公明新聞より(8/14)
賃金など処遇を改善
労務費の適正な基準、国が作成
改正法、9月に一部施行
担い手3法
議員立法の「公共工事の品質確保の促進に関する法律」(品確法)、政府提出の「建設業法」などを合わせた総称。公共工事を対象とする品確法は罰則規定がない理念法である一方、建設業法などは民間工事も含め、守るべきルールを定める。2014年以降、建設業の担い手確保を目的に改正を重ね、今回で3度目となる。
建設業は、他産業より賃金が低く、就労時間が長いという厳しい就労条件などにより、就業者数がピーク時から約3割減の483万人となっている。こうした課題を踏まえ、改正された担い手3法では、処遇改善や価格転嫁、働き方改革を推進。国民生活・社会経済を支える役割を将来にわたって果たせるよう、担い手を確保し、持続可能な建設業を実現するのが狙い。
9月からの改正建設業法などの一部施行により、有識者や、発注者側である不動産業者、受注者側の建設業者らで構成する国土交通省の中央建設業審議会において「標準労務費」を作成。施工に必要な額を著しく下回る労務費による見積もりを禁止し、違反した発注者には国交相が勧告・公表する。基準を設けることで、適正な水準の労務費を確保し、現場の技能労働者の賃上げにつなげる。
担い手3法ではこのほか、処遇改善や働き方改革を一層進めるため、国が賃金支払いや休日取得に関する現場の実態を把握・公表することを規定した。国は結果に応じた必要な施策を講じる。また、物価高のしわ寄せの多くが受注者である建設業者に及んでいる点にも着目。契約後に資材が高騰した場合、価格転嫁の協議や適切な請負代金への変更を促す。
通常よりも著しく短い工期で契約する「工期ダンピング」の防止対策も強化。現行法の発注者に加え、新たに受注者による不当な工期設定を禁止し、担い手の休日確保などを後押しする。生産性向上に向けては、情報共有ソフトの活用や遠隔管理など効率的な現場管理を普及させるため、工事の受注者にICT(情報通信技術)を用いた取り組みを努力義務とする。
■現場に即した対応促す/党国交部会長 国重徹衆院議員
建設業界の担い手不足は深刻だ。特に、若い世代が建設業を志望しないことに危機感を抱いている事業者は多い。現場の技能者が適正な賃金を受け取れる環境を整えることが急務だ。
公明党は現場の声を丁寧に聴き取り、一貫して政府に建設労働者の処遇改善を求めてきた。改正された担い手3法に、適正な水準の労務費確保と、行き渡りのための新ルールなどを盛り込めたことは大きな前進だ。
今後は、持続可能な建設業の実現へ、改正法の実効性確保が重要だ。関係業界とも連携して事業者へ施策の周知を図るとともに、現場に即した対応が進むよう検討していきたい。