「避難場所を確保できない」
大阪市此花区は、海抜ゼロメートル地帯が多く、南海トラフ地震などの大規模災害によって津波が発生した場合、多くの方が避難しなければなりません。しかし、津波から逃れるための高い建物が限られている地域もあり、遠くへ避難することが難しいご高齢の方々はどうするのかという大きな課題がありました。区をあげて避難場所を探すなか、目をつけたのは国道43号線の高架部分。ただ、大阪では国道を一時避難場所に指定した前例はなく、安全面や緊急車両の妨げにならないかといった観点から当初はなかなか話が進みませんでした。
「国との交渉の結果」
国重は地元の今田市議からこの話を聞き国土交通省と粘り強く交渉。「緊急車両の通行も確保しなければならないが、最も優先すべきなのは住民の命を守ることだ」「しかも国道という既存インフラの活用なので、新たな予算も必要ない」と訴えた結果、国道43号線の安治川大橋、正蓮寺川橋の歩道部分が「避難可能な高台・高架道路等」として協議が進められることになり、一時避難場所を確保することができました。
「街の声」
その後此花区では、高架の歩道部分への避難訓練が行われ、「いつも使っている歩道橋やし避難するときも分かりやすいわ」「訓練できる場所やから防災意識も高まるわ」「津波が来たときは歩道橋に逃げるよう家族で話してるねん」など地元の皆さんから安心の声がいくつも上がりました。
「大阪で初めて国道の高架を指定緊急避難場所として活用」
そして2022年。国による接続階段の耐震対策が完了したことにより、大阪市が緊急避難場所として指定することとなりました。
「全国約800か所へ横展開」
全国にはほかにも、避難できる高い建物がなくて困っている地域や、避難場所に道路が使えるという発想がなかなか出てこない地域があります。そこで国重は、2020年1月、衆議院予算委員会で、地域のニーズや実情を踏まえた既存インフラの活用を全国的に進めるよう主張。その結果、今では全国約800か所へ、国道の高架部分等を緊急避難場所として活用する取り組みが広がっています(※2022年6月時点)。
20221021【資料②】国土強靱化年次計画2022_抜粋 (3)