活動報告

国会質疑

予算委第5分科会 不妊治療の支援拡充について質疑

衆議院で年に1度の予算委員会分科会が開催されました。

厚生労働省所管の第5分科会に所属し、30分間、不妊治療に対する支援の拡充について質疑を行いました。

 

晩婚化、晩産化が進む中、日本では今や5.5組に1組のカップルが不妊に悩んでいます。

国重はこれまで多くの地元の皆様、不妊体験を持つ当事者の団体の皆様からご意見、ご要望を伺ってきました。

全国各地で党青年議員が、若者の声を直接受けとめる取組「ユーストークミーティング」を開催する中でも多くのお声をいただいています。

 

不妊治療に伴う身体的、精神的、経済的、時間的負担を少しでも軽減できるよう、引き続き取り組みます。


(以下、2020年2月26日付公明新聞より抜粋)

【国重氏、不妊治療助成広げよ】

第5分科会で国重徹氏は不妊治療費用の負担軽減に向け、国の助成制度の助成額引き上げや所得制限緩和を訴えた。

また、現行の助成最高額が初回30万円、2〜6回目は15万円の計105万円(男性の治療費助成を除く)であることに触れ「総支給額という枠の中で、1回当たりの助成額を柔軟に選択できる制度に見直すべきだ」と提案した。

稲津久厚生労働副大臣(公明党)は「来年度に実態調査を行い、検討する」と答えた。

 

さらに国重氏は、不妊治療と仕事の両立には企業の理解促進が必要だと力説。

厚労省の広報専門のアドバイザーである広報戦略推進官を活用した効果的な広報・周知活動を要請した。


以下、議事録の全文を記載します。ぜひご覧ください。

○國重分科員

公明党の國重徹でございます。
きょう私が質疑をしたいのは、大きく一点、不妊治療に対する支援の拡充についてでございます。
新型コロナウイルスの対応を踏まえまして、きょうは加藤厚生労働大臣の答弁は求めません。稲津副大臣に答弁をお願いしたいと思いますけれども、ぜひ大臣に成りかわって、厚生労働省を代表して、前向きな答弁をぜひよろしくお願いしたいと思っております。

まず冒頭、稲津副大臣にお伺いいたします。
今まで副大臣は、不妊治療をされている方、またその経験のある方からお話を伺ったことはあるのか、また、話を伺ったことがあるのであれば、そのときに自分ではどういうような印象を受けたのか、また、どういうようなことを感じたのか。これについてまず答弁を求めます。

○稲津副大臣

お答えさせていただきます。
今委員から、不妊治療を実際にされている方、また、そういう方のお話をお聞きになったり、あるいはまた、それに対してどのように私自身が受けとめてきたのかということについてのお問合せでございますけれども、例えば私の職場の同僚であったり、それから友人、知人にも実際に不妊治療を受けている方が、これは御夫妻ともどもという方もいらっしゃって、そういう方々のお話も直接聞いたこともございます。
私が思うには、やはり、例えば一つは精神的な苦痛、これは非常に大きいものがあると思っています。これは、例えば、不妊治療のために職場を休まなきゃいけない、上司や同僚の理解も得なきゃいけない、また、それに対して多少なりとも、さまざまな、偏見とは言いませんけれども、厳しい言葉をかけられたこともあるというお話も伺っています。それから、やはり肉体的な苦痛、これも伴うわけでございますから、それもありますし、それからもう一つ大事なことは、やはり経済的負担が非常に大きいということ。
私は、そういう話を伺ったときに、不妊治療についてこうした、私自身でもそういうことを経験している、恐らく多くの方々、お身内やあるいは知り合い等に必ずそういう方がいらっしゃって、そうした方々の不安やあるいは御負担をどういうふうに共有して政策的に反映していけるかが非常に重要なことであると思っております。

○國重分科員

今、副大臣からも、この不妊治療に関する支援というのは極めて重要だというようなことで、受けとめていただくとの答弁をいただきました。
不妊の悩み、これに関しましては、私も、多くの地元の皆さん、また不妊体験を持つ当事者の団体の皆さんからさまざまなお声、御意見、御要望を伺ってまいりました。さらに、私ども公明党は現在、全国各地で青年議員が若者の声を直接受けとめる取組、ユーストークミーティングというものを開催しておりますが、そこでも多くの御意見、御要望をいただいております。
加えて、今回の質問に当たりまして、不妊治療をしたけれども残念ながら妊娠、出産に至れなかった方たちが書いた本も、私、改めて三冊読んでまいりました。きょうは、そういった生の声、当事者の思いを受けて、質問をさせていただきたいと思います。

晩婚化、晩産化が進む我が国におきまして、今や五・五組に一組のカップルが不妊に悩んでおります。国際的に見ても、我が国は不妊治療経験者の割合が先進国の中で一番高いとも指摘をされております。不妊に悩む方たちをいかに支えていくか、これは非常に重要な政策課題であります。
不妊治療には四つの負担があると言われます。治療に伴う身体的な負担。焦りや悲しみ、周囲との関係での悩みなど、心、精神的な負担。高額な治療費、長引く治療による経済的な負担。そして、仕事と通院との両立という時間的な負担。この四つの負担があると言われております。
その中でも、大きな壁として立ち塞がっているのが経済的な負担であります。不妊治療には、タイミング法、また人工授精など、さまざまな段階があります。その中でも特に高額な治療費がかかるのは体外受精や顕微授精でありますけれども、こういった高額の治療費がかかる特定不妊治療につきましては、政府として公的な助成制度を設けて、これまで累次の拡充がなされてまいりました。
しかし、まだまだ当事者の経済的負担は重い、これが今の実情でございます。現在、特定不妊治療費助成につきまして、初回は三十万円、二回目以降は十五万円となっております。では、なぜこの金額に設定しているのか、まずその理由についてお伺いいたします。

○渡辺政府参考人

お答えいたします。
御指摘のございました体外受精あるいは顕微授精に係る助成額の根拠でございますが、これは、平成十年に行いました厚生科学研究におきまして、これは産婦人科医とそこに通っていらっしゃる患者さんを対象とした大規模な調査でございまして、そこでの約八百名の患者さんへのアンケート調査に基づきまして、おおむね、この体外受精、顕微授精にかかる、中央値でございますけれども、金額が大体三十万円から四十万円ということで、その約半分を助成するという考え方で設定しているところでございます。
それから、先生からも御指摘ございましたように、二十八年の一月から、早期の受診を促すため、できるだけ初回の方が出産に至る確率が高いという有識者会議の御報告もございまして、初回治療の助成額を十五万円から三十万円に引き上げたところでございます。

○國重分科員

今の答弁で、治療費の約半分をカバーできるようにしたいという思いからこの金額に設定されたというようなことがございました。
この点、NPO法人Fineの二〇一八年の調査によりますと、体外受精の一周期当たりの平均治療費につきまして、五十万円以上は四三%、三十万円以上となりますと八七%になるという結果が出ております。顕微授精につきましては、一周期当たり、五十万円以上が六〇%、三十万円以上は九二%との結果も出ております。
さらに、同様の調査は二〇一八年だけではなくて二〇一〇年、二〇一五年と行われておりますが、それらと比較すると、高額な治療費が必要なケースが年々ふえております。こういったことからしますと、この助成金額、十五万円だけでは治療費の半分も賄えず、経済的負担をますます感じるようになってきているのが現在の実情でございます。
このようなことを踏まえまして、政府としても、できる限り早期に実態を把握して、助成額をそれに見合う金額に引き上げるべきだと考えます。稲津副大臣、いかがでしょうか。

○稲津副大臣

お答えさせていただきます。
委員から今御指摘の、体外受精や顕微授精が大変高額である、一方で、助成額についての十五万円というのはいかがか、ぜひ引き上げよという、もちろん調査の上でという御質問でございましたけれども、この不妊治療について、議員御指摘の助成額の拡充を始めさまざまな御意見がある、このように承知をしております。
そのために、厚生労働省において、これまで、平成十年度の厚生科学研究、ここにおいて産婦人科医及び患者を対象とした意識調査をしてまいりました。また、このこととともに、平成三十年度には、厚生労働科学研究におきまして、助成事業の実施主体、都道府県、指定都市、中核市を対象にした調査も実施してきたところでございます。
今後、さらに、来年度、令和二年度、ここで実施予定の調査研究を通じて、この不妊治療に関する実態調査を行った上で、金額の引上げ等を検討してまいりたいと考えております。

○國重分科員

来年度に実態調査をするということでございました。それを踏まえてまた検討するということでありましたけれども、引上げは必至、必ずこれはしなければならないことだと思っておりますので、ぜひよろしくお願いいたします。
やはり、現在の助成額では、治療費を補うのに、賄うのに余りにも不十分であります。
実際、カップルの半数以上が経済的な理由で治療のステップアップをちゅうちょ、延期、断念をしております。そして、その傾向は特に三十代前半までの若年に多いという調査結果も出ております。不妊治療は一面では時間との勝負であるにもかかわらず、貯金ができるまで治療に進めず、その間に機会を何度も逃してしまう、そのことに焦って苦しんでしまう人たちもたくさんいらっしゃいます。
当事者の皆さんは、いつまで高額な治療費を払い続けられるのか、どれだけお金をかければ、どれだけ治療すれば子供を授かれるのか、先の見えないトンネルの中でジレンマを抱えながら、それでも望みを捨てたくないと、懸命に治療に取り組んでいらっしゃいます。その苦しさを少しでも軽減するために、実態に即した金額に、ぜひこれは上げていただきたいと思います。

その上で、来年度、この調査をして検討するということでございましたので、今すぐにこの金額を上げるのは難しいとしても、まずは特定不妊治療費助成制度を柔軟に使える制度に変えていただきたいと思います。
具体的には、治療期間の初日における妻の年齢が四十歳未満の場合、現在の制度では通算六回までは助成を受けられることになっております。この金額は、男性不妊を除きますと、原則として、初回三十万円、二回目以降は十五万円、通算六回の治療で、トータル、最高額で百五万円の助成が受けられることになっております。
そこで、総支給額のこの枠の中で、いつの治療に幾ら分の助成額を受けるのか、これを自分たちで選択、決定できるような制度設計に変えていく。そうすれば、経済的な理由で治療のステップアップを断念するカップルは今よりも減ります。また、早い段階から治療がスタートできて、妊娠、出産の確率も上がります。この柔軟に選択できる制度というのは、当事者の皆さんからも強く御要望をいただいているところであります。
稲津副大臣、ぜひ、一回当たりの助成金額の上限を撤廃して、一人当たりの総支給額という考え方のもとで、一回当たりの助成金額を柔軟に選択できるような制度への見直し、これをぜひ検討していただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

○稲津副大臣

お答えさせていただきます。
委員から今御指摘のとおり、やはり御夫婦の方々の年齢的なこともございます。また、時間的な問題もある、そして何よりも経済的負担の大きさ、御指摘のとおりだと思っております。
百五十万上限で、初回三十万、それ以降十五万という今の制度がどういったことになるのか。これは先ほども御答弁を一部させていただきましたけれども、来年度における、不妊治療にかかった費用等について調査研究を実施する、このように予定をしております。
この調査研究等を通じて、例えば、不妊治療、体外受精や顕微授精や男性の不妊治療等の実施件数、それから治療周期当たりの妊娠、出産率、また不妊治療にかかった費用、こうしたことを把握するなどして、不妊治療に関する実態調査をしっかり行い、御指摘の一回当たりの助成金額の考え方についても検討してまいりたいと考えております。

○國重分科員

これは選択肢が多いことにこしたことはありませんので、当事者の方も望まれていることですので、ぜひ当事者の心情に寄り添った取組をよろしくお願いいたします。

時間が予定よりちょっと押していますので、少し巻いてやっていきたいと思います。
次に、特定不妊治療費助成の所得制限についてお伺いします。
不妊治療の助成金は、所得制限にかかってしまえばこれは活用できません。現行制度の所得制限のボーダーは、夫婦合算の所得ベースで七百三十万円となっております。では、そもそもこの七百三十万円という金額が設定されているのはなぜなのか、まずこれについてお伺いいたします。

○渡辺政府参考人

御指摘の所得制限は特に経済的負担の軽減の必要性の高い方に絞るということで設けられているものでございますが、具体的な設定の考え方は、平成十六年の国民生活基礎調査に基づきまして、二十五歳から四十四歳までの女性が属する世帯、これは夫婦のみの世帯と夫婦と子一人の世帯ですが、その世帯の約九割がカバーできるというか、そういう形で設定をしているものでございます。

○國重分科員

九割をカバーすることを狙いとしてこういった所得制限を設けているというようなことでございました。
この所得制限のボーダーが七百三十万円になったのは、平成十九年、二〇〇七年でございます。独立行政法人労働政策研究・研修機構の調査によりますと、ざくっと言いますと、夫婦ともに会社員の共働き世帯というのは、平成十九年は千十三万世帯、これが令和元年では千二百四十五万世帯。所得制限が七百三十万円になってから、共働き世帯が約二百三十万世帯ふえております。これに伴って所得も上がっており、九割カバーという観点からしますと、所得制限の金額設定も本来は上げるべき、これが筋であります。
現に、前述のFineの調査によりますと、不妊治療をしたことがある人、不妊の心配をしたことがある人のうち助成金を申請したことがない方が六割、そして、その理由の四割が所得制限を超えるということでございました。つまり、世帯の九割の方たちを現在の制度ではカバーすることができていないということであります。また、体外受精、顕微授精の費用も年々上がっておりまして、三百万円以上の高額な治療費を払う人の割合も調査を経るに従ってふえております。
所得制限にかかる層であったとしても、これだけの経済的負担があると治療を継続するのは本当に難しい。夫婦ともに必死で働いて、貯金をして、不妊治療の費用を工面する、そうやって働いた結果、助成対象から外れてしまう、これは余りに酷ではないか。所得制限の引上げは不可欠と考えますけれども、稲津副大臣の答弁を求めます。

○稲津副大臣

お答えさせていただきます。
先ほど局長から答弁がございましたが、この不妊治療の所得制限について、特に経済的負担の軽減の必要性の高い方から対象とするために設けているというのが今の現行制度でございます。
委員からの御指摘で、果たして二〇〇七年から勘定してカバーができているのかどうかという問題。私どもは、今後、この不妊治療の所得制限については、まず来年度実施予定の調査研究等を通じた不妊治療に関する実態把握を実施した上で、今議員の御指摘も踏まえてしっかり検討してまいりたいと思っております。

○國重分科員

NPO法人Fineの調査結果からも九割をカバーできていないことはもう明らかでありますので、また、先ほどは四割の方が所得制限にひっかかるということでありましたので、私は、この内容はもう明らかであると思いますので、あとは金額設定の問題だと思いますけれども、ぜひ、これについても政府としての本気の取組、この姿勢を見せていただきたいと思います。

共働き世帯がふえている中で、不妊治療と仕事の両立、これも大きな課題であります。仕事か子供か、この選択を迫る、あるいは仕事も子供も諦めさせてしまう、そういう社会に持続可能な未来はありません。職場で当たり前のように不妊治療が理解され、仕事との両立をサポートできる環境の整備が不可欠であります。
しかし、仕事をしながら不妊治療を経験したことがある人の九割以上は仕事と不妊治療の両立が難しいと感じているのが実態であります。その最大の理由、これは、急に、頻繁に仕事を休む必要があるということであります。不妊の原因は男女ともにありますけれども、何度も通院が必要となるのは女性であります。月経周期に合わせて、体の状態、卵子の入った卵胞の状態を見ながら治療を進めることになるので、どうしても通院回数が多くなるし、周期によってタイミングも変わるために事前に予定も立たない。
厚生労働省の調査で、仕事と治療の両立ができていると答えた人の割合は、男性は七五・三%であるのに対して、女性はわずかに四二・〇%。さらに、Fineの調査では、両立が困難で働き方を変えた人が四割、そのうち半分は退職していることも明らかとなっております。これは、御本人はもとより、企業にとっても社会にとっても大きな損失であります。不幸なことであります。
不妊治療と仕事との両立を支えるためには、頻繁な通院に対応できるような柔軟な働き方、柔軟な休暇制度、例えば、時短やフレックス、テレワーク、半日単位や時間単位の休暇制度などの整備が必要であります。

加えて、不妊治療を周囲に知られたくない方たちもいらっしゃいます。これも当然のことだと思います。
企業の中には、この思いに配慮して、不妊治療や婦人科の受診、あるいは生理痛など女性特有の体調不良の際に活用できる休暇制度を整備して、その上で、通常の有給休暇も含めて、女性社員が取得する休暇は全てエフ休、このエフというのはフィメールのエフであります、こういったエフ休と呼ぶような工夫をしているところもございます。こうした当事者目線に立った制度設計も必要であります。このような取組をこれまで以上に企業に促して、それでうまくいかないのであれば、国としても必要な制度を早期に整えていかなければならないと考えます。

その上で大事なことは、制度と風土というのは一体に考えないといけないということであります。休暇制度があったとしても、それを使えるような企業風土がなければ休暇はとれません。不妊治療に対する理解が経営者や上司、また同僚になければ、制度は絵に描いた餅となります。
当事者からは、治療内容を知らない人が多くて、また休むのと言われた、治療で休みがふえることを上司に告げると、妊活か仕事かを選べ、こう言われて退職をした、職場では不妊治療は全く理解が得られませんが、子育ての場合は優遇されることがとてもつらかったです、こんな声が届いております。これが実態であります。
柔軟な休暇制度を普及させる、また、国としても必要な制度を検討する、不妊治療への理解を促す、さまざまな取組で不妊治療と仕事の両立支援を更に進めること、これは極めて重要なことと考えます。この問題意識、これを副大臣また厚労省として共有するかしないか、まずこれについてお伺いします。

○藤澤政府参考人

お答え申し上げます。
御指摘のように、仕事と不妊治療が両立できるような職場環境の整備は大変重要な課題であるというふうに認識をしてございます。
また、今おっしゃいましたように、頻繁に通院をする必要が生じるわけでございますけれども、一回の治療にかかる時間は治療内容によってもさまざまなものとなってございます。
このため、時間単位で取得できる年次有給休暇制度など、通院に必要な時間について柔軟に取得できるような休暇制度の普及を進めるなど、不妊治療と仕事の両立支援を推進をしていくことが大変重要であると考えているところでございます。

○國重分科員

では、具体的にどのようにしてこれを進めていくのか、お伺いします。

○藤澤政府参考人

お答え申し上げます。
まず、今年度は、時間単位で取得できる年次有給休暇制度やフレックスタイム制度など、不妊治療と仕事の両立を支援する企業内制度の導入に向けたマニュアルを策定することとしておりまして、都道府県労働局や地方自治体、経済団体等を通じて事業主に対して周知を行うことを予定をしております。
さらに、来年度でございますけれども、企業などを対象としまして、不妊治療と仕事の両立支援のための柔軟な休暇制度など、企業の取組や今申し上げました導入マニュアルの紹介も含めましたシンポジウムの開催なども行うことを予定をしているところでございます。
こうした取組を通じまして、職場における理解を深めながら事業主の取組の促進を図ることで、仕事と不妊治療が両立できる職場環境の整備を進めていきたいと考えております。

○國重分科員

ぜひよろしくお願いしたいと思います。
その上で、稲津副大臣、私、こういった取組だけではやはり不十分だと思っております。制度と風土、これが一体だと言いましたけれども、今言ったやり方だけではなかなかこの理解は広がらないし、制度も普及しないと思います。
事前に聞いたところによりますと、この休暇制度の創設を促す企業向けのマニュアルというのは二万部、不妊治療に理解を促すパンフレットは十二万部作成するということで聞いております。日本の企業数約三百五十万者という規模感からすると、届くのはごく一部であります。
そもそも、マニュアルとかパンフレットという形、好事例の横展開というような取組というのはこれまでもやってきていると思われます。これだけで広がれば苦労はしないわけであります。平成二十九年度には、企業向けのリーフレットを作成して周知啓発を推進されておりました。きょうはこれはもう聞きませんけれども、その効果を検証した上での今回の取組なのか。
これまでの取組を全く、私、全否定するわけではありません。しっかり進めていただきたいと思います。ただ、本当の意味で伝わらないと、これは何もやらないのと同じであります。国民の心に届く取組でなければ意味がありません。

役所の皆さんは、私は非常に優秀な皆さんだと思っております。ただ、政策のプロであったとしても、広報のプロであるわけではありません。いかに間違えず正確に表現するかということにはたけていて、今も答弁とかも書かれたりしております。ただ、なかなか、じゃ、この答弁で、国民の心に届くような答弁ができているかというと、これまた別問題であります。
心に届ける、心を動かす、こういうことに関してはやはり謙虚に、民間の知恵、伝えることをなりわいとしている広報のプロとタッグを組んで、アドバイスを受けながら、実効性ある広報のあり方をもっと考えていかなければならないと思っております。これは、不妊の分野にかかわらず、いろいろな政府の取組、広報に対しても重要だと思っております。私、これはずっと感じてきたことであります。

これについて事前に担当部局の皆さんとやりとりしましたけれども、そのときには、当初は、今後しっかり検討していきたいというようなお話でございました。ただ、私の方で、こちらの方でいろいろと更に調査を進めていくと、厚生労働省には既に広報専門のアドバイザーである広報戦略推進官というポジションがあって、民間の広報出身の方が担当しているということがわかりました。これを活用しない手はない。
ただ、なかなか、この原課の方というのはそういう存在自体も忙しくて認識それ自体をしていない、こういった現状もございました。これでは宝の持ち腐れであります。
そこで、事前にこちらで広報戦略推進官にも連絡をとりまして、今回の件についてもお話をさせていただきました。非常にこの件についても関心を示されまして、不妊に関する広報の大切さ、これもよく理解をしていただきました。早速この原課の方と連携をとっていただくようにお願いもしたところでございます。
稲津副大臣、ぜひ、今後は、専門家であるこういった広報戦略推進官の意見も真摯に聞きながら、しっかりと連携をとって、不妊治療に関する効果的な広報、周知活動を行っていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

○稲津副大臣

お答えさせていただきます。
不妊治療と仕事の両立支援、このことにおいては、やはり職場における不妊治療に関する理解の促進を図ることが何よりも重要である、御指摘のとおり、効果的な広報、周知を行っていくことがその上で大変重要なことだ、こう認識しております。
このために、今年度は不妊治療と仕事の両立を支援する企業内制度の導入に向けたマニュアル、それから来年度は企業等を対象としたシンポジウムの開催を実施、推進してまいりますけれども、今委員から御指摘のとおり、民間の人材の登用、活用というのは非常に重要なことでございまして、この広報戦略推進官、これを設置しておりますが、今後、担当部局と連携、相談すること等によりまして、不妊治療と仕事の両立に関する効果的な広報、周知の方法をよく検討していきたい、そして、職場における不妊治療への理解の促進を図ってまいりたい。この広報戦略官のそうした役割等、省内での共有をしっかり図って進めていきたいと思っています。

○國重分科員

ぜひよろしくお願いします。
ほかに、企業のインセンティブ施策とか不妊に関する正しい知識の教育、これについてもお伺いしたいと思いましたけれども、ちょっと時間の関係で、これはもうなしにさせていただきます。きょう来ていただいて本当に申しわけありませんでした。しっかりとまた別の角度で進めていきたいと思いますが、よろしくお願いします。

生き方や働き方、価値観、幸せの定義、これは人によって違います。その多様性が理解されて尊重される社会を築かないといけません。きょう、不妊治療についてお伺いしましたけれども、子供を産みたい、仕事と両立したいという願いが実現できる環境づくり、これが必要であります。また、それを支えてくださる周囲の方には、結婚や出産をしない、こういった選択をした方もいらっしゃいます。そういう方たちも疎外感を抱かないように、こういったところにも思いをいたした取組を進めないといけません。
人生のさまざまな選択が尊重されて、誰もが自分の能力を最大限に発揮して、真に活躍できる社会の実現に向けて更に力を入れて取り組んでいただきたいことを切に要望いたしまして、私の質疑を終わります。
ありがとうございました。

 
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