活動報告

国会質疑

衆・予算委分科会「介護職員の事務負担軽減」「里親等の休暇制度」など質問

衆議院予算委員会第5分科会(厚労省所管分野)で質問しました。
地元からも多数の声を戴いた、
ケアマネージャーをはじめとする介護職員の事務負担の軽減について、
また里親やファミリーホームなど、
親元で暮らせない子どもたちを支える方々の支援について、
加藤厚生労働大臣、高木厚生労働副大臣へ質問しました。

(2018年2月24日付公明新聞より)

第5分科会で国重徹氏は、介護関連の事務業務に関して、
ケアマネジャーが作成すべき書類が多い実態などに触れ「負担軽減へ実効性ある取り組みを」と訴えた。
厚生労働省側は、実態把握と見直しにより「文書量の半減に取り組む」と答えた。

さらに、国重氏は、政府が推進する情報通信技術(ICT)を活用した負担軽減について、
現場の使いやすさに配慮するよう求めた。

また、里親に関して国重氏は、性的マイノリティー(少数者)の子どもへの対応も含めた、
養育の悩みに分かりやすく答える冊子の作成を提案した。
高木美智代厚労副大臣(公明党)は、
里親支援の充実に向けて指針の検討作業などを行っているとし
「指摘の点も踏まえて取り組みを進める」と述べた。

>> [外部リンク]公明ニュース「介護事務負担軽減を 国重氏 里親の悩みに対応せよ」


以下、議事録全文です。

○國重分科員 おはようございます。公明党の國重徹でございます。

 きょうは、大きく二点、ケアマネジャーなど介護業務に携わる方たちの業務の負担軽減、効率化、これがまず第一点。二点目に、社会的養護に関する課題の対策、これらについて取り上げたいと思います。

 午前に引き続いての質疑となりますけれども、加藤大臣、また高木副大臣、どうかよろしくお願いいたします。

 まず、一点目の介護に関して、団塊の世代が全て七十五歳以上となる二〇二五年、ここに向けて、高齢者が住みなれた地域で介護や医療、生活支援などを受けられるよう包括的な体制を整備していくためには、そのキーマンであるケアマネジャーがその力を存分に発揮していくことが重要であると感じております。

 まず、政府として、地域包括ケアシステムの構築を推進するに当たり、ケアマネジャーにどのような役割を求めているのか、期待しているのか、答弁を求めます。

○浜谷政府参考人 お答えいたします。

 地域包括ケアシステムの構築を推進するに当たりましては、要介護高齢者等が住みなれた地域で自立した生活を営むことができるよう、その心身の状況や置かれている環境等に応じた適切なサービスを受けられることが重要であると考えております。

 ケアマネジャーは、要介護者等からの相談に応じますとともに、利用者の希望や自立した日常生活を営む上で解決すべき課題を把握して、それに対応するためのケアプランを作成し、さらに、介護サービス事業所や医療機関を始めとする他機関との連絡調整を行うなど、利用者の状態に応じたケアマネジメント業務を行っておりまして、地域包括ケアシステムを構築する上で重要な役割を果たしているものと考えております。

○國重分科員 ありがとうございました。

 今、答弁、るる述べていただきましたけれども、ケアマネジャーは、地域包括ケアシステムの構築において、関係者を取りまとめる調整役、かなめ中のかなめとして極めて重要な役割を担っております。

 そのケアマネの仕事は多忙をきわめます。利用者宅を訪問し、本人やその御家族のさまざまな要望を聞く、主治医がいる診療所に足を運んで利用者の病状などの情報も聞く、関係者を集めたケア会議を開催する、医師や看護師、事業者や家族との調整をする、利用者一人一人に応じたオーダーメードのケアプランを作成する。あるケアマネの方は、なし崩し的に業務が拡大している、余りの忙しさで、自分たちの問題はどこにあるのか、ぱっと頭に浮かばないこと自体が問題だ、そうおっしゃっておりました。

 この忙しさに拍車をかけているのが、書類作成などの事務負担が大きいことであります。厚生労働省の調査によりますと、介護現場で働くケアマネの仕事の悩みは、記録する書類が多く、手間がかかる、これが最も多く、七割を占めております。利用者のために自分がいるのか、書類のために自分がいるのかわからなかった、こういったケアマネの方の声もお伺いしたことがございます。書類作成業務は、ケアマネの業務遂行にかかわる悩みの中でも圧倒的な負担になっております。

 介護の仕事に携わる方たちというのは、人との触れ合いが好きで、自分の仕事に対して誇りと自信を持っている人が多くいると感じております。しかし、書類作成業務の負担が重過ぎて、本来業務に支障が生じている。この事態を打開するためにも、書類作成の負担を軽減していくことは必要不可欠であります。

 そして、このことは、何もケアマネだけにとどまるものではございません。介護の業務に携わる方たちに共通する悩みであります。ケアマネを始め、介護業務に携わる方たちの書類作成の負担軽減に向けて、実効性ある取組を本気になって進めていっていただきたいと思います。政府として、今後どのように取り組んでいくのか、答弁を求めます。

○浜谷政府参考人 先生の御指摘は、極めて重要な御指摘だと考えております。

 御指摘のとおり、ケアマネジャーでございますけれども、例えば、利用者のアセスメント、それからモニタリングに関する文書とかケアプランに関する文書、それから給付管理業務に関する文書など、さまざまな文書を作成しております。

 こうした文書量をできる限り削減することは、ケアマネジャーの業務負担の軽減、ひいては質の高いケアマネジメントを進めるためにも極めて重要であると考えております。

 厚生労働省といたしましては、まずは、国及び自治体が求める帳票等の実態把握をいたしまして、当面の見直しを行いますとともに、その後、事業所が独自に作成する文書も含めたさらなる見直しを進めまして、帳票量、帳票等の文書量の半減に取り組んでいくこととしております。

○國重分科員 ありがとうございました。

 このことは、本当に現場が切に求めているものですので、現場の声をよく聞いて、その実態に即した実効性のある取組を進めていただきますよう、ぜひよろしくお願いいたします。

 さて、介護業務の効率化、書面作成の負担の軽減の一環として、政府はICTの導入、活用を推し進めようとしております。

 介護業務のICT化の導入に成功したある企業は、職員の残業がなくなった、記録の漏れや伝達のミスが減り、利用者のクレームも減った、こういった成果について述べております。ICTの導入によって、業務の効率化だけではなくて、良質な介護サービスを提供する環境も整ったわけです。

 その一方で、漠然とした目的でICTを導入しても、手間がふえるだけで終わってしまいます。まずは、解決したい問題を絞り込むことが必要ですし、ICTの導入に難色を示す方もいるので、利用者のためにこれを使うことを明確にして、効果を実感できるものから着手をしていく、こういったことも重要になってまいります。

 厚生労働省の調査によりますと、ケアマネの平均年齢は四十七歳。ケアマネの中には、対人スキルとか調整能力は高くても、パソコンの教育を受ける機会がなくて、パソコンを使うことに苦手意識のある方もいらっしゃいます。私も、現にさまざまな声を聞いてまいりました。

 そういった現場の実情に細やかに配慮をしてICTの導入、活用を進めていっていただきたいと思いますけれども、厚労省の見解をお伺いいたします。

○浜谷政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のとおり、ICTの活用は、業務の効率化、ひいては質の高いサービスのためにも重要であると考えております。

 現時点では、厚労省におきましては、例えば、ケアマネジャーにかかわるさまざまな関係者と円滑に情報ができるようなICTの標準仕様の作成について検討を行うなど、介護事業所のICT化の促進に向けた検討を進めているところでございます。

 一方で、御指摘のとおり、ケアマネジャーの中にはICTの機器の利用を得意としない方もいらっしゃいますので、ICT化がかえって業務負担とならないような工夫、配慮も必要だと考えております。

 したがいまして、ICT化の促進の検討に当たりましては、使いやすい仕様等についても調査研究を行いまして、実際に現場で活用するケアマネジャーさんの意見等も十分踏まえながら検討してまいりたいと考えております。

○國重分科員 前向きな答弁、ありがとうございました。

 介護サービスは高齢化で需要が伸び続ける一方で、ケアプランを作成するケアマネや介護福祉士を目指す人が減っております。ケアマネを始めとする介護人材の不足というのは介護の質の低下につながり、ひいては、利用者の方や、またその御家族にしわ寄せが行ってしまいます。

 処遇の改善もそうですけれども、今御指摘をさせていただいた本来業務に向き合うための業務負担の軽減、これが本当に重要だと感じております。加藤厚生労働大臣の今後の決意を含めた思い、これを聞かせていただきたいと思います。

○加藤国務大臣 委員から御指摘のように、高齢化が進む中で介護のニーズが高まっていく、他方で介護人材が不足をしているわけでありまして、こうした中で、質の高いサービスが効率的に、そして必要な方にしっかり提供されていく、このためには、一つは介護職で働く方の処遇改善をしっかりやっていくということと同時に、やはりそうした方々の働く環境をよくしていく、業務負担を軽減していくということがまさに必要だというふうに思います。

 これは、今お話がありましたように、文書をいかに削減するのか、ICTを活用するのか、また、そういう意味でうまく今やられている事例はございましたけれども、そういう事例を横展開していくとか、こういった対応が必要だと思っていますが。

 とりわけ今委員御指摘いただきましたケアマネジャー、このケアマネジャーの方は、介護事業所や医療機関等との関係者の情報連携、利用者のアセスメント、ケアプランの策定、モニタリング、多様な業務をし、いわば介護制度の中核に位置づけられていると言ってもいいんだろうというふうに思います。そういった方々が質の高いケアプランをしていくためにも、業務負担というものの軽減を図ることは極めて大事だと思っております。

 そういう意味で、ケアマネジャーが関係者と円滑な情報連携ができるよう、ICT化の標準仕様の作成に向けた取組、また今、AIの活用がいろいろ言われておりますので、AIを活用したケアプランの策定支援、そういったことについても、一体どこまでそれが適用できるか、それから、使う側の事情もいろいろありますから、その点も含めた調査研究をしっかりやっていきたい、今やっているところでございます。

 そうした成果も踏まえて、IC化に対応した今度は文書のあり方の見直し、また削減、こういったこともしっかり取り組んで業務負担の軽減を図り、そして、ケアマネジャーであり介護職の皆さん方が本当に、本来の仕事にしっかりと取り組んでいただけるように、また、やりがいを持って取り組んでいただけるように、対応していきたいと思っております。

○國重分科員 加藤大臣、力強い御答弁ありがとうございました。ぜひ、リーダーシップを発揮して、これを前に推し進めていっていただきたいと思います。

 では、大きな二点目の、社会的養護に関する課題の対策についてお伺いしてまいりたいと思います。

 まず、社会的養護の中でも、より家庭的な環境下で子供たちを育てるファミリーホームの養育者へのレスパイトケアについてお伺いをいたします。

 今、さまざまな事情で親元で暮らせない子供たちが全国に約四万五千人います。そのような子供たち一人一人を十分な愛情とともに大切に育てていくことは、これは社会全体の責任です。

 私が座長を務めさせていただいている党の児童虐待・社会的養護検討プロジェクトチームでは、平成二十七年八月に、この社会的養護の中でも、とりわけ「子どもとの個別的な関わりがより深まる家庭養護、家庭的養護を促進する」よう提言させていただきました。こういったものを受けて、政府として、今、より家庭的養護へという大きな政策の流れができていることは評価をしております。

 その上で、これを実現させるためには、家庭的養護を支える里親、ファミリーホーム、こういった支え手の方々を国が支援していくことが重要でございます。この点、今、里親には休暇の制度、レスパイトケアが整えられております。しかし、家庭的養護を支えるもう一翼、同じく自分の生活拠点で子供を育てているファミリーホームの養育者については、レスパイトケアが認められておりません。

 私も、これまで幾つかのファミリーホームの現場を視察してまいりました。その中で、さまざまな経験豊かな養育者の方々のお話も伺ってまいりました。

 以前、東京都の八王子市のファミリーホームを視察した際には、このようなことを養育者の方がおっしゃっておりました。中には、親が子に虐待されているケースもある、そういうときに、休みたいときに休めない、我慢するしかないことになる、逃げる場所がないというのがファミリーホームの大変さなんだというようなことをおっしゃっておりました。真面目な人もいて、子育てがうまくいかないときに、児童相談所には相談できないまま、もう無理とファミリーホームや里親を続けるのを諦めてしまう場合もあります、そんなとき、一晩預かってもらうだけで気持ちもリセットできます、こういった声を聞いたこともございます。

 これは、経験の浅い里親さんとか養育者の方が言った言葉ではなくて、そういった里子の子供をたくさん育てて、多くの里親を指導してきたベテランの方々の声であります。そういったベテランの方々であっても、たまにはやはり息抜きが必要であることがわかります。

 すぐにということは難しいのかもしれないですけれども、ファミリーホームの養育者に対するレスパイトケアについて、ぜひ今後前向きに検討していっていただきたいと思います。さまざまな工夫をしながら進めていっていただきたいと思いますけれども、厚労省のお考えを伺います。

○吉田政府参考人 お答えいたします。

 ファミリーホームにつきましては、現在の仕組みとして、養育者の方々の休息あるいは急な用事等が起こった場合に対応できるように、委託費というか仕組みで運営をしていただいておりますが、その中で、補助者を置くほか、養育者の代替要員を雇っていただくということもできるような経費をその中で計上させているという形になってございます。そのために、今御指摘のとおり、仕組みとしては、ファミリーホームの養育者の方がレスパイトケアを使うということは、正直、仕組みとしては想定してございません。

 一方で、今先生からも御指摘ございましたように、社会的養育あるいは虐待防止対策の流れの中で、平成二十八年に児童福祉法を改正させていただいて、その改正法で家庭養育優先の原則というのを明記をさせていただいております。その実現のためには、里親の皆さんとともに、今御指摘いただいたようにファミリーホームの皆さん方にも重要な役割を担っていただくということになりますので、ファミリーホームの養育者のレスパイトに関しましても、現場の方々のニーズあるいは実態というものをよくお伺いしながら、私どもとして、よりよい仕組みとするように努めてまいりたいと考えてございます。

○國重分科員 ぜひよろしくお願いいたします。

 やはり、子供たちのことを思えばこそ、その支え手である里親さんとか養育者さんたち、これをしっかりと支えていくことが重要であると思っておりますので、ぜひ前向きな検討をよろしくお願いいたします。

 社会的養護の中でも、とりわけ子供たちと二十四時間向き合う里親さんにとっては、孤立してしまわないような取組が大切であると思っております。以前、私が、ある里親さんに聞いた話でも、やはり里子を一人預かるというのは、その子供に愛着障害等が、かなりそれが深刻な場合には、一つの家庭を壊すぐらいの力があるとかいうような現場の生々しいお話を伺ったこともございます。そのためにも、孤立してしまわない体制づくりというのが大事だと思っておりますけれども、これに関して、私は、里親さんに対する研修のさらなる充実というのも大切なことだと思っております。

 今月二日、里親委託率全国ナンバーワンの新潟市に、今いらっしゃる高木美智代厚生労働副大臣とともに行かせていただきました。そこで、御夫妻で里親をされている方たちから、こんな話を聞きました。今、五年に一度、里親の更新研修がある、これが実は一日がかりで結構大変なんだ、旦那さんは行くまで、御主人は行くまでは大変だなということで、ぶうぶう、平たく言うと文句を言っているけれども、でも、いざ行って帰ってくると、何か風呂上がりのような感じでいつも満足げにして、勉強になった、よかったということを言っているということをおっしゃっておりました。

 研修は、里親同士の横横の情報交換とか共有ができるよい機会でもある、得られるものも大きいので、もっと、負担を考えながらだけれども、もう少しこういったものをふやしてもいいんじゃないかというようなこともおっしゃっておりました。

 今、研修は各都道府県が行っていることと思いますけれども、過度に負担にならない範囲で今後研修を充実させて、横連携の機会をふやすことも大切だと思っております。各都道府県が里親研修を充実させられるよう、政府としても予算措置を講じていっていただきたいと思います。次年度を含めて検討していっていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

○吉田政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のように、養育里親の皆さんへの研修によりましては、里親の方々の養育の質の向上が図られるのはもとよりでございますけれども、養育に関する情報交換でありますとか、あるいは当事者間の悩みの相談など、その相互交流も更に促される効果があるということで、里親委託を推進するために、この研修機会は非常に重要なものと私どもも認識をしてございます。

 現在、この研修につきましては、全ての都道府県、指定都市、そして児童相談所を設置していただいています市において行っているところでございますけれども、具体的には、新規登録時に実施をする基礎研修、あるいは登録前研修、さらには、今御指摘いただきましたように、五年ごとの登録更新時に実施をする更新研修ということで、これに対して国庫補助を行っておりますし、平成三十年度、来年度の予算案におきましては、一研修当たりの補助単価を引き上げさせていただくことを盛り込んでおります。

 また、里親の方々の相互交流の場を提供する、あるいは情報交換や養育技術の向上等を図るということも重要でありまして、この事業に対しても国庫補助を行っております。

 私ども、さらに現在、年度末に向けて、里親支援に関するガイドラインというものの策定に向けた検討を進めておりまして、今後、その結果も踏まえつつ、より多くの研修あるいは交流の機会等を確保できるように里親支援策を考えてまいりたいと思います。

○國重分科員 ぜひよろしくお願いいたします。

 先ほどは、研修、それを通じた横連携の充実について申し上げましたけれども、二十四時間子供たちと向き合い続ける里親やファミリーホームにおいては、専門的な助言が必要な場合もあります。そういうときに気軽に問い合わせられるような相談体制の確保も、また重要であります。

 例えば、ある里親さんは、どうしてこの子はこういった行動をするのか、なぜなんだ、私の母性が足りないんじゃないか、生活の中で絶えずさまざまな悩みが出てくる中で、そのたびに児童相談所へ相談することはハードルが高いし、申しわけなく思ってしまうと。また、自分が問題のある里親だと思われてしまって認定が取り消されてしまう、そういったことは困ると思うと、怖くて相談をちゅうちょしてしまう、それで孤立しそうだったというようなこともおっしゃっておりました。

 こうした現場の実情に寄り添って、より気軽に相談できる体制を強化していくべきだと考えますが、今後の取組についてお伺いいたします。

○吉田政府参考人 お答えいたします。

 里親さん、あるいはファミリーホームの皆さんへの相談支援につきましても、これは児童相談所の本来業務ということでありまして、平成二十八年の児童福祉法改正において、里親制度の普及啓発、あるいは里親と子供のマッチング、委託後の支援などを児童相談所の業務として法律上明確にさせていただきました。さらに、こうした業務が確実に実施されるように、国として児童相談所強化プランを策定をして、今、児童福祉司等の専門職の配置を充実させております。

 一方で、今御指摘いただきましたように、相談支援を民間機関に委託するということは、気軽に相談しやすいとか、あるいは、同じ担当の方が長期間継続して担当いただけるということで信頼関係が構築しやすいというメリットも承知をしておりまして、この二十八年の法改正においては、こうした業務を民間機関に委託できることもあわせて規定させていただきました。

 こうしたことを踏まえまして、今年度の予算において、民間機関への委託を含めて、里親支援の体制構築に向けた里親支援事業というものを創設させていただいたところであり、その実績を年度終了後に私どもとしては把握をさせていただき、また、三十年度の予算案においては、新規里親委託件数に応じて補助額を増額するなどの改善を図らせていただこうと思っております。

 先ほど申しましたように、さらなるガイドラインの策定検討などなど、一連の取組を通じまして、支援体制の充実に引き続き努めてまいりたいと思います。

○國重分科員 ぜひ一層の取組を、どうかよろしくお願いいたします。

 次に、社会的養護のもとにある子供たちの中には、性的マイノリティーの子供たちもいます。そういった子供たちに、より配慮をしていくための取組について何点か伺いたいと思います。

 昨年、一般社団法人レインボーフォスターケアが全国の児童養護施設に調査をしたところ、これまでに性的マイノリティーと思われる子供たちを預かった、もしくは今預かっていると答えた施設は四五%に上りました。これは児童養護施設だけでの調査ですけれども、ここだけが突出しているわけではないはずであります。社会的養護のもとにある子供たちの中には、性的マイノリティーの子も一定数いると考えるのが自然なことだと思います。

 私は今、党で性的マイノリティーの問題、性的指向・性自認に関するプロジェクトチームの事務局長をさせていただいておりまして、また、超党派の議連でも、立法チームの役員をさせていただいております。

 これまで、同じくマイノリティーの問題ということでは、ヘイトスピーチ問題なども立法を含めて携わってきましたが、その中で、性的マイノリティーの問題とこのヘイトスピーチ、これは両者が決定的に違うところがあると思っております。それは、ヘイトスピーチで悩む子供たちは、親もまたマイノリティーなんですね。例えば在日とか言われる子供たちは、親もそうだと。だけれども、性的マイノリティーの場合は、親がマジョリティーな場合が多いということであります。だから、性的マイノリティーは親にも相談できず、誰にも相談できず孤立しやすい、こういった特色もあります。

 性的マイノリティーの問題は相談しづらいため、孤立し、問題を抱え込みやすいという実態がございます。社会的養護のもとにある子供たちは、心身ともに傷ついた子も多い中で、二重の苦しみを抱えることになってしまいます。

 だからこそ、一般家庭でももちろん大切でありますが、社会的養護に携わる方々が、より一層、性的マイノリティーの子供たちの心に寄り添っていくことが必要であって、そのためには、その方々が性的指向や性自認に関する正しい知識を身につけられるようにしなければならないと考えております。国としても、それを後押しするためにしっかりと啓発を行っていくべきだと考えますが、現在の取組状況についてお伺いいたします。

○吉田政府参考人 お答えいたします。

 児童養護施設におきましては、児童相談所などと連携しながら、入所された全てのお子さんに対して個別に自立支援計画を策定し、今御指摘いただきました性的マイノリティーのお子さんを含めて、個々のニーズに応えられるように支援をしております。

 加えて、国としては、性的マイノリティーの子供さんについて、昨年八月に開催された全国会議において、都道府県あるいは児童相談所の方々に対して、これは文部科学省が作成された教職員向けの対応マニュアルというものもお示ししながら、これを参考に、それぞれきめ細かく対応するように周知をさせていただいているところでございます。

○國重分科員 ありがとうございました。よくわかりました。

 ただ、私は、まだ現在の取組だけでは不十分だと感じております。学校と里親さんとでは、子供と一緒にいる時間が違いますし、やはり直面する悩みは違うだろうというふうに思います。また、社会的養護に携わっている方というのは教師ではないので、もっとわかりやすい資料を提供するべきだろうとも思います。

 私の地元事務所のある大阪市淀川区では、日本全国に先駆けて、LGBT支援宣言というのを出した区であります。当事者団体と協力をして性的マイノリティーに関する冊子も作成しておりまして、「性はグラデーション」ということで、きのうお渡しをして副大臣のもとにもあるかもしれませんけれども、これが非常にわかりやすいものとなっております。例えば、当事者の声、具体的でわかりやすいQA、推薦図書や相談窓口の紹介など、当事者目線に立った構成でつくられております。デザインも見やすいように工夫を凝らされております。こういった先進的な自治体の取組を参考にするなどして、よりわかりやすい資料を検討していっていただきたいと思います。

 更に言えば、この性的マイノリティーのことだけではなくて、里親のよくある悩みQアンドAのようなものを作成をして、ぱっと手に入れられるように配付してはどうかとも思います。これは、これから里親になろうとする人の不安を取り除く一助になるでしょうし、また、課題に直面した際のヒントになるであろうことは間違いないというふうに思います。

 高木厚生労働副大臣、こういった性的マイノリティーに関する、よりわかりやすい資料の作成、また、それにとどまらず、広く里親一般がよく直面する課題を解決するようなわかりやすい冊子の作成について、今後前向きに検討していただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

○高木副大臣 里親の方に、社会的養護を必要とする子供の養育に当たりまして留意すべき点を十分に理解してもらい、実践に役立てていただくことは重要だと考えます。御指摘のように、わかりやすい資料を作成することを始め、研修の機会をふやしていただくなど、里親への支援を充実させていくことが必要と考えております。

 現在、里親制度の普及啓発、リクルートから委託後の支援まで、個々のニーズに応じまして、一貫して支援するための体制構築を行うことを進めております。そのために必要な予算の確保、また、ガイドラインの検討作業を、今年度中の作成を目指しまして行っているところでございます。

 議員御指摘の点も踏まえながら、こうした取組を進めまして、家庭養育の推進に努めてまいりたいと思っております。

○國重分科員 ぜひよろしくお願いいたします。

 以上で終わります。ありがとうございました。

 
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