に、官民連携プラットフォームに参加する行政、民間の関係者の多元化を図ることが重要であることでございます。

こうした地方自治体における連携強化のモデル事業は今年度も実施予定であり、本事業の成果を全国の地方自治体に共有することで、孤独・孤立対策官民連携プラットフォームの構築に全国で取り組んでいただけるよう努めてまいります。

國重委員 本法案の十五条で、自治体に対して、関係機関、団体で構成する孤独・孤立対策地域協議会を設ける努力義務を課しています。この地域協議会と官民連携プラットフォームはどのような関係にあるのか、それぞれの役割も踏まえた答弁を求めます。

山本政府参考人 お答えいたします。

官民連携のプラットフォームは、孤独・孤立対策に関わる官民の幅広い関係機関等が参画し、それぞれが対等に相互につながる水平型連携の下で、孤独・孤立対策の効果的な施策を推進する基盤となるものです。

一方で、孤独・孤立対策地域協議会は、こうした関係機関等が連携して取り組む活動の中の一つであり、当事者等への支援に関係する機関等で構成され、当事者等への具体の支援内容に関する協議を行い、連携した支援を実施するものです。

この協議会における連携した支援のためには、関係者間の信頼関係が不可欠であると考えており、官民連携のプラットフォームで情報共有や意見交換を通じて顔の見える関係を構築する中で信頼関係を構築していただき、協議会における連携した支援へとつなげていただくことを想定しております。

國重委員 次の質問に入ります。

孤独・孤立対策地域協議会が個別ケースを対応する、こういったことに当たっては、関係者の間で情報の共有が必要になります。これまでは、関係者が連携をして支援を行うに当たって、個人情報の共有に関するルールがない、このことで現場で支障が生じたケースもあったと聞いております。

この点、個人情報の問題について、本法案ではどのようにクリアされることになっているのか、お伺いします。

山本政府参考人 お答えいたします。

御指摘の協議会では、地域における当事者等への支援に関わる様々な関係者のネットワークの下、協議会を構成する関係機関等が、共通の情報及び認識の下で当事者等への個々の支援を円滑に行えることが重要になります。

支援に当たって必要となる当事者の個人情報については、基本的には本人の同意を得た上で協議会の構成機関等が共有することになるものです。

一方で、例えば当事者がセルフネグレクトの状態であるなど、本人に自覚がなく、個人情報の提供に同意しないケースも想定され、こうした場合においても、協議会の構成機関等が必要な個人情報を共有した上で支援を行うことを可能とするため、所要の規定を設けております。

具体的には、協議会が構成機関等に対して必要な情報の提供を求めることができる規定を設けており、今後、関係機関と調整をしまして、この規定の求めに応じることが、個人情報保護法上、例外的に本人の同意なく個人情報を第三者に提供できる場合である「法令に基づく場合」に該当する具体のケースを整理し、法案成立後の法の施行までに通知等でお示しすることとしています。

國重委員 個人情報に関する法制上の手当ては必要です。一方で、孤独、孤立はセンシティブな問題ですので、個別ケースの情報共有をスムーズに行うためには、自治体や支援機関の信頼関係を築くことも重要になります。これまで、自治体との信頼関係が構築できていないことがネックになって、既存の孤独、孤立に関する支援の枠組みに入りたくても入れないNPOなどが少なからずありました。

支援を必要としている人たちを適切な支援につなげていくためにも、これまでも述べましたとおり、様々な主体に支援の輪に加わってもらうことが大事です。そのためには、まず、個別ケースの情報までは取り扱わない官民連携プラットフォームに幅広い主体に参加してもらうこと、そして、顔の見える信頼関係を築いた上で、地域協議会にもできるだけ多くの主体に参加してもらうようにしていく、こういった段階的に支援の輪を広げていくというような工夫が必要だと思います。

そのためにも、そのことをガイドラインなどでしっかり示した上で、支援の輪を着実に広げて、適切で充実した支援につなげていくことが必要と考えますが、いかがでしょうか。

山本政府参考人 お答えいたします。

議員御指摘のとおり、官民の幅広い分野の関係機関等に連携プラットフォームに参画いただくとともに、情報共有や意見交換を通じて顔の見える関係を構築する中で信頼関係を構築していただき、協議会における連携した支援へとつなげていただくことを想定しています。

こうした点について地方自治体に十分御理解いただいた上で実効ある支援につなげていただけるよう、法の施行までの間に、地方団体も含めた関係者の御意見を伺いながら、官民連携プラットフォーム及び地域協議会の関係性や、これらの運用についての考え方をまとめ、通知等でお示ししていきたいと考えております。

國重委員 ありがとうございます。

次に、本法案十二条の人材の確保等についてお伺いします。

ちょっと私、法文に沿って質問していますけれども、法案審査ですので、誰かがこの法案の文言をきっちり確認していかないといけないという思いで、法案で、白地的にやると、余りえぐった質問はできないかもしれませんけれども、重要なことだと思いますので、確認をしていきます。

人材には、専門家もいれば身近な人もいます。ここで言う人材とはどのような人をいうのか、また、人材の養成、資質の向上に必要な施策とは具体的にどのようなことを考えているのか、お伺いします。

山本政府参考人 お答えいたします。

当事者等への支援を行う人材としては、まず一つには、福祉や医療など、孤独、孤立の当事者等に関わり得る、既存の様々な支援に当たる専門職の方々、そのほか、第二には、家族や友人など当事者の周りや身近にいる方についても想定しております。

また、人材の養成、資質の向上に向けた取組について、具体的には、当事者等の支援に当たる方が孤独、孤立に関する理解や知識を習得できるように工夫を行うことや、家族や友人など当事者の周りや身近にいる人が理解を深めて、当事者の状況に気づき、手助けできるようにするなど、声を上げやすい、声をかけやすい環境整備に向けた取組などを想定しております。

國重委員 そのような人材によって今後様々な支援がなされていくことになりますけれども、当事者がどのような支援や相談のやり方を求めているのか、個別ケースごとに把握するのは当然でありますけれども、これを広く確認、分析する必要もあると思います。

これまで政府は、令和三年十二月、令和四年十二月に孤独、孤立に関する全国の実態調査を行っております。ただ、孤独、孤立の状態にある当事者等に、どのような支援が望ましいと思っているのか、こういったことを尋ねるようなことはしておりません。

いろいろ工夫は必要だと思いますけれども、今後の実態調査においては、自由記載欄も含めて、そのような項目を設けることも検討していただきたい。また、今やっている全国の実態調査で難しければ、ほかの調査でも構いませんので、そういった、広く、何を求めているのかというようなことも是非調査分析をしていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

山本政府参考人 お答えいたします。

委員御指摘のとおり、孤独や孤立を感じている人がどのような支援を求めているかという観点は大変重要だと考えております。

支援に関する当事者のニーズを把握する上で統計調査という手法がなじむのか、それとは別の機会、方法での把握の仕方があるのかなど、専門家や有識者の御意見も伺いながら検討を進めてまいります。

國重委員 次に、本法案の八条三項で、孤独・孤立対策本部が作成をする孤独・孤立対策重点計画に定める施策は、原則、その具体的な目標、達成期間を定めるものとするとされております。

目標は大切です。一方で、孤独・孤立対策の全てが数値に表れるものではありません。やり始めの段階でぎちぎちに目標管理をやっていく、また数値を過度に意識するのはよくないようにも思います。バランスを取りながら、対策を実質的、継続的に進めていく、そのための目標、達成期間にする必要があると考えますが、いかがでしょうか。

山本政府参考人 お答えいたします。

本法案に基づき作成することとなる孤独・孤立対策重点計画においては、孤独・孤立対策の具体の施策を盛り込み、施策ごとに目標及びその達成期間を定め、適時に目標の達成状況を調査することとしています。

一方で、孤独・孤立対策の総合的な評価、検証については、孤独、孤立の問題を抱える当事者等の状況が様々であることから、議員御指摘のように、定量的な効果測定は難しい面があると考えています。これまでの有識者会議においても、孤独・孤立対策では継続性が大事であり、評価という手法がなじむのかといった御意見や、取組のプロセスを見ていくことが重要ではないかといった御意見があったところです。

このため、孤独・孤立対策の実施に当たっては、目標設定や評価を形式的に行い孤独・孤立対策が実質的に損なわれることのないように留意をしてまいりたいと考えております。

國重委員 これまでるる政府参考人に対応していただきましたけれども、次は、私は重要だと思っていますので、小倉大臣にお伺いします。

社会と、また人とつながっていくためには、コミュニケーション力、また対人スキルを高めることも大切になります。一般的に、先ほども言いましたけれども、高齢の男性は女性に比べてコミュニケーションが苦手とされておりますが、こうした人を始め、対人スキルを強化することは極めて重要な社会課題であると捉えています。対人スキルもないのにコミュニティーの中に放り込まれて、いきなりそこで友達をつくれとか信頼関係をつくれと言われても酷です。かえって逆効果になる場合もあるかと思います。

人生百年時代を踏まえて、今後、関係省庁と連携をして、コミュニケーション力、対人スキルの向上に向けた取組も強化していくべきだと考えますけれども、大臣のお考えをお伺いします。

小倉国務大臣 孤独・孤立対策におきましては、孤独、孤立に悩む人を誰一人取り残さない社会、相互に支え合い、人と人とのつながりが生まれる社会を目指していく上では、國重議員御指摘のようなコミュニケーションスキルを育んでいくことも重要だと考えております。

こうした観点に立って、第一に、幼少期から多様な人や地域と関わって多様な生き方を認め合うことを理解する体験ですとか、自他尊重のコミュニケーションスキルを育む機会などを学校教育や社会教育などの場で設け、共に生きる力の育成や豊かな人間関係づくりを推進していくこと、第二に、日常生活環境において人と人との交流を目的とし多様なつながりの場となる居場所を確保することも、孤独・孤立対策として推進することといたしております。

関係省庁とも連携をして、こうしたコミュニケーションスキルを育んでいくことを目的とした取組を推進をすることで、人と人とのつながりをそれぞれの選択の下で緩やかに築けるような社会環境づくりを目指してまいりたいと考えております。

國重委員 今、リカレント教育とか様々言われていますけれども、今私が言った点は非常に重要だと思いますので、またこれも、今の取組に甘んじることなく、様々な角度で検討いただければと思います。

小倉大臣は今の答弁の中で学校教育という言葉も出ましたが、このことは学校教育においても非常に重要なことだと思います。コミュニケーション力、対人スキル向上のための取組として、学校現場でこれまでどのようなことを行って、また今後どのようなことに取り組んでいくのか、お伺いします。

安彦政府参考人 お答え申し上げます。

子供たちは、多様な他者とのコミュニケーションを通じて社会とのつながりをつくり上げていくことはもちろん、自らの学びをより深めていくことができます。

現在の学習指導要領では、他者の思いを受け止めながら自分の思いを伝えたりすることなど、多様な他者と適切なコミュニケーションを図っていくための力を含めた言語能力を、子供たちの学習の基盤となる資質、能力と位置づけまして、国語科を要としつつ、各教科等横断において育成を図っていくこととしております。

具体的には、例えば、中学校の国語科では、それぞれの立場から考えを伝えたり、また互いの考えを生かしたりしながら議論や討論をする活動を取り入れることとしております。

こうした規定に基づきまして、各学校でも様々な教育活動が展開されているところでございますが、今後とも、文部科学省では、この学習指導要領の規定の趣旨の徹底を図るなど、言語活動の充実のための取組が学校現場で適切に実践されるよう取り組んでまいります。

國重委員 今の答弁、現在の学習指導要領では言語能力を子供たちの学習の基盤となる資質とか能力と位置づけるというような答弁があったかと思いますけれども、現在の学習指導要領が運用されているのはいつからになるのか、答弁を求めます。

安彦政府参考人 お答え申し上げます。

小学校につきましては令和二年度から、中学校については令和三年度から、高等学校においては令和四年度から、順次実施しているところでございます。

國重委員 私がこれまで聞いてきたのでは、日本の学校では、読むとか書くの教育はあっても、話す教育は全くと言っていいほどなかったというようなことも聞いておりますけれども、今現在の学習指導要領で、小学校が令和二年度から、中学校は令和三年度から、高校生が令和四年度から、それぞれ、言語能力も大事なんだというようなことで取組が進められているということでありました。是非しっかりと進めていただきたいと思います。

学校現場の中においても、特に、発達障害の子供たち、それぞれの特性を持っています。その特性を踏まえた取組によって、コミュニケーション力、対人スキルを磨くサポートをより一層行っていただきたいと強く要望します。

これは、それぞれの特性を踏まえて、非常に大切なことです。今後、教育の場でどのように取り組んでいくのか、お伺いします。

安彦政府参考人 お答え申し上げます。

発達障害を含め、障害のある児童生徒に対する指導につきましては、各学校現場において、個々の障害の状態等を把握し、適切に指導していくことが重要であると考えております。

御指摘のコミュニケーション力、また対人スキルを磨くサポートとしましては、通常の学級に在籍し、通常の学級での学習におおむね参加しつつ、一部特別な指導を必要とする児童生徒に対しまして、通級による指導を行っているところでございます。

具体的には、生活上の様々な場面を想定し、そこでの相手の言葉や表情などから相手の立場や相手が考えていることなどを推測するような指導、また、相手の立場に合わせた言葉遣いや、場に応じた声の大きさなど、場面にふさわしい表現方法を身につける指導など、コミュニケーション力などを身につけるために、児童生徒の障害の状態に応じて適切に指導しているところでございます。

また、発達障害のある児童生徒を含め、通常学級に在籍する障害のある児童生徒への指導を充実するため、文部科学省としましても、三月十三日に取りまとめられた検討会議の報告を受けまして、児童生徒の実態を適切に把握し、また必要な支援を組織的に行うための校内支援体制の充実、また、児童生徒が慣れた環境で安心して指導を受けられるように、自分の学校での通級、自校通級や、巡回指導の促進、こういったことについて教育委員会等に通知したところでございます。

引き続き、発達障害のある児童生徒に対する通級による指導を充実するよう取り組んでまいりたいと思っております。

國重委員 是非よろしくお願いします。

人の輪の中に入るのが苦手だという人もいるかと思います。一人でいる方が気楽でいいとか、そういう人もいるかと思います。それぞれの特性は大事にしないといけないと思っています。

その上で、やはり社会で生きていく上に当たっては、どうしても人と接触せざるを得ない、つき合わざるを得ない、そういうこともありますので、それぞれの特性を踏まえた上で、しっかりと、対人スキルが一定程度上がるような、そういう取組を是非よろしくお願いいたします。

孤独、孤立の対策にかかわらず、政府にも民間にも様々な相談窓口、支援があります。独りぼっちのように感じたとしても、決して一人じゃない、味方はたくさんいます。こういったことを子供たちに強いメッセージで伝えていく。そして、いろいろな困難に直面したときに適切な相談窓口につながっていく力を養っていく、このことも生きていく上で非常に重要です。

その上で、SOSを出すのは恥ずかしいことじゃないこと、また、相談窓口はどのように検索すればいいのか、正しい相談窓口や支援情報と不適切なもの、これをどのように見分ければいいのか、支援につながるための力を養う教育も重要だと思います。

これは何も孤独、孤立の問題だけじゃなくて、学校教育でいろいろ、消費者問題で、ここに電話したらいいよとか、孤独、孤立はシャープ九九九九とかあるかもしれませんけれども、こんなものはまた変わっていきますし、適切な相談窓口に自分の力でつながれる、そういった教育をしていくことが重要だと考えます。

これに対する見解、今後の取組をお伺いします。

安彦政府参考人 お答え申し上げます。

議員御指摘のとおり、心の危機に陥った児童生徒が、早期にこれを認識し、適切な援助を求められるようにするということとともに、必要なときに相談窓口を適切に検索できるなど、支援につながるための力を養うということが大切だと考えております。

このため、文部科学省としましては、悩みや不安を抱える児童生徒が適切に援助を求められるよう、教育委員会、学校等に対して、SOSの出し方に関する教育、これを少なくとも年に一回以上実施することなど、周知徹底に取り組んでおります。

また、インターネット上には様々な情報が氾濫しているところでございますけれども、先ほどの現行の学習指導要領で学習の基盤として新たに位置づけられた情報活用能力、こうした資質、能力を子供たちにしっかり育む、こういったことも大事でございます。そうしたことを力をつけまして、相談窓口の検索方法であったり、様々な支援情報の適否をしっかり吟味し見分けられるようにしていくということも重要でございます。

文部科学省としましては、悩みや不安を抱える児童生徒が適切に相談窓口につながることができるよう、引き続きこうした取組を進めてまいりたいと考えております。

國重委員 更なる力強い取組をよろしくお願いいたします。

以上で、本日の私の質疑を終わります。ありがとうございました。

 
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