トップページ プロフィール ニュース 国重チャンネル 事務所のご案内 ヒストリー
お知らせ ニュース メディア出演 動画 国会質疑 報道
衆・法務委「テロ等準備罪」 公明は濵地議員が質問

衆議院法務委員会に出席しました。
テロ等準備罪の対政府質疑を行い、公明党からは濵地雅一議員が質問に立ちました。

>> [外部リンク]公明ニュース「テロ対策と強い関連」
>> [外部リンク]衆議院ホームページ「衆議院法務委員会ニュース」

↓ 以下、濵地雅一議員質疑全文を掲載します。

○濵地委員
 おはようございます。公明党の濵地雅一でございます。
 私も四十五分間という貴重な時間をいただきましたので、しっかり質疑をしたいと思っています。
 今、自民党の委員の方々の質問を一時間聞いておりましたけれども、きょうは非常に中身のあるといいますか、非常に落ちついた、また、重要な点について議論がされているというふうに思っています。基本的なところから、また、細かい部分まで、しっかりと法案全体を見渡すような質問であったかなと思っております。
 特に赤澤委員の質疑の中で、オリンピック前が、テロも含め、また人身売買取引等の組織的犯罪が非常にふえるというようなことを、実際の事実をもとにしてお話をされました。また、海外では既に参加罪や、または共謀罪の法案を持っておる国が大多数でございますので、海外では実際にテロ事案が未然に防止できた数字も出てきまして、非常に現実味のある話であったと私は思います。
 では、日本において現実味があるかという点で聞きたいんですが、アルカイダ関係者とおぼしき者が日本に潜伏していた事実はございますか。公安庁、お答えください。

○杉山政府参考人
 お尋ねのアルカイダ関係者が日本に潜伏した事例といたしましては、国連の安全保障理事会アルカイダ及びタリバン制裁委員会において制裁対象に指定されたフランス国籍のリオネル・デュモンという者が平成十一年九月以降、我が国に少なくとも六回の出入国を繰り返し、一定期間、滞在していた事実があるものと承知をしております。

○濵地委員
 前回、参考人質疑のときに、日本は海に囲まれていて、ほかの陸続きの国とは違いますよ、ですから実際のテロの脅威というものは、諸外国に比べてないんだみたいな話をされていましたが、実際に、安保理で認定したフランス人のアルカイダ関係者という人間が六回、日本に潜伏した事実というのがあるわけでございますので、先ほど赤澤委員が質疑の中で明らかにされました、いわゆるオリンピック前にはテロ等の組織的犯罪が増加するであるとか、または、実際に未然に防げた事例というのは、これは余りリアリティーがあっては皆様方を不安にしますけれども、日本においてもしっかり考えなければいけないということをこの委員会で皆様方と共有をしたいと思いまして、先ほどの質問をさせていただきました。
 まさに、前回の参考人質疑で、我々が推薦をしました井田参考人、中央大学の教授でございますが、このように強く組織化され、高度な技術的手段を用いて大規模な被害を与えるようなテロなどの組織的犯罪集団に対抗するには、処罰の早期化なくして対抗できないと言われています。まさにそのとおりだなと思っております。
 これは日本でも、先ほど申し上げましたとおり、これはもう現実味がある話でございます。まして、オリンピックを二〇二〇年に控えてのこの法案審議でございますので、我が国としても万全の法整備を行う必要があるというふうに、改めてこの場で訴えたいというふうに思っております。
 それでは、先ほどの今野委員の質問とも関係をしますが、これまでの議論では、TOC条約を締結するには、現行のままでいいんだ、もしくは予備罪で足りるんだというような議論がございます。
 まだ報道ベースでございますけれども、民進党さんが出された一つの対案の中には、人身売買そして組織的詐欺罪の予備罪を今回つくるようなお話がございます。果たして、予備罪でTOC条約を締結できるのかという、先ほどもありました論点について、私からも確認をします。
 その前に、法務省に、我が国における予備罪における予備行為の解釈について、改めて刑事局長にお尋ねをいたします。

○林政府参考人
 通常、予備罪は、構成要件の中では、予備という言葉だけで条文が示されておるわけでございます。したがいまして、この予備の内容について、各裁判において解釈が示されております。
 そこの場合の一つといたしまして、予備罪における予備の解釈が争われました東京高等裁判所、昭和四十二年六月五日判決におきますれば、予備罪が成立するためには、「当該基本的構成要件に属する犯罪類型の種類、規模等に照らし、当該構成要件実現のための客観的な危険性という観点からみて、実質的に重要な意義を持ち、客観的に相当の危険性の認められる程度の準備が」備えられたことを要する、このように判示しておりまして、一般に、こういった予備罪における予備行為とは、実行の着手に至らない行為であって、構成要件を実現する客観的に相当の危険性を有するものである必要があると解釈されているものと承知しております。

○濵地委員
 改めて基本的なところをお聞きしました。
 今、刑事局長が引いていただきましたのは、昭和四十二年六月五日、東京高裁判決、いわゆる三無事件判決というものでございます。私も、予備というのはなかなか話題になりにくいので、改めてこの昭和四十二年の判決を全文読ませていただきましたけれども、まさに、先ほど御答弁ありましたとおり、犯罪類型の種類、規模に照らして、当該構成要件実現のための客観的な危険性という観点から、実質的に重要な意義を持ち、客観的に相当の危険性が認められる程度の準備が整えられる必要があるというふうに言っております。
 この判例で、やはり、ほかの部分で言っておりますのも、さまざま、構成要件の類型において実現されようとする保護法益も違うし態様も違うので、予備行為というのは、もともと無定型で無限定なものなんだ、なかなか定めにくいものなんだということも、この判例の中で一つ読み解けると思っております。
 以前、金田法務大臣が、予算委員会の質疑の中で、これ以外の判例はあるんですかというふうにお聞きをされておりました。しかし、これは、いわゆる最高裁の判例が予備ではございませんので、まさにこれは一般的な規範性を有するものでございます。今後、さまざまな予備罪が議論になったときにも、この解釈に従って判断をされるわけでございますので、なかなか、この予備行為というのは日本では限定的に解釈をされているんだろうと私は思っております。
 今の議論を前提としまして、TOC条約を現行のまま締結できるか、もしくは予備行為で足りるかという点について、この第五条の、特に、推進する行為は予備行為で足りるんだろうかということを外務省に改めてお聞きしたいと思っております。

○水嶋政府参考人
 お答え申し上げます。
 委員も御案内のとおり、本条約の第五条、これは、締約国に対しまして、重大な犯罪の合意または組織的な犯罪集団の活動への参加の少なくとも一方を犯罪化することを義務づけております。
 その関係で申し上げますと、重大な犯罪の合意そのものを処罰の対象とするということで義務づけた上で、「国内法上求められるときは、その合意の参加者の一人による当該合意の内容を推進するための行為」、こういう要件を付すことを認めてございます。
 ここに言います「合意の内容を推進するための行為」、これは、合意の成立以後に行われます、未遂に至らない何らかの行為を意味するものだというふうに解されております。
 もっとも、仮に、御指摘のように、「合意の内容を推進するための行為」に対応するものといたしまして予備罪の予備行為を規定した場合には、予備行為の概念について先ほど刑事局長の方から御答弁ございましたが、裁判例に見られますように、「客観的に相当の危険性の認められる程度の準備が整えられた場合」といった考え方が前提になります。そうしますと、そのような危険性の認められる程度の準備がなければ処罰できない、こういうことになります。
 これは、さきに述べたような本条約の趣旨に反するおそれが高いというふうに考えておりまして、したがいまして、政府といたしましては、「合意の内容を推進するための行為」に対応するものとしてそのような予備行為を規定して条約を締結するということは、憲法九十八条第二項が規定します条約の誠実履行義務にも反しまして、許されないというふうに解しております。

○濵地委員
 ありがとうございます。
 条約締結の点、五条の推進する行為、未遂に及ばない何らかの行為ということで、規範が示されましたけれども、我が国における予備行為の考え方によりますと、これには足りないという御答弁だったというふうに思っています。
 実際に、確実にテロ等組織犯罪に対処するためには、解釈上疑義があるような、そういった行為では私はだめだと思っております。計画があって準備行為があればしっかりと処罰できるという、ある意味、限界線を引くのも大事なんですけれども、捜査機関等も安心して認定できるということが処罰の早期化ということで大事だろうと思っております。
 しかし、外務省はそう言うけれども、前回の参考人質疑ではこういう問いがございました。TOC条約の国内実施状況を審査する機関は現在はないんじゃないですか、そういう意見がございました。しかし、私は、条約というものは、加盟国の取り組みをレビューされることは通常行われることだと思っております。
 このTOC条約の国内担保法の審査も含めて、今後、TOC条約の実施状況のレビューは行われる可能性はありますでしょうか。外務省にお聞きします。

○水嶋政府参考人
 お答え申し上げます。
 この条約の第三十二条におきまして、ここで、締約国会議を設置するということ、また、締約国によります本条約の実施状況を定期的に検討して、その実施の改善のための勧告を行うことなどを求めております。
 この条約の実施状況のレビューをどのように行うかにつきましては、現在、締約国会議において議論をされておりますが、昨年の十月に行われましたこの条約の第八回の締約国会議におきましても、国連腐敗防止条約の条約実施レビューメカニズムを念頭に各国からさまざまな意見が提示されましたが、引き続き議論を深めていくことになっております。
 なお、国連腐敗防止条約、UNCACと呼んでおりますけれども、こちらの方では既にレビューメカニズムが設けられておりまして、こちらでは、条約の実施状況について国別の報告書を作成し、よい事例、いわゆるグッドプラクティスや、あるいは課題を特定する、また、課題を克服するための技術援助などについて検討すること等を定めております。そういう条約実施レビューメカニズムというものが設けられている。
 こうした点を踏まえますと、本条約についても、将来、締約国会議におきまして条約実施レビューメカニズムが設けられる可能性があるというふうに言えると思います。

○濵地委員
 ありがとうございます。
 条約自体の三十二条に締結国会議があって、そこでは実施状況を含めてレビューを行わなきゃいけないという規定がありますので、当然、ほかの条約と同じように今後レビューは行われていくというのは常識だろうというふうに思っております。ただ、現在はその仕組みについて話し合いをしておって、国連腐敗防止条約のような、UNCACのような、議論を踏まえてこれから始まるというお話も私も聞いておりますので、間違いなくこれはレビューが行われます。
 そうなりますと、G7各国は共謀罪や参加罪を包括的に犯罪化しています。日本の国内法、既に整備をしておるんですね。ですから、とりあえず現行のままTOC条約に入って、指摘されたらまたテロ等準備罪のようなものを検討するなんということは、先進国として大変私は恥ずかしいと思っております。
 また、先日の質問でも指摘がございましたけれども、FATFでは既に勧告を我が国は受けておりまして、捜査共助の面において、我が国が過度な負担ではなくて、我が国に捜査共助を求める国際社会が日本は過度な負担になっているというふうに指摘をされているわけでございますので、そういう上でも、レビューを受けてからまたやり直すなんということは本当にやってはいけないことであろうというふうに私は個人的に思っております。
 そして、もう一つ聞きたいんですが、ことしの五月二日に岸田外務大臣が、このTOC条約の事務局に当たります国連薬物犯罪事務所、UNODCを表敬されております。くしくも、この五月二日というのは、我々がこの委員会でしっかり質問をしようとするときに解任決議が出まして、とまった日でございます。日本がこの審議をとめてしまった日にまさに、岸田外務大臣はUNODCのフェドートフ事務局長を表敬されております。
 これは非常に、外務大臣としては、日本国内で話題になっているものを、忙しい日程の中、ウィーンまで行かれたということに、まず私は評価をしたいと思っておりますが、その際の岸田外務大臣とフェドートフ事務局長の発言の内容について、詳しくお話をお聞かせいただければと思っています。

○岸副大臣
 今御指摘のございました五月二日のウィーンにおけるUNODCのフェドートフ事務局長と岸田外務大臣との会談でございますが、その際、岸田大臣からは、本条約の締結に必要な法案を現在国会で審議中である旨御説明をしたところ、先方よりは、日本が本条約を締結することはテロ対策と組織犯罪対策への日本のコミットメントを確認するものであるということ、それから、既に百八十七の国と地域が締結し、未締結国はごくわずかである本条約の普遍的なモメンタムを維持するためにも重要といった発言がございました。
 さらに、先方からは、国際組織犯罪とテロまたは暴力的過激主義は関連性を持っている、そして、今日、誰しもがテロの脅威から逃げられない中で、本条約は非常に重要である、このような国際枠組みを通じた国際協調がテロと対峙するためには必要であるといった発言がございました。
 その上で、日本による本条約の締結に向けた努力が成功し、早期に本条約を締結することを期待するといった発言がございました。

○濵地委員
 今御紹介いただきましたフェドートフ事務局長の内容については、二つの点で重要な指摘があったと思っています。
 まずは、やはり国際組織犯罪とテロとは関連性を持っているんだということを現在言われています。誰しもがテロの脅威から逃れられない中でこれは非常に重要な条約であって必要というふうに述べられたということは、これはそもそも、よくありますTOC条約がテロと関連しているのかということで採択当時のお話をしていますけれども、それはそれで議論になりました。しかし、今現在において、このUNODCの事務局長自身がTOC条約はテロと強い関連を持っているんだということを、もう一度、我が国が今締結しようというこの場面で確認をされたことというのは、一つ大きなことだろうというふうに思っております。
 それともう一つは、既に百八十七カ国がやっていますよ、未締結国はごくわずかですよ、これは恐らく、批判の意味ももしかしたら込められているかもしれませんし、日本早くしろという国際社会の催促であろうというふうに私自身は受けとめたいというふうに思っております。
 何度も繰り返しますが、まさに五月二日は、我々はいろいろな議論をしていたわけでございますが、そのときに外務大臣がUNODCに行かれたことについて、高く私自身も評価をしたいと思っています。
 続きまして、対象犯罪。
 TOC条約は、やはり合意罪、テロ等準備罪の創設が必要なんだということを私は訴えてまいりましたけれども、では、対象犯罪として過不足があるのかということでございます。
 よく問題になるのが保安林窃盗でございます。私は、これはキノコ狩りを対象に選定されたものではないというふうに思っております。前回、鉱山、鉱物無許可採掘のお話がございましたけれども、改めて刑事局長に、この保安林窃盗がなぜ対象犯罪となっているのか、どのように組織的犯罪集団が現実的に関与することが想定されるのか、お答えいただきたいと思っております。

○林政府参考人
 まず、森林法における保安林の区域内における森林窃盗につきまして、これは保安林の区域内において、例えば土砂を窃取して、あるいは樹木を伐採して窃取するということが含まれております。
 こういったものにつきまして、実際に、良質の山砂を盗掘して販売する目的で、保安林の区域内である国有林で長期間にわたり継続的に従業員等を使ってユンボなどの重機を用いて山砂の掘削を繰り返して、時価約四千万円にも相当する五万立方メートルを超える山砂を採取した事例もあるものと考えております。
 こういったことを前提といたしまして、このような保安林の区域内における森林窃盗につきましては、組織的犯罪集団が実行することが現実的に想定される、そのように考えております。

○濵地委員
 実際の事例を引いて御説明いただきまして、非常にリアリティーのあるお話だったと思います。
 次に、これも議論されます、著作権法違反です。
 音楽教室が、先生が生徒に教えることが想定されてはいないと思いますけれども、改めて、基本的なことですが、なぜ著作権法違反を今回対象犯罪にしたのか、お答えください。

○林政府参考人
 著作権法違反、この罪については、著作権、出版権あるいは著作隣接権を侵害するなどの罪でございます。
 この罪については、組織的犯罪集団が、その組織の維持運営に必要となる資金を得るために計画することが現実的に想定されると考えまして、対象犯罪としております。
 組織的犯罪集団が、その組織の維持運営に必要となる資金を得るために計画することが想定される例といたしましては、例えば、組織的犯罪集団が、海賊版のCDなど、こういったものを販売する、こういうことを計画することなどが考えられると考えております。

○濵地委員
 今も、海賊版のCDの販売等具体的な事例を引いていただきましたので、非常にわかりやすかったです。
 それと、もう一つ、最後に聞きます。
 墳墓発掘死体損壊罪、墓荒らしがテロなどと関連があるのかとたまに言う方がいらっしゃいますが、この墳墓発掘死体損壊罪はなぜ対象犯罪となっているのか、お聞きをします。

○林政府参考人
 この墳墓発掘死体損壊等については、これは墳墓を発掘して、死体、遺骨、遺髪、また棺におさめてある物を損壊し、遺棄し、または領得する罪でございます。
 この罪につきましては、組織的犯罪集団が組織の維持運営に必要となる資金を得るために墳墓発掘死体損壊等の実行を計画する例といたしまして、組織的犯罪集団が墳墓を盗掘いたしまして、その埋葬品等を領得するといったことを計画することが考えられます。
 また、一方で、この墳墓の発掘、破壊というものについては、海外等においてテロリズム集団がテロ行為として実際に実行する、この場合は破壊の方が実際には行われておりますけれども、そういったことを今後計画することも現実的に想定されると考えられます。

○濵地委員
 この墳墓発掘死体損壊罪、墓荒らしがテロリストなのと言う方がいらっしゃいますが、実際、日本においても、仁徳天皇陵など歴史的価値のある墳墓はございますし、また、これはちょっと例が悪いかもしれませんが、昭和天皇がお眠りになっていらっしゃいます武蔵野陵にはさまざまな貴重な御遺品も一緒に埋葬されるというふうに聞いておりますので、日本でも現実に想定されるものであろうというふうに思っております。
 なぜ私が今、保安林窃盗、著作権違反、墳墓発掘死体損壊罪を引いたかというと、これは民進党さんが出されています「共謀罪、何が問題なのか」のパンフレットで、「こんなことまで「テロ対策」?」ということで列挙されているものを私は挙げました。実際、テロ対策じゃないというような論証がありましたけれども、ただいまの刑事局長のお話によって、非常に具体例も引いて御説明をいただきましたので、これは対象犯罪になる、リアリティーのあるお話であったというふうに私は思っております。
 次に、ではなぜ対象犯罪から外れたのかという点からお聞きをしたいと思っています。
 野党の推薦人の参考人の方だったと思いますけれども、例えば公職選挙法等が対象になっていない、これは権力の私物化だから除外したんだという指摘がありました。また、会社法や金融商品取引法などの特別法の経済事犯が対象とならない、これは、もともとTOC条約が経済事犯等も対象としているのにおかしいんじゃないかというふうな議論がございました。
 まず一点目の、選挙の関係で行きます。
 公職選挙法の多数人買収罪、いわゆる候補者が選挙民を買収する行為ですね。単純買収は四年以下でございますので対象になっていませんが、多数人を買収した場合には四年以上の刑が科されますけれども、公職選挙法の多数人買収罪がなぜ対象とならないのか、御説明をいただきます。

○林政府参考人
 委員御指摘の罪につきましては、まず、組織的犯罪集団によって、これがテロの実行に関する罪という形で実行されることは考えがたいわけでございます。また、我が国においては民主主義が確立しておりまして、組織的犯罪集団が選挙に介入し、これらの罪を実行した事例があるというふうには承知しておりません。
 こういったことから、組織的犯罪集団が実行を計画することが現実的に想定しがたいという観点から、対象犯罪としなかったものでございます。

○濵地委員
 では次に、いわゆる経済事犯です。
 具体的な例で言いますと、特別法上の収賄罪等は今回対象になっておりませんが、それはなぜなのか、お答えいただきたいと思っています。

○林政府参考人
 まず、例えば会社法の収賄罪でいきますと、主体がこの会社の発起人や取締役等に限られております。また、商品先物取引法の収賄罪では、商品取引所または商品先物取引協会の役員に主体が限られております。このようなことから、主体が構成要件の中で限定されております。
 また、その行為の態様などに照らしますれば、これらの規定で定められております会社の役員などが組織的犯罪集団の構成員となって、その組織的犯罪集団の団体の活動としてその犯罪を実行するための組織により各収賄罪の実行を計画する、こういった要件を満たすことの計画をすることを現実的には想定しがたいと考えたわけでございます。

○濵地委員
 公職選挙法の関係と、また特別法の収賄罪、経済事犯の事例を具体的にとりましたけれども、非常に具体的に説明をしていただきました。
 公職選挙法の方は、民主主義が発展している世の中で、全体を、何かテロ組織が指揮をして選挙に大きい影響を与える、また買収するとはなかなか考えにくいと思っておりますし、また、特別法上の収賄罪については、非常に主体が限定されているということの御説明がありましたので、大変説得力のある答弁だったと思っています。
 次に、話題をかえまして、捜査のことをお聞きしたいと思っています。
 今回のテロ等準備罪に限らず、捜査が適正に行われる、これは、国民の不安を取り除く上で重要であることは当然でございます。ですので、我が党としても、この点は、厳しい姿勢でこれまで質疑に臨んでまいりました。我々の國重委員も、総理に対する質問の中で聞いた一番のポイントは、やはり、人権に配慮して適正な捜査を行えということで総理に答弁を求めたわけでございます。
 ただ、捜査といっても、この委員会ではよく捜査、捜査と言われますが、強制捜査と任意捜査においては個人の権利侵害の程度が異なりますから、これを同列で議論することは、刑事訴訟法のもう一方の大事な要請であります真実発見の見地から、私は適切でないと思っています。まして、捜査の端緒、要はきっかけにすぎない告発場面とも、私は、しっかり区別して考えるべきだと思っております。
 予算委員会でもこの告発のことが議論になっておりましたけれども、改めて、告発と、一般人が捜査の対象になるのかについて、整理をして刑事局長に答弁を求めたいと思います。

○林政府参考人
 まず、一般の方々という言葉、これは、使用される文脈によってその意味が異なると思います。
 この点について、一般の方々はテロ等準備罪の捜査の対象とならないという文脈におきましては、これについては、組織的犯罪集団とかかわりがない方々、言いかえれば、何らかの団体に属していない人、これはもとよりでございますが、通常の団体に属して通常の社会生活を行っている方々、こういった意味で用いているわけでございます。こういった意味における方々は、組織的犯罪集団にかかわりを持つことがないのはもちろん、かかわり合いを持っていると疑われるということも考えられないわけでございまして、テロ等準備罪の被疑者としての捜査の対象となることはないと考えております。
 このように、組織的犯罪集団の関与という要件を満たしていないような人、このような方についても告発がなされる場合があるじゃないかということの観点から申し上げますと、まずは、こういった意味での一般の方々を告発する、すなわち嫌疑がかかっていないような方を告発するという場合は、告発者の場合においては虚偽告訴罪で罰せられる可能性があるわけでございます。それでもなおそういった方々を告発しようとする者、これが存在するとは通常は想定されません。
 その上で、一方で、告発は、「何人でも、犯罪があると思料するときは、告発をすることができる。」とされているわけでございますが、そのような告発がなされた場合、その告発というのは捜査の端緒の一つと位置づけられております。
 告発によっても犯罪の嫌疑が生じない場合には被疑者としての捜査の対象となることはないわけでございまして、一般の方々がテロ等準備罪の被疑者としての捜査の対象となることはないと考えております。
 すなわち、仮に告発がなされたといたしましても、直ちに被告発人とされた者を被疑者として捜査を開始するわけではございません。まずその告発内容の信憑性を吟味した上で、被告発人に嫌疑が認められないのであれば、その者に対する被疑者としての捜査を行うことはないわけでございます。
 そして、そのようなことから、形式的に被告発人とされることとテロ等準備罪の被疑者として捜査の対象となることは別の問題であると考えております。

○濵地委員
 詳しい説明をいただきまして、非常にすっきりいたしました。
 これは私の経験ですから、一般に行われているとは言いませんけれども、告発状の受理、物すごく難しいです。とてもじゃないけれども、簡単に告発状を持っていってそれが受理されるというのは、当然、刑事訴訟法の手続を踏めば行えますけれども、これは非常に難しいというふうに私は思っております。これは私の経験として今お話をさせていただきました。
 ですので、まさに先ほど刑事局長が言われたとおり、告発があっても、しっかりそれを吟味して、嫌疑が発生しなければ捜査の対象にはならないわけでございますので、そこは非常に私は重要なポイントだと思っています。
 捜査一般の話に戻しますけれども、大変基本的なことで恐縮ですが、刑事訴訟法の捜査の原則、特に任意捜査と強制捜査の考え方はどういった考え方が貫かれているのか、基本的なところを刑事局長にお答えいただきたいと思います。

○林政府参考人
 まず、強制捜査については、これは判例上、次のように解されております。「個人の意思を制圧し、身体、住居、財産等に制約を加えて強制的に捜査目的を実現する行為など、特別の根拠規定がなければ許容することが相当でない手段」、これによる捜査を意味するものとされております。任意捜査というのはこれに当たらない手段による捜査をいいます。
 刑事訴訟手続では、事案の真相を明らかにして、刑罰法令を適正かつ迅速に適用するという目的を達するに当たりまして、個人の基本的人権の保障に配慮することが刑事訴訟法上求められております。そこで、一般的に、その特定の捜査目的を達成するについては、強制捜査によらずに任意捜査によることが可能であると見込まれる場合には、対象者の権利利益の制約をより小さいものにとどめるという見地から任意捜査を選択すべきであると考えられております。これが任意捜査の原則というものでございます。
 そして、強制捜査は、個人の重大な権利利益に制約を加えるものでありますので、法律に特別の定めがある場合に限って行い得るわけでございます。これは強制処分の法定主義ということでございますけれども、こういったものに対して、一方で、基本的に個人の権利利益を制約するものとは言えない任意捜査にはそういった制限はございません。これについては、捜査の必要に応じて、手段の相当性の範囲で適切な手段をとり得るということになります。

○濵地委員
 詳しい御説明、ありがとうございました。
 やはり、私は、しっかりと任意捜査と強制捜査という適用場面を分けて、このテロ等準備罪と捜査の関係については話すべきだろうというふうに思っております。
 では、ここの国会でもよく議論のありました、任意捜査は実行準備行為前でも行えるんだという議論がございます。ただ、私は、これはテロ等準備罪の、犯罪の嫌疑がなければ任意捜査であっても行えませんので、実行準備行為の前に捜査が行えることと犯罪の嫌疑が生じること、この関係も踏まえて、実行準備行為前に任意捜査が行われることの論拠をお示しいただきたいと思います。

○林政府参考人
 まず、犯罪の捜査を開始するためには犯罪の嫌疑が必要でございます。この嫌疑というものは、犯罪行為が存在するという蓋然性のことをいいます。したがって、捜査開始以前に発生した過去の犯罪について認められる場合が通例でございます。
 しかし、捜査の対象につきまして、そうした過去に行われた犯罪だけでなくて、少なくとも犯罪が行われる蓋然性が高度に認められる場合、こういった場合の状況におきましては、将来行われる犯罪についての任意捜査も許容されると考えられております。
 例えば、現行法における犯罪につきましても、特定の場所で薬物の密売が繰り返されている、こういったことが判明している場合に、薬物の密売を現認して犯人を検挙するとともに証拠を確保する目的で張り込み捜査というものが行われることがございます。
 これは、その場面におければ犯罪の発生前ということになりますけれども、犯罪が発生する高度の蓋然性があると認められる場合においては、その嫌疑が認められ、任意捜査を行うことができることとされております。
 こういったように、個別具体的な事実関係のもとで犯罪の嫌疑があって、捜査の必要性が認められる場合には、その手段の相当性が認められる範囲において任意捜査が許容されるものであろうと考えております。
 テロ等準備罪についていいますれば、組織的犯罪集団が関与する一定の重大な犯罪の計画行為、これが既に行われた嫌疑があるという状況のもとで、実行準備行為が行われていない段階でありましても、個別具体的な事実関係のもとでは、例えば、テロの計画が行われ、その実行準備行為がそれに引き続いて行われる蓋然性が高度に認められるような犯罪の嫌疑がある場合には、捜査の必要性があると認められる場合には、その手段の相当性の範囲で任意捜査を行うことが許されると考えておるわけであります。

○濵地委員
 今御説明いただきまして、非常に納得しました。
 今、答弁の中で、計画行為が既に行われた嫌疑があるのであれば、さらにこの実行準備行為が行われる高度な蓋然性があればというお話がございましたが、そうなると、計画行為の前には任意捜査は行うことはできますでしょうか。

○林政府参考人
 先ほど来申し上げていますように、テロ等準備罪についても、捜査を開始するためにはテロ等準備罪の嫌疑が必要でございます。具体的には、組織的犯罪集団が関与する犯罪、それから一定の重大な犯罪の計画行為、そしてその計画に基づく実行準備行為、この三つの要件について嫌疑がなければ捜査は行われないわけでございます。
 少なくとも、計画も行われていない段階におきましては、計画及び実行準備行為が行われる高度な蓋然性があるとは言えません。すなわち、実行準備行為は計画に基づく実行準備行為でございますので、その計画行為自体が行われていない場合に、その計画行為及び実行準備行為が行われる高度の蓋然性があるとは言えないわけでございますので、そういった意味で犯罪の嫌疑が発生することがなく、テロ等準備罪の捜査を計画も行われていない段階で開始することはできないと考えております。

○濵地委員では、この捜査の点についての最後に、任意捜査と強制捜査の区別ということを私は意識して話しましたので、逮捕や捜索、差し押さえ等の強制捜査は実行準備行為前に行うことはできますか。

○林政府参考人
 まず、刑事訴訟法百九十九条は、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があるときに逮捕状により被疑者を逮捕することができるとしております。また、刑事訴訟規則百五十六条は、捜査機関が捜索・差し押さえのための令状を請求する場合、このときには、「被疑者又は被告人が罪を犯したと思料されるべき資料を提供しなければならない。」と定めております。
 したがいまして、現行法上、逮捕また捜索、差し押さえにつきましても、罪を犯した場合にのみ行うことができるわけでございます。そのことを前提として令状請求をしなくてはならないということにおきまして、将来発生する犯罪を理由として逮捕、捜索、差し押さえなどの強制捜査はできないと考えております。

○濵地委員
 今、刑事局長より、強制捜査という性質からしても、実行準備行為前には強制捜査は行えないという明確な答弁をいただきました。
 最後に、テーマをかえて、証人等買収罪についてお聞きをしたいと思います。
 今回の改正案の七条の二項に証人等買収罪が規定をされておりますけれども、ここは大臣に、証人等買収罪を創設される意義についてお答えいただきたいと思います。

○金田国務大臣
 御質問にお答えをいたします。
 国際組織犯罪防止条約第二十三条の(a)というのは、締約国に対して、条約の対象となる犯罪に関する手続におきまして偽証をさせ、または証拠の提出等を妨害する目的で、暴行を加えたり、または脅迫、威嚇をする行為、あるいは不当な利益の約束、供与等をする行為を犯罪とすることを義務づけております。
 このうち、司法妨害の目的で暴行を加えたり、または脅迫、威嚇をすることにつきましては、既に強要罪により担保されておりますが、このような目的で不当な利益の約束、供与等をすることにつきましては、現行法上これを処罰し得る罰則がないことから、本法案によりまして、組織的犯罪処罰法の第七条の二として証人等買収罪を新設することによってこれを担保することとしたものであります。

○濵地委員
 しっかり司法妨害を防ぐ、その穴があればそれを塞ぐということが大事だろうというふうに思っております。
 もう時間がありませんので少し質問を飛ばしますけれども、この証人等買収罪については、以前の予算委員会を聞いておりまして、例えば、弁護人が証人になろうとしている者にお茶を出したり飯を食わせたりすると、これは報酬とみなされて弁護活動が萎縮するみたいな、極めて私はこれはためにする議論だと思いますけれども、最後にこれをお聞きしたいと思います。そういった何かお茶を供与したりすることが利益の供与に当たって弁護人自身が証人等買収罪に当たることはありますか。この意見について最後に刑事局長にお答えいただきたいと思います。

○林政府参考人
 今回の証人等買収罪は、例えば偽証等をすることの報酬として金銭その他の利益を供与し、またはその申し込み、約束をした場合に成立するものでございます。したがいまして、こうした証人等買収罪が成立するためには、そうした偽証等をすることの報酬として金銭等が提供されることが必要でございまして、仮に弁護人が証人等に対して何らかの利益を提供したとしましても、それがそういった偽証等をするについての報酬でない場合、これは本罪は成立しないわけでございます。
 さらに、そもそもこういった偽証等の行為は現行法上も偽証罪等の犯罪に当たり得るものでございまして、仮に、弁護人がこのような行為を行わせるために利益を供与した場合であって、実際にその供与を受けた者が現実にこれら偽証などの行為に及んだときは、このような弁護人の行為については現行法においても偽証教唆等で処罰され得ることでございます。
 こういったことから、このように証人等買収罪を新設すること、これは弁護人による正当な弁護活動としての証人等への働きかけを処罰するものではなく、本罪を設けることによって新しく弁護人の活動に萎縮的な効果が生じるというものではないと考えております。

○濵地委員
 弁護人の弁護活動に萎縮効果を生じるものじゃないという答弁をいただきました。
 きょうは、TOC条約は予備罪では足りないし、または現行法では当然足りないということもはっきりさせていただきました。五月二日に岸田外務大臣がUNODCの事務局まで訪れて、今の日本の取り組みに対する評価や、そういったものも確認をさせていただきました。捜査についても、細かい論点も話をさせていただきましたので、私は、きょうは非常に充実した審議ができました。皆様に感謝を申し上げます。
 以上で終わります。



トップページ プロフィール ニュース 国重チャンネル 事務所のご案内 ヒストリー