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税制改正大綱決定 インボイス導入の負担軽減   与党税協で合意

2022年12月16日付公明新聞より転載

自民、公明の与党両党は15日夜、都内で税制協議会を開き、2023年度与党税制改正大綱に盛り込む項目について協議し合意した。大綱は16日に決定する予定。

今回の税制改正では、公明党が主張してきた、消費税のインボイス(適格請求書)制度の円滑導入へ事業者の負担軽減措置を創設。少額投資非課税制度(NISA)を大幅拡充し、高所得者の税負担率が低下する“1億円の壁”に関して是正措置も講じる。エコカー減税は23年末まで据え置いた後、段階的に基準を引き上げる。このほか、災害時の税負担軽減に関し、「特定非常災害」に指定され、住宅などに損失が生じた場合における雑損失の繰越控除期間を現行3年から5年に延長する。

一方、防衛力整備に向けた財源確保では、法人税の上乗せを課す一方、中小企業に配慮する措置を設ける。所得税に関し新たな付加税を課した上で、復興特別所得税の税率を引き下げ課税期間を延長、国民の負担が当面増えないよう配慮する。たばこ税も引き上げる。これらの実施時期は24年以降の適切な時期とする。

会合後、公明党の西田実仁税制調査会長は記者団に対し、公明党が主張してきたインボイスの円滑導入支援をはじめ、脱炭素や脱格差を進める税制措置が盛り込まれたと力説。「日本の潜在力を後押しする税制改正だ」と述べた。

これに先立ち党税調は衆院第2議員会館で詰めの協議を行い、最終的な取りまとめを西田税調会長に一任した。

令和5年度与党税制改正大綱_20221216 (PDF)

2022年12月19日付公明新聞より転載

自民、公明両党は16日、2023年度与党税制改正大綱を決定しました。公明党の主張で盛り込まれた内容や改正のポイントについて、公明党の西田実仁税制調査会長に聞きました。

――今回の税制改正大綱のポイントは。

西田税調会長 日本社会を取り巻く閉塞感を打破すべく、中間層を中心とする層が成長の果実を受けることができるようにしました。少額投資非課税制度(NISA)を24年1月から恒久化した上で、年間投資上限額を360万円(うち、つみたて投資枠は3倍増の120万円)、生涯の非課税限度額を現行の倍増以上となる1800万円とします。

また、成長分野でもある「脱炭素」と、格差の固定化を防ぐ「脱格差」を重視し、日本の潜在力を引き出す税制改正となりました。

――脱炭素や脱格差について具体的には。

西田 「脱炭素」では、自動車重量税の「エコカー減税」などについて、半導体不足で車の納期が遅れているため、現行制度を23年末までは据え置きますが、24年1月からは燃費基準の達成度を段階的に引き上げ、電気自動車(EV)など電動車の普及を促します。

「脱格差」では、高所得者の所得税負担率が低下する、いわゆる“1億円の壁”問題に関して、極めて高い水準の所得については、最低限の負担を求める“ミニマム課税”を初めて導入します。

また、次世代に資産を移転しやすくするため、累積贈与額2500万円までは非課税とする「相続時精算課税制度」に110万円の基礎控除を創設し、使い勝手を向上させます。暦年課税では、相続前贈与を相続財産へ加算する期間を現行の3年から7年に延長します。

インボイスの円滑導入へ税負担の軽減措置を創設

――このほか、公明党の主張が実った点を教えてください。

西田 かねて公明党が独自に主張を重ねてきた災害時の税負担軽減について、今回、その要望が実りました。16年の熊本地震や20年7月の豪雨災害などで指定された「特定非常災害」の場合、それによる損失にかかる雑損失と純損失の繰越控除期間を現行の3年から5年に延長します。

中小企業支援では、法人税の軽減税率の特例の適用期限を2年延長します。生産性向上や賃上げを目的として取得した機械や装置の償却資産にかかる固定資産税について2年間半減する特例措置を創設します。

公明党が具体的な制度設計を提案した、インボイス(適格請求書)制度導入に向けた税負担の軽減措置も創設されます。免税事業者がインボイス発行事業者を選択した場合、消費税の納税額を売上税額の2割に軽減する3年間の負担軽減措置を設けます。簡易課税制度の適用を受ける場合に比べ、さらに事務負担が軽減されます。

また、課税売上高が1億円以下の事業者については、1万円未満の課税仕入れについて、インボイスの保存がなくても帳簿のみで仕入税額控除を可能とします(6年間)。全事業者の9割が対象です。

――防衛力整備に向けた財源確保を巡っても議論が行われました。防衛費の増額が必要となる背景は。

西田 日本を取り巻く厳しい安全保障環境に対応するため、保有すべき防衛力の水準を引き上げる新たな「防衛力整備計画」の決定に向けて、政府・与党で議論を重ねてきました。この防衛力整備計画では、27年度までの5年間の防衛費の総額は、従来の約27兆円から約43兆円に増額しています。27年度だけでも、今年度より約4兆円の上乗せが必要になります。

歳出改革や決算剰余金の活用、税外収入など、さまざまな工夫を行っても、それでも毎年度1兆円強の財源が不足するとして、岸田文雄首相は与党の税制調査会に対し、年末に向けて税目や方式等、施行時期を含めて検討するよう求めていました。

緊急時の財政出動については、国債発行に頼らざるを得ない面があるため、平時の防衛費はできるだけ国債発行に依存しないことが大事です。将来世代にツケを回すことも避けるべきです。そのため、税調で1兆円強の財源確保の具体的内容を検討してきました。

――防衛費を巡る財源はどう確保しますか。

西田 安定的な財源の確保へ、税収が大きい基幹3税のうち、社会保障に充てられている消費税を除き、法人税と所得税で対応し、たばこ税も段階的に引き上げるとしました。その上で、大綱では、これらの施行時期は「24年以降の適切な時期」と明記されました。国民の皆さまへの十分な理解を得る努力を積み重ね、今後、税調で議論を行っていきます。

具体的な財源として、今回の大綱では、法人税額に対し、税額4~4.5%の新たな付加税を課すこととしましたが、公明党の強い主張により中小企業には十分に配慮する措置を講じます。その結果、実際に課税されるのは全法人の約6%、黒字法人に占める比率は約16%です。課税されるのは、ほとんど大法人となります。

その上で、個人の所得税負担が増えないよう、所得税額に対し、当分の間、税率1%の新たな付加税を課す一方で、復興特別所得税の税率を1%引き下げ、課税期間を延長します。東日本大震災からの復旧・復興に要する財源については、引き続き、責任を持って確実に確保していきます。

 
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