活動報告

ニュース

衆・法務委 民法改正案が対政府質疑ののち、可決

衆議院法務委員会で、成年年齢の引下げ等に関する民法改正案の対政府質疑を行い、
委員会で可決されました。
国重は、自身が強く主張して新たに設置された
「成年年齢引下げを見据えた環境整備に関する関係府省庁連絡会議」について、
適切な取り組みがなされるよう細かく具体的な提案を行いました。

(2018年5月26日付公明新聞より)

「18歳成人」法案 衆院可決/若者への適切な支援必要 国重氏

衆院法務委員会は25日、成人年齢を18歳に引き下げる民法改正案を
自民、公明の与党両党などの賛成多数で可決した。

採決に先立ち公明党の国重徹氏は、同改正案の参考人質疑での
「成人年齢を引き下げたとしても必要に応じた支援や保護を講じていくべき」
との指摘を踏まえ、「(この指摘を)今後の共通認識にしていく必要がある」と強調。
成人年齢引き下げの課題を検討する省庁横断の連絡会議でも徹底するよう訴えた。

同会議で議長を務める上川陽子法相は、
「成人年齢引き下げは、18、19歳の若年者が大人として完成したことを
意味するのではなく、いまだ成長の過程にあるものと考えている」と答弁。
「18、19歳は引き続き支援が必要な存在であり、
社会全体として支えていかねばならないとの視点が重要。
連絡会議で打ち出し、認識を共有したい」と述べた。

>> [外部リンク]公明ニュース「「18歳成人」法案 衆院可決」


以下、議事録全文です。

 

○國重委員 おはようございます。公明党の國重徹でございます。

 これまでの当委員会での各委員の真摯な質疑、また審議に、改めて心より敬意を表する次第でございます。

 本法案は、約百四十年ぶりの歴史的な法改正ということで、若年者を始め多くの方々に影響を及ぼす法案であります。そういったことで、私は、これは与野党を超えて多くの政党の賛成を得て成立することが望ましいというふうに考えております。

 もっとも、これまでの審議を聞いておりますと、法案の賛否について反対のニュアンスを出されている野党の方々がいらっしゃること、それはそれで尊重をいたしますが、やはり私は、多くの政党の合意でこの法案を成立させたいと思っているというこの思いは、変わることはございません。

 一応、今回、歴史的な法改正でございますので、前回も少し触れましたけれども、改めて、これまでこの法案が提出されるに至った歴史的な経緯をいま一度確認をさせていただきたいと思います。

 まず、平成十二年の五月二十三日、これは当時の民主党のホームページのニュースにおいて、民主党ネクストキャビネットが、十八歳以上に大人としての権利と責任をということで出されております。

 どのようなことが書いているか。抜粋しますけれども、民主党は、十八歳は経済的自立が可能な年齢であり、既に、結婚や深夜労働、危険有害業務への従事、普通免許の取得、働いている場合は納税者であること等、社会生活の重要な場面で成人としての扱いを受けており、世界の趨勢も十八歳以上を成人としていることから、以下のとおり成人年齢を十八歳に引き下げることを提案しますと言われております。

 これを受けて、平成十二年十月、現在の立憲民主党の党首であられる枝野幸男議員が筆頭提出者となって、民主党・無所属クラブが、成年年齢の引下げ等に関する法律案を衆議院に提出をしております。

 そして、平成十八年五月、日本国憲法の改正手続に関する法律案の自公案、民主案がそれぞれ提出されております。

 そして、その後、この審議の中で、平成十八年十二月七日、これは衆議院の日本国憲法に関する調査特別委員会の枝野幸男議員の発言でございますけれども、このようなものがございました。「さらに言えば、少なくとも、十八歳成人のためのほかの関連法令の法律案は、恐らく本国民投票法が成立したらその数カ月後には必ず国会に提出をされる、もし政府がされなければ民主党が提出をすることになると思います。」このように言われております。

 そして、平成十九年五月、先ほどの両案の併合修正案が成立をしております。

 また、その後、平成二十一年十月二十八日に、これは当委員会でもさまざま出てまいりました、法制審より民法の成年年齢の引下げについての意見が答申をされました。

 さらに、これを受けまして、平成二十六年四月、日本国憲法の改正手続に関する法律の一部を改正する法律案が、七党、自民、民主、維新、公明、みんな、結い、生活から提出をされております。そして、その附則に、「民法その他の法令の規定について検討を加え、必要な法制上の措置を講ずるもの」とされております。

 そして、これを受けて、平成二十六年五月二十一日、憲法審査会におきまして、枝野幸男議員がこのようなことを言われております。「私あるいは私どもは、今回の機会に選挙権年齢も投票権年齢も成人年齢も一気に十八歳にしてしまうことの方が望ましいと今も思っています」というようなことで言われております。

 さらに、ほかの野党の方もいろいろ言われておりますけれども、日本共産党の笠井亮議員、現在、政策委員会の責任者ということで聞いておりますが、平成二十六年四月二十四日の衆議院の憲法審査会におきまして、「改憲手続法の附則三条というのは、改憲手続法施行までの三年間で、すなわち二〇一〇年の五月十八日までの間に、選挙権年齢、成年年齢等を十八歳に引き下げること、それができること等になるようということで、その引き下げをある意味義務づけたわけですね。」このようにおっしゃられております。

 そして、こういった経緯があって出されたということを改めて確認をさせていただきたいと思います。

 ちょっと冒頭時間をとりましたので、手短に、簡潔に入ってまいりたいと思います。そういったものを含めて、ただ、環境整備はしっかりやらないといけないということで、伺ってまいります。

 成年年齢の引下げは、多くの国民に影響を及ぼすものであって、民法だけではなくて、広くさまざまな分野に波及するものであります。だからこそ、政府一体となって環境整備に取り組んでいく必要がございます。

 そのためには、省庁をまたぐ分野横断型の課題については、横連携を図っていく必要がございますが、これまでの連携は、私は、必ずしも十分に図られていなかった面もあると感じております。だからこそ、我が党は、成年年齢を引き下げるのであれば、関係府省庁がしっかりと連携を図るべく、関係府省庁横断型の会議をつくるよう、強く要望、主張いたしました。

 これを受けて、今般、法務大臣を議長とする、成年年齢引下げを見据えた環境整備に関する関係府省庁連絡会議が立ち上がり、その第一回会議が先月十六日に開催されたところであります。

 改めて確認しますが、この連絡会議はどのようなものなのか、法務大臣、よろしくお願いします。

○上川国務大臣 民法が定める成年年齢を十八歳に引き下げる上では、消費者被害の拡大の防止などのための環境整備の充実、これにつきましては極めて重要であると考えております。

 こうした環境整備につきましては、ただいま委員から御指摘のとおり、関係府省がばらばらで対応しているとするならば、その整備の成果が上がらないということでございまして、公明党、御党からの御提案を踏まえて、今般、法務大臣を議長とする、成年年齢引下げを見据えた環境整備に関する関係府省庁連絡会議を開催したところでございます。まさに、関係府省庁相互の密接な連携協力を確保し、総合的かつ効果的な取組を推進することを目的とするものであり、今後も継続的に開催することを予定しております。

 この連絡会議におきましては、若年者の消費者教育、消費者保護、与信審査、若年者自立支援など、成年年齢引下げを見据え、対応が必要とされる課題をテーマとして取り上げることとしております。

 また、これらの課題に関し、個別の施策ごとに工程表を作成した上で、その実施状況を連絡会議の構成員である関係府省庁が相互に確認をし、施策の進捗状況を管理をするということを予定しております。

○國重委員 我が党の要望を受けて連絡会議を設置したこと、これについては評価をいたします。

 その上で、成年年齢の引下げに向けた環境整備について、政府としてはこれまでも取り組んできたという答弁が当委員会でされましたが、これに対して、消費者問題等の最前線で奮闘されている参考人の方や委員各位から、これまでの政府の取組ではまだ心もとないというような指摘もされたところであります。

 政治は結果ということからすると、本委員会の審議で指摘されたさまざまな意見を踏まえて、環境整備により一層取り組んでいくことが必要である、これは当然のことであると思っております。

 そして、大臣、当委員会で参考人の方々の意見にもあったとおり、十八歳で成年になったとしても、それでいきなり大人として完成するわけではない、十八歳は大人への入り口であって未成熟な面もあるんだ、だからこそ必要に応じた支援や保護をしっかりと講じていかなければならない、こういった考え方を、各府省庁が今後施策に取り組む際の共通認識にしていただく必要がある。

 そして、ぜひ、今後の府省庁連絡会議を通じて、国会審議でこのような指摘があったことを、議長である法務大臣が明確に打ち出していただいて、議長の方針として表明していただきたいと思います。これに関する見解を伺います。

○上川国務大臣 今回の法案におきましては、成年年齢の引下げをすることによって十八歳で一人前の大人として扱うこととしておりますが、これは、十八歳、十九歳の若年者が大人として完成されたことを意味するのではなく、いまだ成長の過程にあるものと考えております。

 このような意味で、委員の御指摘はまことにごもっともなものであると思っております。

 そして、連絡会議におきましては、成年年齢の引下げを見据えて、対応が必要とされる課題をテーマとして取り上げることとしておりますが、その検討を行うに当たりましては、十八歳、十九歳の若年者は引き続き支援が必要な存在であり、社会全体として支えていかなければならないという視点が重要であると考えております。

 政府としては、この連絡会議における進捗管理等を通じまして、関係施策の推進にしっかりと取り組んでまいりたいと考えておりますが、その際、ただいま述べたような視点につきましては、しっかりと打ち出し、構成員におきまして認識を共有することができるよう、しっかりと諮ってまいりたいと思っております。

○國重委員 成年年齢である十八歳になるまでやるべきこと、これも当然大事でありますが、それだけではなくて、十八歳を含めた若年者全般に対する取組もまた重要でありますので、ぜひ大臣の答弁にありますように、よろしくお願いいたします。

 次に、府省庁横断検討会議の具体論を伺ってまいります。

 配付しました資料一、成年年齢引下げを見据えた環境整備に関する関係府省庁連絡会議のポンチ絵をごらんいただければと思います。

 これを見ますと、連絡会議の趣旨として、成年年齢引下げを見据え、環境整備が必要な個別施策の報告、所要の措置、進捗管理を行うとされております。

 この報告や進捗管理は具体的にどのように行っていくのか、連絡会議を開いて管理をするのか、そうであれば、この会議はどの程度の頻度で開催するのか、お伺いいたします。

○上川国務大臣 成年年齢引下げを見据えた環境整備に関する関係府省庁連絡会議でございますが、工程表を作成した上で、平成三十四年四月一日までの施行日までの間、継続的に進捗管理を行っていくこととしております。連絡会議は、年に数回程度開催することを予定しております。また、そのもとで幹事会を開催し、実務的な協議を行っていく予定でございます。

○國重委員 ぜひよろしくお願いします。

 時間の関係で、一問飛ばさせていただきます。

 今後、連絡会議を通じて、さまざまなテーマに関する進捗状況が管理されることになりますが、私は、この会議の議事録の公開をすべきだと思っております。

 今般の新たな連絡会議が立ち上がる以前、憲法改正国民投票法の附則第三条を受けて、平成十九年五月十四日に、年齢条項の見直しに関する検討委員会が設置されました。しかし、この検討委員会は、七回会議が開催されたと伺っておりますが、その詳細は不明で、議事録はアップされておりません。その議論の形跡が見えるのは、会議の取りまとめ役であった内閣官房が衆議院の憲法審査会で報告するために作成した文書のみであります。

 今回新たに設置をした連絡会議については、そうであってはならない。その進捗状況について、議長たる法務大臣がしっかりと管理していくことはもちろん、我々立法府も責任を持ってチェックしていくために、会議の議事録を公開して透明化して、会議の内容、進捗状況を外部的に明らかにすべきであると考えます。議長たる法務大臣の答弁を求めます。

○上川国務大臣 連絡会議の議事概要につきましては、法務省で作成をし、関係府省庁の確認を得た上で、法務省のホームページで公開することを予定しております。

 なお、第一回の連絡会議の議事概要につきましては、今、確認作業を進めているところでございまして、できるだけ速やかに公開をしていきたいと考えております。

○國重委員 我々としてもしっかり進捗を注視してまいりたいと思いますので、ぜひよろしくお願いします。

 最後の質問でございます。

 成年年齢の引下げに向けた環境整備は、これは法務省の所管事項だけではなくて、幅広い分野にまたがった課題でありまして、横串の連携が肝になります。だからこそ、我が党は、内閣府、内閣官房をかませることも要望いたしました。こういった中、今般の連絡会議の議長は法務大臣となっております。法務大臣は、連絡会議の議長として、関係府省庁全体の幅広い施策の進捗管理をしっかりと行っていけるのか、今後の意気込みを含めて伺います。

○上川国務大臣 この連絡会議でございますが、法務大臣を議長とした上で、成年年齢の引下げの環境整備に向けた施策を所管する各府省庁の局長級職員を構成員とするとともに、その調整役として、内閣官房も参加し、関係府省庁の横串の連携体制を整えることとしております。このような体制によりまして、関係府省庁が足並みをそろえて必要な施策を効果的に実施していくことができると考えております。

 国のあり方に関するテーマでございます。当然のことながら、政府全体として取り組んでいきたいと考えております。法務大臣として、その意味での覚悟を持って、あらゆる力を総動員して環境整備の施策に全力で取り組んでまいることを、改めてここでお約束申し上げます。

○國重委員 今後、民法改正案の施行予定である二〇二二年四月一日に向けて、関係府省庁は一層の取組を行っていくことになります。大臣が二〇二二年まで大臣をしていればいいですけれども、大臣がかわることがあれば、しっかりと引継ぎを行っていただきたいと思います。

 やはり、何事も初代が肝心であると思います。トップの意識、責任感に応じて、やはり組織も変わってまいります。上川大臣のリーダーシップを信じ、また期待して、またさらには、私もしっかりこの進捗状況を責任を持って注視していくことを述べまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

 
PAGE TOP