衆議院 経済産業委員会において、
生産性向上特別措置法案、産業競争力強化法等の一部を改正する法律案について参考人質疑を行いました。
以下は議事録全文です。
○國重委員 おはようございます。公明党の國重徹でございます。
本日は、何かと御多用な中、五名の参考人の皆様に当委員会までお越しいただきまして貴重な御意見を賜りましたこと、まずもって心より感謝と御礼を申し上げます。
まず、増島参考人にお伺いいたします。
先ほど意見陳述の中で、技術進展によって、立法事実、この土台が変動するんだ、立法事実が動くとビジネスが動く、多数の人が支持をする、そして民主主義の力で法律ができたり法改正がされる、これが現実なんだということをおっしゃいました。また、シリコンバレーではこういったサイクルが高速に回っている、また、中国もこの方式で躍進しているというようなことをおっしゃられました。
第四次産業革命で主導権をとろうと各国の競争が激化している中で、特に今回のサンドボックス制度というのは日本独自のものなんだ、諸外国とは少し違うんだというようなことでおっしゃった上で、このサンドボックス制度を評価するというふうに述べられました。
一方で、これまで、類似の制度として、新事業特例制度、またグレーゾーン解消制度、これが約四年前からスタートしたわけでありますけれども、新事業特例制度についての利用実績は十一件、また、グレーゾーン解消制度の利用実績は百十六件ということで、活用状況は低調になっております。
そういった中で、今回のこのサンドボックス制度、これを活用をより広げていくためにはどういったことが必要になってくるのか、ポイントになってくると思われるのか。また、先ほど言った、類似の制度は四年間でそのような低調な活用状況でありますけれども、今回のこのサンドボックス制度というのは三年間の時限法になっております。そういった中で、どのように広げていくことがポイントになってくるのか、三年間で足りるのか。こういったことについてまずお伺いしたいと思います。
○増島参考人 ありがとうございます。
今回の規制のサンドボックス制度がグレーゾーン解消制度ですとか特例制度の低調な状況のような二の舞にならないか、こういうふうなお話だというふうに思っていますが、我々、民間の事業者さんにアドバイスをする際に、グレーゾーンありますよ、特例制度ありますよ、こういうお話を申し上げるわけですけれども、皆様がこの制度を使わない要因として一様にありますのが、遅いということを申し上げるという、こういうことになっているということでございます。もう一つは、やはり、それで本当にうまくいくのかどうかよくわからない、こういうふうなことをおっしゃるということであります。
今回のこの制度は、実はグレーゾーンとか特例制度とやはり大きく違っておりまして、いいかどうかよくわからないけれども、まずやる、こういう制度だというふうに承知をしております。
そのまずやるというのを行うに当たっては、やはり、まずスピードを持ってやるんだ、こういうふうなことだというふうに承知をしておりますし、あと、ビジネスをやられる方としては、やった結果、できなかったみたいなのが一番まずい、こういうことだと思いますので、そのやりたいことが一〇〇%もしかしたらできないかもしれないけれども、ここまでだったらできるよ、こういう形だったらできるよという形で、その領域ですとか期間ですとか人ですとか、こういうのを制限をして、前向きな形で一つ落着をさせることが恐らくこの制度ではできるのではないかと思っております。
ここでその実験をしてみる、結局、これはできるじゃないですかという話になれば前に進める、こういうふうな話だと思っておりますので、この制度のほかの制度との違い、特徴ですね、速い、そして、できる、ここを何かアピールすることができるとよいのではないかというふうに思っております。
ありがとうございます。
○國重委員 ありがとうございます。
続きまして、今の続きですけれども、この規制のサンドボックス制度につきまして、革新的な技術やビジネスモデルの実証計画は、主務大臣がヘッドになって、革新的事業活動評価委員会に意見を聞いた上で認定することになっております。この評価委員会の役割というのは、私は極めて重要になってくると思います。
規制所管省庁に前向きな検討をさせるためにはどのようなことが肝になってくるとお考えか、お伺いいたします。
○稲津委員長 國重質問者、増島参考人でよろしいですか。
○國重委員 はい。
○増島参考人 ありがとうございます。
結局、専門家の方であれば判断ができるということが幾つか起こってくるだろうと思っています。行政官の方は、そこの中で上がっていかなければいけないという中で、無謬性といいますか、間違えちゃいけないという問題意識から、比較的やはり保守的にお答えをされるというふうな中で、専門家の人たちはもう少し判断がより正確にできるのではないかという部分。
あとは、実際にやるものの中で、ここまでであればいいという限定解釈みたいなのがある程度できることによって、例えば、社会全体に行うとするとちょっと適法性が確保できないかもしれないけれども、この領域でやるのであればそれは業とは言えないのではないかとか、こういうような解釈を使っていって、できる領域というのを広げる。
こういうような評価、アドバイスというのが恐らくこの専門委員の方々に求められているんだろうというふうに思います。
○國重委員 ありがとうございました。
それでは、曽我参考人にお伺いいたします。
先ほど、事業承継の重要性についてもお話をいただきました。二〇一五年に中小企業庁が実施した調査によりますと、在任期間が短いほど、親族内承継の割合の減少と従業員や社外の第三者による承継の増加傾向が見られる、特に直近五年間では、親族内承継の割合が全体の約三五%にまで減少し、親族外承継が六五%以上に達しているとの結果が示されております。
こういった親族外の第三者に事業承継をする場合、登録免許税また不動産取得税の軽減措置を、今回、講ずることとされておりますけれども、これだけで事業再編等、事業承継が促進されるとお考えかどうなのか、また、別に何が必要とお考えか。MアンドA、先ほど実際にされたというような御経験もお伺いしましたけれども、そういった御経験も踏まえた上での見解をお伺いできればと思います。
○曽我参考人 おっしゃるとおりでございまして、なかなか法的措置だけでは無理な部分がございまして、基本的には企業と企業のつながりでございますので、それをうまく組み合わせられるようなシステムあるいは組織が必要なんじゃないかな。
私どものケースの場合には、やはり金融機関が中に立っていただきまして、それで縁組ができたという形でございまして、ある意味では、企業承継のうちでのMアンドAなり吸収なり子会社化なりということについては、本当にその御縁をどうつくれるかがポイントだと思っていますので、会議所といたしましても、この事業承継につきましては、各会議所の分野の中で、そういう申出があったときにはつなぎ役を務めるように努力してまいりたいと考えています。
以上であります。
○國重委員 ありがとうございました。
またさまざまな、ここについては、識者も言われているところがありますので、しっかりとまた今の御意見も参考にして、私も研さんを重ねてまいりたいと思います。
事業承継の支援が大事である一方で、労働人口も減少していく中、必ずしも全ての企業を承継させる必要はないかと思われます。
生産性が高い、技術力を持った企業をしっかりと承継させる。それとともに、企業としては廃業したとしても、その雇用とか熟練した技能、技術が何らかの形で残っていくような支援が必要と考えますが、曽我参考人に、こういった点での商工会議所としての見解をお伺いいたします。
○曽我参考人 これまた大変大事な問題でございまして、会議所といたしましては、力のある企業、しかしながら、後継者がいない、その他の理由によって廃業に追い込まれるような企業があるわけでございますので、これに対しましては、その技術その他がしっかり継承できるように、適切な方を御紹介して、事業の引受け、そして人の引受けも含めましてやってまいりたい。
特に、人材というのは物すごく大事でございますので、廃業、倒産という事態に至らないように、事前にその辺の情報をしっかり察知しながら、伴走型の支援をもちまして、企業はなくなってもその技術と人は次の企業にしっかり引き継いでいくということが物すごく地域にとりましても大事なことだと思っておりますので、その点、努力してまいりたいと考えております。
以上です。
○國重委員 ありがとうございました。
続きまして、冨山参考人にお伺いいたします。
先ほど配付していただいたペーパー、また御説明をお伺いしましたけれども、そこで、リスクマネーをめぐる市場プレーヤーとして重要なのは、官か民かの原理主義ではなくて、どういう目的原理で、いかなる動機づけとガバナンス構造で組織と個人が機能するのか、これが鍵になるんだということでおっしゃられました。
具体論として、こういったものに基づいてどういうものが今後必要になってくるとお考えか、お伺いいたします。
○冨山参考人 要は、まずガバナンス構造でいいますと、少なくとも世界の超長期的にちゃんと機能しているそういった基金、ファンドというのはいっぱいあるわけであります。あるいは、GICを始めとして、ソブリン・ウエルス・ファンドもございます。
やはりああいった仕組みというのをちゃんと謙虚に学んで、なぜあれがちゃんと機能しているかというところにやはり立ち戻ることが大事で、加えて、やはり超長期的にやっていくということは、問題は、特に人材がどういう動機づけでそういった組織に集まってきて、どういう動機づけでそこで働くかということが大事になりますので、少なくとも公務員体系でいわゆる年功序列型ではやはり機能しないわけでありますから、当然プロフェッショナル型の組織にしていかなければなりませんし、一方で、プロ型の組織というのは、一つ間違えちゃいますと個人的利益をがっといっちゃって、逆に過剰なリスクをとることがあります。それをどう規制するか。そういう意味で、今度はガバナンスの問題が大事になってまいります。
あと、もちろん、最終的な受益者がソブリンであれば国民が投資家ということになりますし、多くの場合、ああいうGICなんかも民間のお金も入ってきていますから、ということは、当然、適切な開示ということも大事になってまいります。そういったことをちゃんと整えられるかどうかが私は鍵になると思っております。
○國重委員 ありがとうございました。
産業革新機構が今月六日に公表しました産業革新機構の投資活動によりますと、本年一月末時点で、アーリー・ベンチャー企業投資のエグジット実績では、実投資額が七百二十一億円、回収額が六百三十六億円で、八十五億円のマイナスとなっております。この赤字案件があるのは仕方がないと思いますけれども、検証をしっかりと行うべきと思います。
先ほど参考人も、適切な開示ともおっしゃられました。
産業革新機構は、非上場の個別株式の売却金額等、こういったものを情報開示できないのか。産業再生機構に在籍されていた冨山参考人の御経験から、現在の産業革新機構の情報開示をどのように見られているのか。仮に、個別案件の情報開示について、ほかの投資家との関係で難しい面もあるとすれば、こういったものに失敗した場合、どのように検証を行って規律維持を図ればいいと考えるのか。最後の質問として、見解をお伺いいたします。
○冨山参考人 非常に重要なポイントでございまして、確かにこれは、産業再生機構でも、個別案件、特に上場しちゃうケースは公募価格でわかりますので全て自動的に開示されるわけでありますけれども、やはりMアンドA等で相手方がいる場合に、それをつぶさに開示するのは非常に難しい問題がございます。
ですから、基本的には、まず、ポートフォリオとしてちゃんと厳密に見るということと、それから、当然、会計検査院も再生機構に入っていましたから、その中で一定の検証はされます。ただ、会計検査院も投資のプロではございませんので、そういった脈絡でいうと、私自身は、産業再生機構のときもちょっと疑問があったのは、産業再生機構の仕組みは、多分革新機構もそうなんですが、個別の投資案件について、実は委員会が、取締役が直接意思決定をしちゃっているんですね。ここは実はちょっと矛盾がありまして、要は、自分で意思決定をしちゃっているものですから、その結果を自分で検証するというのも、ややちょっと難しい面があります。
私は、仕組みとしては、これは実はGICなんかもそうなっているようなんですが、むしろ個別の意思決定は、例えば子ファンド、その下の下にある種サブシディアリーというか、下のエンティティーをつくって、そこでやっていって、そこでやっていったことを、上の、今だと革新委員会ですか、私のときは再生委員会ですけれども、そこにまたモニタリングのプロを集めて、そこでちゃんと国民にかわって検証するという方法が、今先生が御指摘の問題に対する一番いい、いろいろな問題も含めて、トータルにいい解決ではないかというふうに思っております。
○國重委員 ありがとうございました。
きょうは時間の関係で神津参考人、福家参考人には御質問できなかったこと、申しわけございませんでした。
五名の参考人の皆様に心より感謝申し上げまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。