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衆・法務委 相続法改正案について対政府質疑

衆議院法務委員会で、民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律案、
法務局における遺言書の保管等に関する法律案について対政府質疑を行いました。

以下、議事録全文です。

○國重委員 公明党の國重徹でございます。

 早速質問に入らせていただきます。

 今般の法改正に関して、専門の部会である法制審議会民法(相続関係)部会で取りまとめた中間試案には入っているものの、法制審の最終的な要綱に盛り込まれていない施策として、配偶者の相続分の引上げがございます。この配偶者の相続分の引上げを採用しなかった理由は何なのか、お伺いいたします。

○小野瀬政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、相続法の見直しについて調査審議を行っておりました法制審議会民法(相続関係)部会におきましては、配偶者の相続分の引上げについても検討を行っておりました。そして、中間試案におきましては、婚姻期間が長期間にわたる場合など、被相続人の財産形成に対する配偶者の貢献が類型的に大きいと考えられる場合に、配偶者の相続分を引き上げるという考え方が提示されておりました。

 しかしながら、配偶者の相続分の引上げにつきましては、昭和五十五年の民法改正においてこれを引き上げたという経緯もありまして、これ以上引き上げることに対しては、法制審議会においても多くの異論や問題点の指摘がございました。特に、高齢者同士の再婚がふえていること等に照らすと、仮に配偶者の相続分を引き上げるとしても、これを一律に引き上げるのは相当でなく、被相続人の財産の維持又は増加に対する貢献が大きい場合に限定する必要があるのではないか、しかしながら、そういった配偶者の貢献の程度を実質的に考慮しようとすると相続をめぐる紛争が過度に複雑化、長期化するとの強い懸念が示されました。

 他方で、配偶者の貢献の程度をある程度形式的に判断するために婚姻期間などによって相続分を変えるという考え方に対しましては、婚姻関係が実質的に破綻している場合にも、長期間これが継続しているときには配偶者の相続分が引き上げられることになって相当ではないという指摘等もされたところでございます。

 パブリックコメントにおきましても同様の問題点が指摘され、これに反対する意見が多数を占めたことから、その採用は見送られたというものでございます。

○國重委員 配偶者の相続分の引上げは採用しなかった、そのかわりに、配偶者間の贈与等について持ち戻し免除の意思表示を推定する規定が設けられておりますけれども、この理由について伺います。

○小野瀬政府参考人 お答えいたします。

 法制審議会におきましては、配偶者の相続分の引上げは適当ではないものの、少子高齢化の進展等の社会経済情勢の変化等を踏まえると、配偶者保護のための方策を検討することは必要かつ有益であるという意見が相次ぎました。また、配偶者の貢献を相続の場面のみで評価することには限界があるとして、生前贈与や遺贈を促進する方向での検討もすべきであるとの指摘がされました。

 このような検討経緯を経まして、最終的には、婚姻期間が二十年以上の夫婦間において居住用不動産の贈与等がされた場合については、原則としてこれらの贈与等を特別受益として取り扱わないこと、すなわち、持ち戻し免除の意思表示がされたものと法律上推定することとしたものでございます。

 これは、このような要件を満たす場合には、これらの贈与等は、それまでの配偶者の貢献に報いるとともに、その生活保障を図る目的でされた場合が多く、被相続人の意思としても、これらの相続等により遺産分割における配偶者の取り分を減らす意思は有していないのが通常であると考えられること等を考慮したものでございます。

 この方策は、相続税法におきまして、婚姻期間が二十年以上の夫婦間において居住用不動産の生前贈与がされた場合について、高齢配偶者の生活保障等を図る観点から贈与税の特例が認められること等を参考にしたものでございます。

○國重委員 相続税法の規定を参考にしたということでありますが、相続税法では、なぜ、婚姻期間が二十年以上の夫婦間において居住用不動産の生前贈与がなされた場合に贈与税の特例が認められているのか、その趣旨と、あわせて二十年以上という期間を定めた趣旨について答弁を求めます。

○田島政府参考人 お答えいたします。

 御質問の贈与税の配偶者控除、これは昭和四十一年度改正において創設されたものでございますが、その趣旨としては、長年夫婦としての協力関係が保たれてきた者の間におきまして、残された配偶者の生活の場をまず確保する意味合いで行われる生前贈与を税制上優遇する趣旨で設けられているものでございます。

 また、婚姻期間の定めにつきましては、昭和四十一年度の制度創設当時では、居住用財産の取得ができる程度の財産形成には通常の勤労世帯では相当長時間を要すること、また残された配偶者の老後の生活保障がある程度の年齢に達した後において必要であることなどを勘案いたしまして、長年夫婦として連れ添った期間として二十五年以上としていたところでございます。

 その後、昭和四十六年度改正におきまして、経済の成長に伴って財産形成のテンポが速まっていることなどを反映しまして、この婚姻期間を二十五年以上から二十年以上に短縮し、以後、現在まで継続しているところでございます。

 以上でございます。

○國重委員 贈与税の特例というのはどれぐらい使われているのか、直近三年でどの程度なのか、お伺いいたします。

○並木政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねの贈与税の配偶者控除の特例の適用件数につきまして、直近三年分ということで申し上げますと、平成二十六年分は一万六千六百六十件、平成二十七年分は一万三千九百五十九件、平成二十八年分は一万一千二百六十一件となっているところでございます。

○國重委員 先ほど来ありますとおり、今回、婚姻期間二十年以上という要件を設けておりますけれども、同一の当事者間で、結婚、離婚、また結婚を繰り返した場合にはどうなるのか。連続で二十年以上必要なのか、それとも通算二十年以上で足りるのか、いずれを意味するのか。この点、まず、税法ではどのように取り扱われているのか、お伺いいたします。

○田島政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の婚姻期間につきましては、法令の規定に照らして申し上げますと、相続税法施行令第四条の六第二項におきまして、婚姻の届出があった日から贈与があった日までの期間により計算し、その期間から贈与を受けた者が贈与者の配偶者でなかった期間を除くこととされてございますので、連続二十年以上ではなく通算二十年以上とされているところでございます。

○國重委員 では、そうした趣旨は何なのか、お伺いいたします。

○田島政府参考人 お答えいたします。

 ただいまの趣旨でございますが、この二十年以上という期間が、先ほども御答弁申し上げたとおり、居住用財産の取得に要する期間といった点を踏まえて定められている中で、同一の夫婦が婚姻関係にある間の財産形成については、やはりこれは全て考慮するんだろうという観点もございまして、殊さら連続という要件をつけることなく、通算二十年以上であれば適用可能としているところでございます。

○國重委員 では、本法律案の婚姻期間、この二十年以上の要件というのも、通算で二十年以上ということで足りるのか、お伺いいたします。

○小野瀬政府参考人 お答えいたします。

 本制度におきまして期間の通算を認めるかどうかといいますものは、これは解釈問題ではございますけれども、贈与税の特例を認める相続税法の解釈が参考になるものと思われます。

 すなわち、先ほど財務省の方から答弁がありましたとおり、贈与税の特例に当たりましては、離婚中の期間を除いた上で、複数にまたがり婚姻期間を通算することができることとされておりまして、改正後の民法九百三条第四項の解釈につきましても同様の解釈がされることになるものと考えております。

○國重委員 では、今回、持ち戻し免除の意思表示があったものと推定される遺贈又は贈与の対象財産を居住用不動産に限定した理由は何なのか、お伺いいたします。

○小野瀬政府参考人 お答えいたします。

 一般に、婚姻期間が長期間にわたる夫婦間における居住用不動産の贈与等については、相手方配偶者の老後の生活保障のために行われる場合が多いと考えられます。このため、被相続人の意思としても、遺産分割における配偶者の取り分を計算するに当たり、遺産分割における配偶者の取り分から贈与等の価額を差し引いてその取り分を減らすという意図は有していないのが通常であると考えられます。

 その意味で、婚姻期間が長期間にわたる夫婦間における居住用不動産の贈与等については、社会実態としてこれを特別受益としては取り扱わない、すなわち、いわゆる持ち戻し免除の意思表示がされたものと法律上推定する基礎があると考えられます。

 そして、居住用不動産は生活の基盤となるものでありますことから、民法上、成年後見人の処分に関しても特別の取扱いがされているのに対して、それ以外の財産をこの規律の対象とすることにつきましては、その範囲を合理的なものに限定することが困難であると考えられます。すなわち、居住用不動産以外の財産をこの規律の対象としますと、必ずしも相手方配偶者の老後の生活保障を意図して行われたわけではない贈与等についてもこの規律の対象となり、配偶者以外の相続人が受ける不利益が過大なものとなるおそれがございます。

 このため、この法律案では、いわゆる持ち戻し免除の意思表示がされたものと推定される遺贈等の対象財産を居住用不動産に限定することとしたものでございます。

○國重委員 この持ち戻し免除もそうでありますが、今回の改正法全体を見ますと、法律婚夫婦の配偶者に限定をされ、内縁夫婦の配偶者は射程に入っていないものが複数ございます。

 多様な価値観が混在する社会において、法律婚の夫婦だけを優遇する必要はないとの意見もありますが、今回の法律案に盛り込まれた各種方策において、保護の対象を法律婚に限定した趣旨は何なのか、理由は何なのか、お伺いいたします。

○小野瀬政府参考人 お答えいたします。

 今回の法律案に盛り込まれました各種の方策は、いずれも相続法の分野に関するものでございますが、相続につきましては、相続債権者等にとっても被相続人の権利義務がどのように承継されるかについて重大な利害関係を有しております。このため、誰が相続人であるかはこれらの第三者にもできる限り明確かつ画一的に判断することができるようにする必要がございます。

 法律上の婚姻は届出によってその効力が生ずることとされておりまして、基準が明確であるのに対し、事実婚の配偶者に該当するか否かはさまざまな要素を総合的に考慮して判断しなければならず、事実婚の配偶者に当たることを公示する制度も存在いたしません。このため、仮に事実上の配偶者に相続を認めるとしますと、相続人の範囲を直ちに判断することができなくなって、相続をめぐる紛争が複雑化、長期化し、相続債権者等の利害関係人までもが紛争に巻き込まれて不測の損害を受けるおそれがあるなどの問題が生じます。

 この法律案では、これらの点を考慮して、現行法のもとでの取扱いと同様に、事実婚の配偶者には相続権が認められないことを前提としておりますことから、配偶者を保護するための方策の対象が法律婚の配偶者に限定されているものでございます。

 なお、内縁関係におきましては、相互に相続権はございませんが、遺言を活用して一方の死亡に対応することが考えられます。この法律案におきましては、遺言の利用を促進する方策として自筆証書遺言の方式を緩和し、また自筆証書遺言を法務局で保管する制度を創設することとしておりまして、その意味では内縁の配偶者に対しても一定の配慮をしているものと考えております。

○國重委員 今般の法改正等で自筆証書遺言の方式を緩和し、また自筆証書遺言を法務局で保管する制度を創設することとしたということであります。

 では、自筆証書遺言に係る遺言書の保管制度を設けることとした趣旨は何なのか、お伺いいたします。

○小野瀬政府参考人 お答えいたします。

 遺言書の保管法案でございますけれども、高齢化の進展等の社会経済情勢の変化に鑑みて相続をめぐる紛争を防止するという観点から、法務局において自筆証書遺言に係る遺言書を保管する制度を新たに設けようというものでございます。

 自筆証書遺言は簡易な方式の遺言でございまして、自書能力さえ備わっていれば他人の力をかりることなくみずからの意思に従って作成することができ、特別の費用もかからず、遺言者にとって手軽かつ自由度の高い制度でございます。

 他方で、自筆証書遺言は作成や保管について第三者の関与が不要とされておりますため、遺言者の死亡後、遺言書の真正や遺言内容をめぐって紛争が生ずるリスクや相続人が遺言書の存在に気づかないまま遺産分割を行うリスクなどがございます。

 そこで、遺言書保管法案におきましては、手軽で自由度が高いという自筆証書遺言の利点を損なうことなく、他方で、法務局における遺言書の保管及びその画像情報の記録や、保管申請の際に法務局の事務官が行う自筆証書遺言の方式に関する遺言書の外形的確認などにより、先ほど申し上げました自筆証書遺言に伴うリスクを軽減した制度を新設する、そういうものでございます。

○國重委員 この自筆証書遺言というのは、形式上の不備によって無効となるケースが、私の経験上も幾つか、多々とは言いませんけれども、やはり間々あったというふうに思います。

 公正証書遺言については公証人が内容を精査して有効な遺言となることが担保されておりますが、自筆証書遺言に係る遺言書を法務局で保管する場合に、その遺言書について法務局はどこまでのチェックを行うのか、筆跡以外の形式面の不備、これについてはきちんとチェックをするのか、お伺いいたします。

○小野瀬政府参考人 お答えいたします。

 この制度におきましては、遺言書保管官が、申請に係る遺言書が自筆証書遺言の方式であります民法第九百六十八条の定める方式に適合するか否かについて、外形的な確認を行うこととしております。具体的には、保管の申請に係る遺言書について、日付及び遺言者の氏名の記載、押印の有無、本文部分が手書きで書かれているか否かなどの形式的な確認をすることとしております。

 また、保管の申請は遺言者がみずから出頭することによりできることとしておりますところ、出頭した遺言者に当該遺言書を自書したことの確認を求めることとする予定でございます。

○國重委員 では、事例でお伺いします。

 自筆証書遺言が法務局に保管されていることを知らずに遺産分割がされた、しかし、後になって保管されていることに気づいた場合、既になされた遺産分割の効力はどうなるのか、お伺いいたします。

○小野瀬政府参考人 お答えいたします。

 遺言書保管所に遺言書が保管されている事実につきましては、遺言者が遺言書保管官から交付を受けることとなります証書、遺言者の死亡後における相続人等による保管の事実の有無の確認、あるいは、相続人等による閲覧請求等を契機とした、遺言書保管官によるほかの相続人等への通知、さらにはこの法律案の成立後の効果的な広報などにより、相続人が適時適切に把握できるようにし、相続人が遺言書保管所に保管されている遺言書の存在を知らないまま遺産分割協議を行うといったような事態の発生を防止したいと考えております。

 その上で、あくまでも一般論として述べますと、相続人が遺言書の存在を知らないまま遺産分割協議を行った後に遺言書があることが判明し、遺言の内容と遺産分割協議の内容が異なっていたとしましても、一律に遺産分割協議の効力が否定されるものではないと考えられます。

 もっとも、例えば、遺言で遺産分割の方法が定められておって、相続人がその遺言の存在と内容を知っていれば当該遺産分割協議をしなかった蓋然性が高い、こういったようなケースの場合には、錯誤によって遺産分割協議の合意をしたとして、その遺産分割協議が無効となることもあり得ると考えられます。

○國重委員 錯誤により遺産分割の効力が否定される、無効になるということもあり得るということでした。

 例えば、平成三十年の一月一日に公正証書遺言をつくった。公正証書遺言の場合は証人が二人いますから、例えば遺言執行者もつけていて、それはわかる。一月一日、仮につくった。それで二月一日に自筆証書遺言を法務局に預けたということになると、後の遺言の方が有効なので、自筆証書遺言、この法務局に預けている方が効力があるわけですね。

 ただ、この法務局に預けている方は、誰も証人がいないのでよくわからない。例えば、公正証書遺言に従って遺言執行者が処理した場合に、後に、え、実は法務局にもあったんだということがわかった場合に、それもひっくり返されることになる。

 こういうことを考えると、遺言者が亡くなった場合には、法務局から遺言者の相続人や受遺者らに対して遺言書を保管している旨を積極的に通知すべきではないかと思いますけれども、これに関する見解を伺います。

○小野瀬政府参考人 お答えいたします。

 遺言書保管所に遺言書が保管されている遺言者が死亡したときに、法務局から速やかに遺言者の相続人に対して遺言書が保管されている旨を通知する仕組みを実現することは重要であると考えております。

 そのためには複数の方法があり得ますが、最も確実な方法は、戸籍等により遺言者の死亡の事実を把握し、法務局が速やかに通知を行うということでございます。

 今後、平成三十二年以降に登記簿と戸籍等との連携を目指してシステムを改修することを検討しておりまして、これにあわせて、本制度につきましても、戸籍等と連携するシステムを設けることにより、速やかな通知を可能にすることを目指してまいりたいと考えております。

○國重委員 ぜひよろしくお願いいたします。

 以上で終わります。ありがとうございました。



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