ブログ

衆・法務委 商法・国際海上物品運送法の改正について質疑

衆議院 法務委員会で、商法及び国際海上物品運送法の一部を改正する法律案について
対政府質疑を行いました。

以下、議事録全文です。

○國重委員 おはようございます。公明党の國重徹でございます。

 本日は、商法及び国際海上物品運送法の一部を改正する法律案について質疑をさせていただきます。二十分という限られた時間でありますので、テンポよくいきたいと思います。どうかよろしくお願いいたします。

 ここ数年で、一般人によるインターネットショッピングの利用とそれに伴う運送が急激に増加をしております。そこで、その現代的な特徴を捉えて、まずは事例をもとに、改正法案による基本的な法律関係を確認していきたいと思います。

 配付をした資料一をごらんください。

 これは、インターネットショッピングサイトを利用した商品の売買を事例としたモデル図であります。登場人物は、A、B、C、Dの四名。順次、Aは、インターネットショッピングサイトに出店し、商品を販売する出店者、この出店者をAとします。Bは、インターネットショッピングサイトを通じて商品を購入した購入者、この購入者をBとします。Cは、インターネットショッピングサイトを設置、運営するサイト運営者、このサイト運営者をCとします。Dは、売買された商品を実際にトラックなどで運送する運送会社、この運送会社をDとします。

 その上で、時間の関係上、今回事例として挙げるケースは、サイト運営者Cが出店者Aに対して、商品の在庫管理、また購入者への発送、運送業務等を一括して提供するサービスを実施しているケースに絞らせていただいて、質問をさせていただきます。

 では、小野瀬民事局長にお伺いいたします。

 このケースにおいて、商品の売買契約は誰と誰が当事者として締結することになるのか、答弁を求めます。

○小野瀬政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の事例では、関係者間に特段の約定がない限り、出店者Aと購入者Bとの間で商品の売買契約が締結されたものと考えられます。

○國重委員 売り主がA、買い主がBの売買契約が締結することになるということでありました。

 では、商品を配送する運送契約は誰と誰が当事者として締結することになるのか、答弁を求めます。

○小野瀬政府参考人 お答えいたします。

 もちろん関係者間の約定の内容によって法律関係が異なり得るものでございますが、この事例で申しますと、物流代行サービスを利用しているということでございます。

 そうしますと、まずは、出店者Aとサイト運営者のCとの間に、Aを荷送り人、Cを運送人、購入者のBを荷受け人とする、いわゆる元請の運送契約がございます。また、さらに、サイトの運営者Cと運送会社Dとの間に、Cを荷送り人、Dを運送人、Bを荷受け人とする下請の運送契約がある、こういった法律関係が生ずるものと考えられます。

○國重委員 サイト運営者Cは、出店者Aとの関係では運送人になる、ただ、運送会社Dとの関係では荷送り人になるという答弁でした。

 そして、これを全体として見れば、Cは利用運送人、また、Dは実運送人に当たるということになります。

 この基礎的な法律関係を前提として、今回の改正で新設される予定の新商法五百七十二条の危険物通知義務についてお伺いいたします。

 先ほど和田委員の質疑を聞いておりましたら、非常に総論的な、基本的なところをしっかり聞いていただきましたので、私はちょっと基本的なところは飛ばして、事例を通した細かい中身についてお伺いしていきたいと思います。

 まず、ちょっと基本的なことを聞きますね。出店者Aが購入者Bに販売した商品が新商法五百七十二条の危険物に当たる場合、誰が誰に対して危険物通知義務を負うことになるのか、お伺いいたします。

○小野瀬政府参考人 お答えいたします。

 この事例ですと、先ほど申し上げましたとおり、運送契約が二つあるということになります。

 まず、元請の運送契約、ここの関係におきましては、出店者Aが荷送り人となりますので、Aが運送人でありますサイト運営者であるCに対しまして危険物の通知義務を負うこととなります。

 次に、下請運送契約、この関係では、サイト運営者Cが荷送り人となりますので、Cが運送人である運送会社Dに対して危険物の通知義務を負うこととなります。

○國重委員 危険物に関する情報というのは、まずはAからCに、そしてCからDに順次伝達されていく、こういったことで、実際に運送を行うDに危険物に関する情報が適切に通知されていくことになるということでありました。

 では、次に、危険物に関してお伺いいたします。

 改正案五百七十二条の危険物とは、法文上「引火性、爆発性その他の危険性を有するもの」と定められておりますけれども、旅客運送、貨物運送における危険物の規制にかかわる法令で定められている規制物品は、危険物に当たるのか。

 例えば、旅客自動車運送事業運輸規則において、危険物等の輸送制限として旅客の運送に付随して運送してはならないとされている物品が幾つかあります。この持込み制限されている物品の中には、乾電池を除く電池、こういったものも含まれておりますけれども、これは本改正案五百七十二条の危険物に当たるのかどうか、答弁を求めます。

○小野瀬政府参考人 お答えいたします。

 危険物に当たるかどうかは、この改正法案で規定しております引火性、爆発性、又はこれに類する危険性を有するかどうか、こういったところで判断されるところでございますけれども、例えば電池の中でも、一定のリチウムイオン電池などは、公法上、危険物として取り扱う場合がありまして、そのようなものは商法上も危険物に該当し得るものと考えられます。

○國重委員 今、乾電池を除く電池、例えばリチウムイオン電池なども当たるということでおっしゃいましたけれども、例えばリチウムイオン電池というと、携帯電話とかパソコンとか、あとデジカメとか、こういったものも当たることになります。

 ただ、一般人が、まさかリチウムイオン電池、携帯電話とかに含まれているこういったものが危険物に当たる、だから通知しないといけないというのは、これはなかなか一般の方はわからないんじゃないか。それにもかかわらず、危険物の通知義務を負わせて損害賠償責任を負わせるというのは、これはいかにも酷なんじゃないかというふうに思いますけれども、この点についてはどうなのか、お伺いいたします。

○小野瀬政府参考人 お答えいたします。

 リチウムイオン電池などにつきましても、一定の電力といいますか出力といいますか、そういった大きいものというものが危険物というふうにされているものと理解しておりますけれども、一般人が危険物の荷送り人となるケース、さまざまなものがあると考えられます。

 一般論としましては、荷送り人は運送人よりもそのものの危険性を知り得る地位にあるというふうに考えられますので、まずはできる限り注意を払って通知義務を果たしていただくことが原則となります。

 その上で、改正法案では、危険物の通知義務に違反したことによる荷送り人の責任は、債務不履行に関する民法の規律に従うものと整理しております。したがいまして、荷送り人は、自己に帰責事由がないことを主張、立証したときは、債務不履行による損害賠償責任を負わないこととしております。

 そして、荷送り人が危険物についての詳しい知識を有していない消費者である、こういった場合には、そのような事情は帰責事由がないとの判断において考慮される事情となり得るものと考えられます。

 このように、改正法案は、消費者にとって酷に過ぎる結論とならないように配慮しているものと考えております。

○國重委員 要は、危険物の通知義務があるとした上で、個別事情については帰責事由で判断するというような答弁でありました。

 では、この新商法五百七十二条で危険物に関する通知義務を定めた趣旨は何なのか、お伺いいたします。

○小野瀬政府参考人 お答えいたします。

 改正法案では、運送人が危険物を適切に取り扱うことができるようにし、運送の安全を確保する観点から、私法上の危険物通知義務に関する規定を新設することとしたものでございます。

○國重委員 では、事例を言います。

 荷送り人が運送人に危険物の通知義務を履行しなかったけれども、運送人が第三者からの情報など何らかの事情で運送品が危険物であることを知っていた、このような場合でも、荷送り人は危険物に関する通知義務違反ということで損害賠償責任を負うことになるのか。運送人は危険物であることを知っていたんだから、先ほど言われた五百七十二条の趣旨である運送の安全確保というのはできたんじゃないかと思えるんですけれども、どうなんでしょうか。

○小野瀬政府参考人 お答えいたします。

 改正法案では、運送の安全確保を図る観点から、荷送り人は運送人の主観的事情を問わず危険物の通知義務を負っておりまして、この義務に違反した荷送り人は、原則として、これによって生じた損害の賠償責任を負うこととなります。

 このため、運送人が運送品が危険物であると知っていたというだけで荷送り人はその責任を免れることはできないものと考えられます。

○國重委員 でも、この場合、運送人は危険物であることを知っていたわけなので、何らかやはり考慮しないと、この趣旨との関係でまた公平とは言えないというふうに思います。

 結局、こういった場合は、運送人が危険物であることを何らかの事情で知っていた、こういった事情は過失相殺で考慮される、こういうことになるんでしょうか。

○小野瀬政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、運送人が危険物であると知っていたという事情は、過失相殺において考慮されるものと考えられます。

○國重委員 では次に、改正案、新商法の五百七十二条では、危険物の通知義務の通知時期について、危険物である運送品の引渡前に通知を必要としております。

 では、引渡しと同時に危険物であることの通知をした場合、こういった場合も多いかと思いますけれども、このような場合は「引渡しの前」という文言に当たらず通知義務に違反したことになるのか、お伺いいたします。

○小野瀬政府参考人 お答えいたします。

 基本的に、危険物に関する情報を通知しつつ、あわせて当該危険物を引き渡した場合には、その引渡しの前に安全な運送に必要な情報を通知したものと評価することができる場合が多いものと考えられます。

 もっとも、この引渡時に危険物に関する通知があったとしましても、運送に必要となる設備を直ちに用意することができないなど、運送人において運送の安全確保を図ることができない場合には、荷送り人が危険物通知義務を履行したと評価されないことはあり得るものと考えられます。

○國重委員 では、次もちょっと事例を確認させていただきます。

 では、危険物を荷送り人が運送人に引き渡した、その後に荷送り人が運送人に、実はあの配送する物品の中には危険物が入っていると通知した場合、そしてその後に危険物に関して運送人に損害が発生した場合、荷送り人は運送人に対して賠償責任を負うのか。要は、引渡前には危険物の通知義務を履行していない、引渡後に危険物の通知をした、きっちり運送人もそのことを理解している、その後に何らかの事故が発生して運送人に損害が生じた、その場合にも荷送り人は賠償義務を負うのか、お伺いします。

○小野瀬政府参考人 お答えいたします。

 改正法案では、委員御指摘のとおり、運送品の引渡前に危険物に関する通知義務を負っておりますので、運送品の引渡後に危険物に関する通知をした場合には、荷送り人はこの義務に違反したことになります。

 したがいまして、通知がおくれたことによって損害が発生したものと認められる場合には、荷送り人はその損害を賠償する責任を負うものと考えられます。

○國重委員 その場合でも荷送り人は賠償責任を負い得るということでしたけれども、だがこの場合、運送人は危険物であることを時期はおくれたけれども知っていたということになるわけですので、こういった事情もまた過失相殺で考慮されるということでいいんでしょうか。

○小野瀬政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘の事例でございますけれども、先ほど申し上げましたとおり、荷送り人には危険物に関する通知義務違反が認められます。その通知のタイミングによりまして、例えば運送人が損害を避ける十分な対応をすることができたと認められる場合には、事案によりましては、この荷送り人の義務違反と損害の発生との間の因果関係が否定されて、荷送り人が損害賠償責任を負わない、こういった場合もあり得るものと考えられます。

 また、荷送り人の義務違反と損害の発生との間の因果関係が認められるといたしましても、事後的に荷送り人が運送人に通知したことによって運送人がそのことを知っていた、そして損害の発生及び拡大を回避する手段があったと認められる場合には、運送人にも損害発生について過失があるとして、過失相殺がされることもあり得るというふうに考えられます。

○國重委員 ありがとうございました。個別事情で判断するということだったと思います。

 では、最後のテーマとして、荷受け人の件についてお伺いします。

 今般の改正案の新商法五百八十一条一項では、運送品が全部滅失して到達地に到着しなかった場合でも、荷受け人は運送契約によって生じた荷送り人の権利と同一の権利を取得することとしております。

 その上で、同条二項で、荷送り人の権利と荷受け人の権利の優先関係について、荷受け人が損害賠償の請求をしたときは、荷受け人の権利が優先して、荷送り人は権利を行使することができないとしています。

 このことを前提に、レンタル業者から物品をレンタルする事例を挙げてお伺いします。

 便宜上、荷送り人をレンタル業者A、物品を借りるBを荷受け人とします。このようなレンタル品の運送において、運送業者Cが運送品を全部滅失した場合、荷受け人Bの権利はどうなるのか。

 あくまで本事例の場合、物品の所有権はレンタル業者Aにあります。この場合にも、荷受け人Bは運送人Cに損害賠償請求ができて、荷送り人たるレンタル業者Aの損害賠償請求権はそれに劣後するということになるのか。若しくは、荷送り人と荷受け人とでは損害の対象が違うという整理になるのか、答弁を求めます。

○小野瀬政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の事例ですと、この改正法案のもとでは、運送品の全部が滅失しまして、荷受け人のBがその損害賠償の請求をしたときは、荷送り人Aは運送契約上の損害賠償請求権を行使することができないということとなります。

 これは、運送品の所有権がレンタル業者であるAにあるという場合も同様でございまして、これは、運送人が運送品の所有権の帰属をめぐる争いに巻き込まれることなく、運送契約上の債務を履行することができるようにする、こういった趣旨に基づくものでございます。

○國重委員 そうすると、事例によってはBが不当に利得を得る反面、Aに損害が発生するということになります。

 こういった場合には、AがBに対して、後になって民法の不当利得返還請求権、こういったものを行使する、こういう事後処理を想定しているんでしょうか。これを最後の質問にいたします。

○小野瀬政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、このような事例では、レンタル品の所有権を有しない荷受け人が運送人から受領した賠償金は、その所有者である荷送り人との関係では不当利得となって、荷送り人が不当利得返還請求をすることが可能であると考えられます。

○國重委員 ありがとうございました。

 百二十年ぶりの歴史的な法改正ですので、しっかりとした周知徹底もどうかよろしくお願いいたします。

 以上で終わります。ありがとうございました。

ツイッター

PAGE TOP